
ChatGPTでマーケティング戦略を作る完全ガイド|プロンプト×コンテクスト×ハーネス設計とコピペで使える7つのプロンプト
結論:ChatGPTで戦略を作るには「プロンプト < コンテクスト < ハーネス」の3層設計が本質
ChatGPTでマーケティング戦略を作ろうとして、「なんだか抽象的な答えしか返ってこない」「LLM特有のありきたりな回答に収束する」と感じたことはありませんか。実は、これはプロンプトの書き方を工夫するだけでは解決しません。プロンプト単体には構造的な限界があるからです。
本当に戦略策定に使えるレベルにChatGPTを引き上げるには、3つの層を設計する必要があります。
- プロンプト: 個別の指示文(最も表層)
- コンテクスト: AIに渡す背景情報の構造(中間層)
- ハーネス: AIエージェントを動かすシステム全体の設計(最深層)
この記事では、AIマーケターを設計する中でたどり着いた「AIの考え方自体を矯正する」設計思想を、ChatGPTで誰でも使える形に整理してお伝えします。コピペで使える7つのプロンプト、失敗プロンプトと改善版のBefore/After、Custom Instructionsの完全テンプレート、chained promptingのテクニック、トラブルシューティング20選まで、戦略策定で実用レベルに到達するための実践知を全部公開します。
なぜ単純な指示では「一般的な回答」に収束するのか
ChatGPTに「マーケティング戦略を作ってください」と単純に指示すると、必ず似たような答えが返ってきます。「ターゲットを設定して、4Pを設計し、KPIをモニタリングしましょう」のような、教科書通りの抽象論。
これは AI が手を抜いているわけではなく、LLM の構造的な性質です。LLMは大量のテキストから「平均的な答え」を学習しているため、特に指示がなければ、業界の一般論・教科書の標準解に収束します。「ありきたり」と感じる出力は、構造上の必然です。
プロンプト単体では届かない3つの理由
理由1: プロンプトには情報量の上限がある
1つのプロンプトに詰め込める情報には限度があります。事業情報・競合情報・過去の戦略・KPI・予算・制約条件をすべて1プロンプトで渡そうとすると、必ずどこかが薄くなり、AIが文脈を取りこぼします。
理由2: 一回限りの指示では「思考プロセス」を矯正できない
戦略策定は段階的な思考プロセスです。WHO → WHAT → HOW の順で考えるべきですが、1プロンプトでは AI に「この順序を必ず守れ」と強制しても、出力時には混ざってしまうことがあります。
理由3: 「AIの一般論」を上書きする力が弱い
AIは学習データに引きずられます。「マーケティング戦略 = 4P + 3C」のような一般論を覆して、「あなたの会社はWHO/WHAT/HOWで考える独自フレームを使う」と教え込むには、プロンプト内の数行では足りません。
これらの問題を解決するために必要なのが、プロンプトより上位の設計です。
「プロンプト < コンテクスト < ハーネス」の3層設計思想
戦略策定でChatGPTを実用レベルに引き上げるには、3つの層をそれぞれ設計する必要があります。
レイヤー1: プロンプト(個別の指示文)
最も表層の層。「あなたは元CMOです、以下の情報をもとに〜」のような、AIへの個別指示です。プロンプトエンジニアリングと呼ばれる領域がここに該当します。
この層だけを工夫しても、後述するコンテクストとハーネスの設計が弱いと、出力品質には限界があります。
レイヤー2: コンテクスト(AIに渡す背景情報の構造)
プロンプトと同時に、または事前に、AIに参照させる背景情報の構造です。具体的には:
- 自社の事業情報(プロダクト・ターゲット・差別化軸)
- クライアントの業界情報・過去ヒアリングメモ
- 過去の戦略アウトプット・施策履歴
- 使用する戦略フレーム(WHO/WHAT/HOW)の定義
- 目標KPI・予算・制約条件
- 過去に効果が出た成功プロンプトや事例集
- 使用してよい/いけない参照ソースのリスト
コンテクスト設計の難しさは、「必要十分な情報だけを、必要なタイミングで渡す」ことにあります。情報を全部渡すと、AIが本質的でない部分に引きずられて出力品質が落ちます。逆に少なすぎると、一般論に収束します。
レイヤー3: ハーネス(AIエージェントを動かすシステム全体)
最も深い層。AIエージェントが必要な情報を動的に取りに行ける設計、複数のプロンプトを連鎖させる仕組み、出力を検証して再実行するロジックなどを含む、システム全体の構造です。
ハーネスを組むことで、こんな運用が可能になります。
- AIが「業界情報が足りないな」と判断したら、自動で検索して情報を取得する
- 戦略フレームを埋める途中で「過去の成功事例」を自分で参照して引用する
- 出力後に自分で批判的レビューをして、品質を改善する
- クライアントごとに過去の文脈を継承して、一貫した戦略を出す
ChatGPTのカスタムGPT機能やAPIを使うとハーネスを部分的に実装できますが、本格的なハーネスを組むには専用のAIマーケター(プロダクト)が必要になることが多いです。
3層を組み合わせた時の威力
| 設計レベル | 到達できる出力品質 |
|---|---|
| プロンプトのみ | 一般論レベル。教科書通りの答え |
| プロンプト + コンテクスト | クライアント固有の文脈を踏まえた、業界平均レベルの戦略 |
| プロンプト + コンテクスト + ハーネス | 専門コンサルが3ヶ月かけて作るレベルの戦略を、数時間で生成 |
ChatGPT を「ありきたりな回答装置」ではなく「専属戦略パートナー」に変えるには、この3層をすべて意識して使うことが鍵になります。
プロンプト層: 4つの設計原則
まず最も表層のプロンプト層から、4つの設計原則を解説します。
原則1: 役割(ロール)を明示する
ChatGPTには冒頭で「あなたは○○の専門家です」と役割を与えるのが鉄則です。役割を与えると、出力のトーン・粒度・専門性が一段上がります。
マーケティング戦略の場合、以下のような役割設定が効果的です。
- 役割A: 「あなたは元CMOで、中小企業のマーケティング戦略策定を100社以上経験してきたマーケティングコンサルタントです」
- 役割B: 「あなたはエビデンス駆動の市場調査専門家で、推測と事実を厳密に区別する習慣があります」
- 役割C: 「あなたは価値提案設計の専門家で、機能的価値と情緒的価値を独立軸で考える設計者です」
役割を変えるだけで、同じ質問でも返答の角度が変わります。戦略の各フェーズに応じて役割を切り替えるのがコツです。
原則2: 戦略の「型」を渡す
ChatGPTに「マーケティング戦略を作って」と漠然と依頼すると、抽象論が返ってきます。WHO/WHAT/HOWのような戦略フレームを最初に渡すと、構造化された出力が返ってきます。
マーケティング戦略の標準フレームとして、私が使っているのは以下の3層です。
| 層 | 問い | 含めるもの |
|---|---|---|
| WHO(誰に売るか) | 戦略ターゲット(ST)と、その中で最重要のコアターゲット(CT)は誰? | 業界・役職・規模・購買決済プロセス・心理因子・行動因子 |
| WHAT(何の価値を売るか) | 顧客に提供する機能的価値(CV)と、感じてもらう情緒的価値(SB)は何? | 独自性、競合との差別化軸、Reason to Believe(RTB) |
| HOW(どう届けるか) | どのチャネル・施策・KPIで届けるか? | SEO/広告/SNS/紹介の配分、月次KPI、PDCAサイクル |
このフレームは、USJを劇的にV字回復させた森岡毅氏の手法をベースにしたもので、マーケティング戦略の世界では事業を伸ばす標準型として広く使われています。詳しくは WHO WHAT HOW戦略の完全ガイド で解説しています。
原則3: 制約・ガードレールを明示する
「やってほしいこと」だけ書くと、ChatGPTは時々ズレた答えを出します。「やってはいけないこと」「守ってほしい条件」も併記すると、品質が安定します。
戦略策定でよく使うガードレール例:
- 「年齢・性別だけでターゲットを定義しないでください」
- 「実在しない企業を競合として挙げないでください。確実な企業のみ。確信が持てない場合は『要確認』と記載してください」
- 「『〜を見える化する』のような曖昧表現を避け、『〜の可視性を上げる』のように具体動詞を使ってください」
- 「数値を出す場合は、根拠データを明示してください。出せない場合は『推定値』と書いてください」
原則4: 出力フォーマットを指定する
テーブル / 箇条書き / JSON のどれで出してほしいかを明示すると、後の作業が楽になります。
「以下のテーブル形式で回答してください」「JSON形式で出してください」のように指定するだけで、出力が整います。提案資料への転記もスムーズになります。
AIの考え方を矯正する6つの技
4原則を押さえても、AIは時々「一般論」に流されます。これを根本から矯正するには、もう一段深いテクニックが必要です。私が実際にAIマーケターを設計する中で見つけた、AIの考え方を矯正する6つの技を共有します。
技1: 思考の順序を絶対に固定する
戦略策定は WHO → WHAT → HOW の順番が崩れると、すべて崩れます。AIに「この順序を絶対に守ってください。WHOが確定するまでWHATには進まないでください」と明示するだけで、出力の論理性が一段上がります。
具体的なプロンプト例:
戦略立案の手順は以下のとおり。順番を絶対に崩さないこと。
1. まず WHO(ターゲット)を確定する。WHOが確定するまで先に進まない
2. WHO 確定後、WHAT(提供価値)を設計する
3. WHO/WHAT 確定後、HOW(届け方)を設計する
各段階で、前段階の結論を必ず文頭で再確認してから次に進んでください。
技2: 「効果が出た過去の成功事例・プロンプト」を参照させる
AIに過去の成功例を参照させると、一般論ではなく「具体的に効いた答え」を出してくれます。心理テクニックを組み合わせたコピーライティング事例、過去の戦略立案で当たった訴求軸、業界の成功事例集——これらをコンテクストとして渡し、参照を強制する。
具体的なプロンプト例:
以下の過去の成功事例を参照しながら、訴求軸を設計してください。
【過去の成功事例】
- 事例1: BtoB SaaSの「30代経営者向け」訴求で、「採用より早く、外注より近く」というコピーがCV率2.5倍を達成
- 事例2: ECブランドの「30代女性向け」訴求で、「自分への小さなご褒美」軸が客単価1.8倍を達成
- 事例3: 専門サービスの「中小企業社長向け」訴求で、「あなたの右腕を、月◯万円で」軸が問い合わせ3倍を達成
これらの事例から、心理テクニック(労り・所有欲・希少性・社会的証明など)を抽出し、
クライアント事業に応用したコピー案を5本提案してください。
「成功事例 → 心理テクニック抽出 → 自社への応用」という3段階で考えさせると、出力の具体性が一段上がります。
技3: 禁止語・禁止表現を明示する
「ありきたり」をAIに排除させるには、具体的に禁止語を伝えるのが効きます。
以下の語句は使わないでください:
- 「活用する」「最適化する」「見える化」「DX」「PDCA」
- 「お客様目線で」「丁寧に」「親切に」「品質にこだわる」
- 「シナジー」「効率化」「強化する」
代わりに、以下のように具体動詞で書いてください:
- 「活用」→「月3回のレポートに反映」「チームの議題に組み込む」
- 「最適化」→「具体的な数値(例: CVRを2.5%から4.0%に)」
- 「見える化」→「ダッシュボードで日次モニタリングする」
禁止語リストは、自分のクライアントに刺さらない汎用語を並べるのがコツです。
技4: 自己批判モードに切り替える
ChatGPTには「優しく褒める傾向」があり、自己批判を明示的に求めないと弱点が出てきません。出力後に必ず以下のような指示を続けます。
上記の戦略案について、批判的視点で以下を実行してください:
1. この戦略の弱点・盲点を3つ挙げる
2. 各弱点が、実装段階で具体的にどうリスクになるか
3. それぞれの弱点を補強するための追加施策を提案
「素晴らしい戦略です」のような褒め言葉は不要。
本気でクライアントに納品する前提で、容赦なく批判してください。
このひと手間で、戦略の穴が見えてきます。
技5: 具体的な「好ましい出力例」を見せる
AIに「具体性」を求めるなら、具体性のある出力例を最初に見せるのが効きます。
以下のレベルの具体性で出力してください:
❌ 悪い例: 「広告予算を増やす」
✅ 良い例: 「Meta広告予算を月20万円→月50万円に増額。配置はInstagramフィード × 4:5フォーマットに集中」
❌ 悪い例: 「ターゲットは経営者層」
✅ 良い例: 「ターゲットは社員10〜50名のBtoB SaaS企業の創業社長/CEO。年齢35-50歳、創業3-7年、年商3-15億円フェーズ」
❌ 悪い例: 「コンテンツマーケティングを強化」
✅ 良い例: 「SEO記事を月8本ペースで公開、各記事は5000字以上、戦略フレームワーク解説型を5本+成功事例3本の構成」
技6: 参照ソースを限定する
AIの一般論を上書きする最強の技は、「このソースだけを参照してください」と限定することです。
戦略立案にあたっては、以下のソースだけを参照してください:
- 森岡毅『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』のWHO/WHAT/HOWフレーム
- Byron Sharp『How Brands Grow』のCEPカバレッジ理論
- Robert Cialdini『影響力の武器』の6つの心理原理
上記以外のフレームワーク(4P、5フォース、AARRRなど)は使用しないでください。
質問: クライアントXのマーケティング戦略の骨子を作成してください。
参照ソースを限定すると、AIは「ありきたりな教科書」から外れて、特定の思想体系に沿った出力をします。これがプロンプト × コンテクストの威力です。
コンテクスト層: 「与えすぎない」設計の原則
3層構造の中間層、コンテクスト設計について解説します。コンテクストは「渡す情報の量と構造」を設計する領域です。
情報を渡しすぎると、なぜAI出力が悪化するのか
「AIに必要な情報をすべて渡す」のは、実は逆効果になることがあります。理由は3つあります。
- 注意の分散: AIが本質的でない部分に引きずられて、重要な要素が薄まる
- 矛盾の発生: 大量の情報の中で矛盾する記述が生まれ、AIが混乱する
- トークン制限: 大規模なコンテクストはモデルの処理能力を超え、後半の情報が無視される
1つのプロンプトに「事業情報・全クライアント履歴・業界全データ・KPI予算」をすべて貼り付けると、AIは情報の海で溺れます。
動的取得という発想 — 「必要な時に必要な情報だけ」
本格的にコンテクストを設計するなら、AIに動的に情報を取りに行かせる設計に進化させます。
例えば、こんなフローです。
- AI に「クライアントXの戦略を作って」と指示
- AI が「クライアントXの過去ヒアリング情報が必要」と判断
- AI が自分でナレッジベース(DB やドキュメント)を検索して必要箇所を取得
- AI が取得した情報を踏まえて戦略を出力
この「動的取得」は、ChatGPTの標準機能だけでは実現が難しく、カスタムGPT・API・専用AIマーケターの領域になります。それでも、ChatGPTを使う段階でも以下の工夫で動的取得に近い運用ができます。
- 段階的にプロンプトを投げる: 一気に全情報を渡すのではなく、AI に「足りない情報があれば質問してください」と最初に伝える
- 必要なファイルだけ添付する: ヒアリングメモを全部添付するのではなく、関連箇所だけを抜粋する
- 段階別に違うプロンプトを使う: 業界調査用、戦略立案用、レポート作成用で、別のプロンプトとコンテクストを使い分ける
コンテクストとして渡すべき5要素
ChatGPTで戦略策定をする時、最低限のコンテクストとして以下5要素を構造化して渡します。情報の量は「テーマに必要な分だけ」を意識します。
| コンテクスト要素 | 含める内容 | 渡し方 |
|---|---|---|
| 1. クライアント基本情報 | 事業内容・ターゲット・規模・差別化軸(5〜10行) | 毎プロンプト冒頭に貼り付け |
| 2. 戦略フレームの定義 | WHO/WHAT/HOWの各層で何を出すか(5〜10行) | Custom Instructionsに登録 |
| 3. 過去の戦略要約 | 前回の結論・進捗(3〜5行のサマリ) | 関連時のみ貼り付け |
| 4. 出力フォーマット例 | 好ましい出力スタイルのサンプル(1〜2例) | 具体性が必要なプロンプトに添付 |
| 5. 制約・ガードレール | 禁止語・必須要素・優先順位(3〜5項目) | Custom Instructionsに登録 |
ポイントは、1〜2と5を Custom Instructions に登録して常時適用し、3〜4は必要な時だけ渡すことです。これで「与えすぎない」運用が実現できます。
【完全公開】Custom Instructions テンプレート
ChatGPTの設定画面から「カスタム指示(Custom Instructions)」に登録できる、戦略策定に最適化したテンプレートを公開します。コピペで設定できます。
「あなたについて」の欄に入れる内容
私はマーケティングコンサルタント/元CMOです。
中小企業向けのマーケティング戦略策定を業務にしており、
クライアント数は10社程度。
戦略立案にはWHO/WHAT/HOWフレームを基本として使用しています:
- WHO: 戦略ターゲット(ST)と コアターゲット(CT)を2段階で設計
- WHAT: 機能的価値(CV)と情緒的価値(SB)の2軸 + RTB
- HOW: SEO/広告/SNS/紹介のチャネル配分 + KPI設計
参照する主な思想:
- 森岡毅『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』
- Byron Sharp『How Brands Grow』のCEP理論
- Robert Cialdini『影響力の武器』の心理原理
「ChatGPTに望む応答スタイル」の欄に入れる内容
応答は以下のスタイルで:
【構造】
- 結論を先に1〜3行で示し、その後に詳細を展開する
- 出力は箇条書きとテーブルを中心に。長文の散文は避ける
- 数値は必ず根拠を併記する。推定の場合は「(推定)」と明記する
【粒度】
- 抽象論ではなく、具体的な数値・固有名詞・実行可能な行動を含める
- 「活用する」「見える化」「DX」「最適化」などの曖昧語は使わない
【批判性】
- 出力後に、自分の出力の弱点・リスクを必ず1〜3個挙げる
- 「素晴らしい戦略です」のような無駄な賛辞は不要
【出力フォーマット】
- WHO/WHAT/HOWを問う質問の場合、必ずこの順序で考え、各層を明示する
- 数値・KPIが関わる場合、必ずレンジ(最低〜最高)を示す
- 競合企業を挙げる場合、URLが不確かなら「要確認」と明記する
これだけ登録しておけば、毎回のプロンプトで役割設定を書く必要がなくなり、出力品質も安定します。
【コピペOK】戦略策定のための7つのプロンプト
ここからは、実際にコピペで使えるプロンプトを公開します。{{角括弧の中}}はクライアント情報に置き換えてください。
プロンプト1: 市場分析(TAM/SAM/SOM + 仮説生成)
あなたはエビデンス駆動の市場調査専門家です。投資家向けプレゼンを想定した精度で、以下のクライアントの市場を分析してください。
# クライアント情報
- 事業内容: {{事業内容を100字程度で}}
- 主要顧客: {{想定顧客像}}
- 商圏: {{地域 or 国内全体 or 業界横断}}
# 出力してほしいもの
1. TAM(市場全体規模)/ SAM(獲得可能市場)/ SOM(実現可能市場)を金額で。根拠を必ず明示
2. 主要なJTBD(Jobs to be Done)を3つ。「顧客はどんな状況で、何を達成したくて、その時何の代替案を使っているか」の形で
3. Market Gap仮説を2つ。「市場で満たされていない需要」を抽出
4. 確度ラベル(A: 確度90%以上 / B: 60-90% / C: 60%未満)を各項目に付与
# 守ってほしいこと
- 数値は推定値の場合「推定」と明記
- TAM ≥ SAM ≥ SOM の整合性を保つ
- 「ありそう」「たぶん」のような曖昧表現は使わない
テーブル形式で出力してください。
プロンプト2: 競合カテゴリ定義(3階層)
あなたは市場分析とビジネスインテリジェンスの専門家です。以下の事業について、競合を3階層で定義してください。
# 事業情報
- 事業内容: {{事業内容}}
- 主要顧客: {{想定顧客像}}
- 商圏: {{地域}}
# 出力してほしい3階層
1. Level-1(直接カテゴリ): 1つに絞り込む。業種キーワードを正確に
2. Level-2(隣接カテゴリ): 顧客が比較検討する関連分野を3〜5件
3. Level-3(Job/CEP): 顧客タスク(Job)と購買きっかけ(CEP)をそれぞれ3〜5件
- 各項目に「優先度(高/中/低)」「頻度(年複数回/年1回/不定期)」を付与
# 守ってほしいこと
- Level-1は1つに絞り込む(曖昧な並列表記禁止)
- Level-2の各項目は、顧客視点で「なぜ比較されるか」を1行で説明
- Job/CEPは業種特性と論理的に整合すること
テーブル形式で出力してください。
プロンプト3: 直接競合の抽出と評価
あなたは競合調査の専門家です。以下のカテゴリで、実在する直接競合を10社抽出し、評価してください。
# カテゴリ定義
- Level-1: {{プロンプト2のLevel-1結果}}
- Level-2隣接カテゴリ: {{プロンプト2のLevel-2結果}}
# 自社情報(除外用)
- 自社名: {{自社名}}
- 自社プロダクト名: {{プロダクト名}}
- 自社URL: {{自社URL}}
# 出力してほしいもの
各競合について以下を表形式で:
| No | 企業名 | プロダクト名 | URL | 事業概要(50-120字) | 売上規模(推定) | ターゲット | 価格帯 | 検証ステータス |
末尾に各社の評価スコア:
- 関連性(10点満点)
- ブランド認知度(10点満点)
- 価格類似性(10点満点)
- Job適合度(10点満点)
- 総合スコア = 関連性×0.35 + 認知度×0.25 + 価格×0.20 + Job×0.20
# 厳守事項
- 「たぶんある」「ありそう」は絶対NG。確実な企業のみ
- URLが不確かな場合は「要確認」と明記
- 自社(自社名・プロダクト名)は除外
- 候補が10社に満たない場合、5社でもOK(架空企業を埋めない)
プロンプト4: WHO設定(戦略ターゲット → コアターゲット)
あなたはマーケティング戦略コンサルタントです。以下の事業について、戦略ターゲット(ST)とコアターゲット(CT)を2段階で設計してください。
# 事業・市場情報
- 事業概要: {{事業内容}}
- 主要JTBD: {{プロンプト1のJTBD結果}}
- 競合上位3社: {{プロンプト3の上位3社}}
# Step 1: 戦略ターゲット(ST)候補を3つ
ST = 「資源を投下する最大公約数ターゲット」
各STについて以下を提示:
- ST名(業種×役職×規模 で具体的に)
- 規模ポテンシャル(10点満点)
- 勝ちやすさ(10点満点・自社強みの活かしやすさ)
- 到達しやすさ(10点満点・チャネルでリーチできるか)
- 総合スコア = 規模×0.4 + 勝ちやすさ×0.4 + 到達×0.2
# Step 2: STを1つ選んだ後、コアターゲット(CT)候補を3つ
CT = 「ST内で最も購買確率が高い顧客像」
PSB-Sフレームで定義:
- 心理因子(Psychology): 4つ以上
- 段階(Stage): 認知/比較検討/意思決定 のどこか
- 障壁(Barrier): 購入を止めている要因
- 行動シグナル(Signal): 行動レベルで観察できる特徴 2つ以上
# 厳守事項
- ST/CTを「30代女性」のようなデモグラだけで定義しない
- CTの心理因子は「価格にシビア」のような汎用語を避け、「成果指標が曖昧な状態を不安に感じる」のように具体化
- CTのデモグラはSTと整合(年齢・性別分布が±20%以内)
テーブル形式で出力してください。
プロンプト5: WHAT設定(CV + SB の2軸)
あなたは価値提案設計の専門家です。機能的価値(CV)と情緒的価値(SB)を独立軸で考える設計者として、以下の事業の価値提案を設計してください。
# インプット
- 戦略ターゲット(ST): {{プロンプト4のST}}
- コアターゲット(CT): {{プロンプト4のCT}}
- CTの心理因子: {{CTの心理因子}}
- 競合上位3社の訴求: {{各社のキャッチフレーズ・訴求軸}}
# 出力してほしいもの
## CV(Customer Value: 機能的価値)
- 30字以内
- 「この製品で、何ができるようになるか」を機能ベースで
- 競合と被らない独自性を1点以上含む
- 例: 「クライアントごとに専属AIマーケターが24時間稼働」
## SB(Symbolic Benefit: 情緒的価値)
- 40字以内
- 「使った結果、どんな状態・気持ちになれるか」を感情ベースで
- 例: 「戦略策定の重さから解放され、本来の思考時間に集中できる安心感」
## RTB(Reason to Believe: 信じられる根拠)
- 各CV/SBに対して2〜3個
- 実績数字、第三者評価、特許、創業者経歴など
# 厳守事項
- 「〜を見える化」「〜を活用」のような曖昧表現は禁止。「〜の可視性を上げる」「〜を月次レポートに反映」のように具体動詞を使う
- CVには「HighGround語」(自社の強みを表す核となる語)を1つ以上含める
- SBにはCTの課題語を1つ以上含める
テーブル形式で出力してください。
プロンプト6: HOW設計(施策ポートフォリオ)
あなたは施策設計の専門家です。以下の戦略を実行するための施策ポートフォリオを設計してください。
# インプット
- ST: {{ST}}
- CT: {{CT}}
- CV/SB: {{CV+SB}}
- 月間予算: {{予算}}
- 既存チャネル: {{現在動いているチャネルとその実績}}
# 出力してほしいもの
施策カードを8〜12件、以下の項目で:
| ID | 施策名 | チャネル | 想定リーチ層(ST/CT/拡張) | Impact(10点) | Ease(10点) | Speed(10点) | 総合スコア | 月予算割当 |
総合スコア = Impact×0.45 + Ease×0.30 + Speed×0.25
# 厳守事項
- 各施策は「direct(CTに直接訴求)」「incremental(STに広く訴求)」「enabler(土台作り)」のどれか1つに分類
- KPIへの影響経路を1行で説明
- 月予算割当の合計が月間予算と完全一致(負値禁止)
- スコアの根拠を必ず1行付与(「自社実績ベース」「業界平均ベース」「仮説」など)
# 上位3施策については、最初の1ヶ月の具体実行ステップを5つに分解
プロンプト7: KPI設計と月次PDCAレポート骨子
あなたはKPI設計とデータ分析の専門家です。以下の戦略・施策に対して、KPIツリーと月次レポート骨子を設計してください。
# インプット
- 戦略概要(ST/CT/CV/SB): {{要約}}
- 主要施策上位3つ: {{プロンプト6の上位3施策}}
- 北極星メトリクス(NSM): {{月間問い合わせ数 / MRR / 月間アクティブ顧客数 など}}
# 出力してほしいもの
## 1. KPIツリー
- 北極星メトリクス(NSM)
- レベル1指標(NSMを構成する3〜5要素)
- レベル2指標(各レベル1を構成する2〜4要素)
各KPIに以下を付与:
- 測定方法
- 月次目標値
- 現状値(不明なら「未測定」)
- 改善優先度(高/中/低)
## 2. 月次レポート骨子(テンプレ化)
- 章立て5〜7章
- 各章で書くべきデータと洞察の指針
- グラフ/テーブルの推奨フォーマット
# 厳守事項
- KPIの二重計上を避ける(同じ数字を複数レベルで使わない)
- 各KPIに「アクション可能性」を明記(このKPIが下がった時、何を変えれば改善するか)
- 月次レポートは、定例MTG90分を想定した分量に抑える
テーブル形式で出力してください。
失敗プロンプト vs 改善プロンプト — Before/After 5パターン
同じ目的でも、プロンプトの書き方で出力品質が劇的に変わります。実際のBefore/Afterを5パターン紹介します。
パターン1: 戦略立案
❌ Before
BtoB SaaSのマーケティング戦略を作ってください。
結果: 「ターゲット設定 → 4P → KPI」のような教科書的な戦略テンプレが返る。具体性なし。
✅ After
あなたは元CMOで、BtoB SaaS のマーケティング戦略を100社以上設計してきた専門家です。
以下の事業の戦略を、WHO/WHAT/HOWフレームで設計してください。
【事業情報】
- プロダクト: 中小企業向け勤怠管理SaaS
- 主要顧客: 社員50〜300名の中小企業の管理部門
- 月額単価: 1ユーザーあたり月500円
- 競合: 大手3社(料金が高め)、中堅2社(機能が薄め)
【出力】
WHO/WHAT/HOWの順で考え、各層は以下を含めること:
- WHO: ST(戦略ターゲット)3候補 + 各候補のスコアリング
- WHAT: CV(機能的価値、30字以内)+ SB(情緒的価値、40字以内)+ RTB
- HOW: 施策5〜8つ + 月予算配分
【守ってほしいこと】
- 「最適化」「活用」「見える化」のような曖昧語は使わない
- 数値は必ず根拠を併記
- 出力後に、戦略の弱点を3つ批判的に指摘
結果: クライアント固有の文脈を踏まえた、具体的な戦略骨子が返る。弱点指摘までセット。
パターン2: 競合分析
❌ Before
BtoB SaaSの競合を10社挙げてください。
結果: 有名な大手SaaS企業が並ぶが、実在しない企業が混ざることもある。情報粒度がバラバラ。
✅ After
あなたは競合調査の専門家です。
以下のカテゴリで、実在する競合を10社抽出してください。
【カテゴリ】
- 業種: 中小企業向け勤怠管理SaaS
- 地域: 日本国内
- 価格帯: 月額500〜2000円/ユーザー
【出力フォーマット】
| No | 企業名 | プロダクト名 | URL | ターゲット | 価格 | 検証ステータス |
【厳守事項】
- 確実に実在する企業のみ。「たぶんある」は禁止
- URLが不確かなら「要確認」と明記
- 候補が10社未満なら、5社でもOK
- 出力後、各社のスコアリング(関連性 × 0.35 + 認知度 × 0.25 + 価格類似性 × 0.20 + Job適合度 × 0.20)
結果: 実在企業のみ、明確な評価基準で並ぶ。ハルシネーションが激減。
パターン3: ペルソナ設計
❌ Before
30代女性向けECブランドのペルソナを作ってください。
結果: 「30代女性、年収400万円、結婚しており〜」のような典型的なペルソナが返る。差別化要素なし。
✅ After
あなたはペルソナ設計の専門家です。
以下のECブランドのペルソナを、PSB-Sフレームで設計してください。
【ブランド情報】
- 商品: 自宅で楽しむお茶のサブスクリプション
- 価格: 月額3,500円(送料込み)
- 既存顧客の声: 「日常を少し贅沢にしてくれる」「時間に余裕がある時のご褒美」
- リピート率: 65%
【PSB-Sフレーム】
- 心理因子(4つ以上): 抽象的な「丁寧な暮らし」ではなく、具体的な心理メカニズム
- 段階(認知 / 比較検討 / 意思決定): 顧客がいる段階
- 障壁: 購入を止めている要因
- 行動シグナル(2つ以上): 観察可能な行動
【厳守事項】
- 「30代女性」のようなデモグラ単独では定義しない
- 心理因子は「価格にシビア」「自分時間が大切」のような汎用語ではなく、具体的なメカニズム(「自分への投資を罪悪感とともに迷うが、ご褒美の口実があれば踏み切る」など)
結果: 心理メカニズム × 行動シグナルを伴う、施策に直結するペルソナが返る。
パターン4: コピーライティング
❌ Before
ECブランドのキャッチコピーを5つ作ってください。
結果: 「あなたの毎日に、贅沢を」「丁寧な暮らしを始めよう」のような汎用コピーが返る。
✅ After
あなたは心理テクニックを活用するコピーライターです。
以下のECブランドのキャッチコピーを5本、それぞれ違う心理テクニックで設計してください。
【ブランド】
- お茶のサブスクリプション、月額3,500円
- ターゲット: 自分の時間を大切にしたい30代女性
【使うべき心理テクニック(5つの異なるアプローチで1本ずつ)】
1. 損失回避(「やめると失うもの」を提示)
2. 社会的証明(「他の人も使っている」を提示)
3. 希少性(「限定された機会」を提示)
4. 自己実現(「なりたい自分」を提示)
5. 共感のフック(「あるあるの瞬間」を提示)
【出力フォーマット】
| 心理テクニック | コピー(30字以内) | 補足コピー(50字以内) | なぜ効くか |
【厳守事項】
- 「丁寧な暮らし」「贅沢」「自分らしく」のような汎用語は使わない
- 具体的な状況・モノ・時間を描写する
結果: 心理テクニックごとに違う角度のコピーが5本、出力理由付きで返る。
パターン5: 月次レポート作成
❌ Before
このデータをもとに月次レポートを作って:
[データ貼り付け]
結果: 数字を並べただけの平面的なレポート。示唆なし。
✅ After
あなたは月次レポートを作成するコンサルタントです。
以下のフォーマットで月次レポートを作成してください。
【データ】
[データ貼り付け]
【レポートの章立て】
1. エグゼクティブサマリー(一行サマリ + ハイライト3〜5項目 + 主要指標テーブル)
2. PDCA振り返り(施策ごとに「仮説 / 結果 / 学び / 次のアクション」)
3. 成功パターン / 注意パターン(横断的な示唆)
4. 来月のアクションプラン(🔴 最優先 / 🟠 重要 で優先度付け)
5. 議題(定例MTG用)— 意思決定が必要な選択肢A/B/C と各メリット・デメリット
【厳守事項】
- 数字を並べるだけでなく、必ず「示唆」「学び」をセットで書く
- ハイライトには絵文字(🎯 ✅ ⚠️)を使う
- 議題には3つの選択肢を必ず提示し、メリット・デメリットを構造化
結果: 経営判断レベルの示唆を含む、定例で使えるレポートが返る。
chained prompting(連続プロンプト)テクニック
戦略策定は複数のフェーズに分かれます。1つのプロンプトで全部終わらせようとせず、プロンプトを連鎖させるのが本格的な運用です。
7プロンプトの連鎖フロー
この記事の7つのプロンプトは、以下の順序で連鎖させると最も効果的です。
- プロンプト1(市場分析)→ 結果から JTBD と Market Gap を取得
- プロンプト2(競合カテゴリ定義)→ プロンプト1の業界情報を引き継ぎ
- プロンプト3(直接競合抽出)→ プロンプト2のカテゴリを引き継ぎ
- プロンプト4(WHO設定)→ プロンプト1のJTBD + プロンプト3の競合を引き継ぎ
- プロンプト5(WHAT設定)→ プロンプト4のST/CT + プロンプト3の競合訴求を引き継ぎ
- プロンプト6(HOW設計)→ プロンプト4-5を引き継ぎ
- プロンプト7(KPI設計)→ プロンプト6の上位施策を引き継ぎ
chain運用の3つのコツ
コツ1: 各プロンプトの出力を「次の入力サマリ」にする
長い出力をそのまま次のプロンプトに貼り付けると、トークン制限に引っかかったり、AIが本質を見失います。各プロンプト後に「このセッションの要点を3〜5行でまとめてください」と指示し、サマリを次のプロンプトに渡します。
コツ2: 同じ会話セッション内で連鎖させる
新しいセッションを起動するたびに過去の文脈が消えます。1つの戦略策定は同じ会話セッション内で完結させ、文脈を引き継ぎます。
コツ3: 中間で「整合性チェック」を挟む
3〜4プロンプト連鎖した後に、「ここまでの戦略骨子に、矛盾や論理の飛躍がないかチェックしてください」と確認プロンプトを挟みます。一貫性が崩れていないかを早めに発見できます。
メモリ機能の使い分け
ChatGPTには「メモリ機能」があり、ユーザーの情報を継続的に記憶できます。戦略策定での使い分けを整理します。
メモリに登録すべき情報
- 自分の役割(コンサルタント / 制作会社 / マーケター)
- 自分が使う標準フレーム(WHO/WHAT/HOW)
- 自分が嫌う表現リスト(「活用」「最適化」など)
- 好ましい出力スタイル(テーブル中心、絵文字使用、批判的レビュー必須)
- 参照する主な思想(森岡毅、Byron Sharp、Cialdini)
メモリに登録しない方がいい情報
- 個別クライアントの機密情報(売上、顧客リストなど)
- クライアントごとに変わる戦略の中身(他クライアントの議論に混入するリスク)
- 過去に否定された戦略案(混乱の原因になる)
クライアント固有の情報は、メモリには入れず、プロンプトのコンテクストとして都度渡すのが安全です。
複数モデルの使い分けマトリクス
ChatGPT(GPT-5系)以外にも、Claude、Gemini など複数のLLMがあります。戦略策定での使い分けの目安を共有します。
| モデル | 得意なフェーズ | 苦手なフェーズ |
|---|---|---|
| GPT-5系(ChatGPT) | 戦略の全体設計、コピーライティング、創造的アウトプット | 長文の構造化、深い論理推論 |
| Claude(Anthropic) | 長文の構造化レポート、深い論理推論、論文要約 | クリエイティブな表現、コピーライティング |
| Gemini(Google) | 最新情報の参照、Web検索連携、データ分析 | 創造的な戦略設計、クリエイティブ要素 |
使い分けの実例:
- 市場規模・競合分析(プロンプト1〜3)→ Gemini(最新情報の取得が強い)
- WHO/WHAT/HOW 戦略設計(プロンプト4〜6)→ ChatGPT(戦略フレーム適用が強い)
- 月次レポート作成・PDCA振り返り(プロンプト7)→ Claude(長文構造化が強い)
ただし、複数モデルを使い分けると運用が煩雑になります。1つに集約する場合は ChatGPT を中心に組み立てるのが現実的です。
ChatGPTで戦略品質を上げる5つのコツ
コツ1: 最新モデル(GPT-5系)を使う
戦略策定のような複雑タスクは、モデルの性能差が結果に直結します。GPT-3.5系では戦略品質が出ない場面でも、GPT-5系では一段深い洞察が返ってきます。有料プランで最新モデルを使うことが、ChatGPTでの戦略策定では実質必須です。
コツ2: メモリ機能でクライアント情報を継続記憶
ChatGPTには「メモリ」機能があり、ユーザーの情報を継続的に記憶できます。クライアントごとにメモリを使い分けるのは難しいですが、「自分の事業情報」「自分の役割(コンサル / 制作会社 など)」「使う戦略フレーム」をメモリに登録しておくと、毎回の入力負荷が下がります。
コツ3: Custom Instructionsで「常時ロール」を固定
Custom Instructions(ChatGPT設定の「カスタム指示」)に、自分の役割と希望する出力スタイルを登録しておきます。すると、毎回ロール設定をプロンプトに書く必要がなくなります。本記事の「Custom Instructions テンプレート」をベースに、自分用にカスタマイズしてください。
コツ4: 出力後に「自己レビュー」させる
1回の出力で完成を目指すより、1回目の出力後に「この戦略の弱点を3つ、批判的に挙げてください」と続けて指示する方が、品質が上がります。
ChatGPTは「優しく褒める傾向」があるため、自己批判を明示的に求めないと弱点が出てきません。レビュー指示を入れることで、戦略の穴が見えてきます。
コツ5: 引用元・参考書を渡す
戦略書(『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』『確率思考の戦略論』など)の核要素を最初に渡すと、ChatGPTが「この本のフレームに沿って考えてください」と指示できます。
例: 「以下の3つを必ず守ってください: (1) WHO/WHAT/HOWの順で考える、(2) ターゲットはCEP(Category Entry Point)の数で評価する、(3) 訴求は機能と情緒に分ける」
トラブルシューティング20選
ChatGPTで戦略策定をしていると、よく遭遇する問題と対処法を20個まとめました。
出力の質に関する問題(1〜7)
| # | 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|---|
| 1 | 抽象的な答えしか返ってこない | プロンプトに具体性指示がない | 「数値・固有名詞を必ず1つ以上含めて」と明記する |
| 2 | 教科書的な一般論ばかり | 参照ソースの限定がない | 「以下のソースだけを参照」と限定する |
| 3 | 「活用」「見える化」など曖昧語が頻発 | 禁止語リストがない | 禁止語を5〜10個明示する |
| 4 | 過去の文脈を忘れる | 新しいセッションを開いた | 同一セッション内で続ける、または過去サマリを毎回渡す |
| 5 | 戦略の論理が飛躍する | 思考順序の指定がない | 「WHO→WHAT→HOWの順で考えて」と固定する |
| 6 | 褒め言葉ばかりで弱点が見えない | 自己批判モードを起動していない | 出力後に「弱点3つを批判的に」と続ける |
| 7 | 競合企業に実在しない企業が混ざる | ハルシネーション | 「確信が持てない場合『要確認』と明記」を強制 |
コンテクスト管理の問題(8〜13)
| # | 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|---|
| 8 | 長いプロンプトで途中の指示が無視される | トークン制限・注意の分散 | プロンプトを短く分割、コンテクストを精選する |
| 9 | 2社のクライアント情報が混ざる | 同一セッション内で違う案件を扱った | クライアントごとに別セッションを使う |
| 10 | 業界情報が古い | モデルの学習データのカットオフ | 最新情報はWeb検索連携モデル(Gemini など)を併用 |
| 11 | クライアント業界の特殊事情を無視 | 業界特性をコンテクストで渡していない | 業界特性を3〜5行で明示する |
| 12 | 過去戦略との一貫性が崩れる | 過去サマリが渡されていない | 「過去の戦略要約」を毎プロンプトに添付 |
| 13 | ファイル添付しても読み込まれていない | 添付形式の問題(PDF複雑な構造など) | テキスト or 構造化Markdownで再添付 |
出力フォーマットの問題(14〜17)
| # | 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|---|
| 14 | テーブルで出してと言ったのに段落で返る | フォーマット指定が弱い | 「Markdownのテーブル形式で出力」と具体的に |
| 15 | 箇条書きが途中から段落に変わる | 出力の途中で構造を見失う | 「全項目を箇条書きで統一」と再指定 |
| 16 | JSONで出してと言ったのに構文エラー | 複雑なJSON構造でAIがミス | JSONスキーマを最初に提示、シンプル化する |
| 17 | 絵文字や記号が想定と違う | 絵文字の使い方を指定していない | 具体的な絵文字(🎯 ⚠️ ✅)と用途を明示 |
運用の問題(18〜20)
| # | 症状 | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|---|
| 18 | 応答時間が長すぎる | プロンプトが冗長 / 出力量が多い | 段階的なプロンプトに分割、出力量を絞る |
| 19 | 機密情報を入れて良いか迷う | データポリシーの不確実性 | エンタープライズプランを使う、または機密情報を仮名化 |
| 20 | 同じ操作を毎回繰り返す | 自動化されていない | カスタムGPTやAPIで自動化、または専用AIマーケターに移行 |
ChatGPTで完結させる運用フロー(個人・小規模向け)
ここまでのプロンプト・コンテクスト・ハーネスの設計を活かした、月次の運用イメージです。クライアント1社の場合の参考フローです。
| タイミング | 使うプロンプト・運用 | 所要時間 |
|---|---|---|
| 初期セットアップ | Custom Instructionsを登録、メモリに自分の標準を入れる | 30分 |
| 初回受注時 | プロンプト1〜6を chained prompting で連鎖実行 | 合計2〜3時間 |
| 初回受注時 | プロンプト7(KPI設計) | 30分 |
| 毎月定例前 | 過去サマリ + 今月データ → プロンプト7(月次レポート骨子) | 1〜2時間 |
| 必要時 | プロンプト3(競合動向再調査) | 30分 |
クライアント数が1〜3社の場合、ChatGPTだけで業務を回せます。ペルソナ設定や 競合分析フレーム も合わせて参照すると、より厚い設計ができます。
ChatGPTで難しくなってくるラインと、その時の選択肢
ChatGPTは個人・小規模で戦略策定するには十分なツールです。一方で、クライアント数が増えてきたり、複数案件を並行で動かす必要が出てくると、ChatGPTだけでは限界が見えてきます。
具体的には、以下のような場面です。
- クライアントが3〜4社を超えてきて、案件ごとに頭を切り替えるのが大変になってきた
- 過去のクライアント情報を引っ張り出すのに時間がかかるようになってきた
- 月次レポートのフォーマットを統一したいが、毎回プロンプトに書くのが面倒
- 戦略提案だけでなく、施策のPDCA管理まで一気通貫で動かしたい
- クライアントの機密情報を、より安全に扱える環境が必要になってきた
- 「ハーネス層」を本格的に組みたい(AIが動的に情報取得する設計)
こうした状況になってきたら、汎用AI(ChatGPT)から、戦略フレームとナレッジ管理が組み込まれた専用のAIマーケターに切り替えるタイミングです。
選び方のポイントは、(1) WHO/WHAT/HOWのような戦略フレームが組み込まれているか、(2) クライアントごとのナレッジを継続的に管理できるか、(3) 提案資料・月次レポートまで一気通貫で生成できるか、(4) ハーネス層(動的情報取得・PDCA自動化)が実装されているか、の4つです。
まとめ:「プロンプト < コンテクスト < ハーネス」の3層を意識する
ここまでの内容を整理します。
- ChatGPTで戦略を作るには、「プロンプト < コンテクスト < ハーネス」の3層を設計する必要がある
- プロンプト単体には限界がある。LLMは構造的に「一般論」に収束する
- プロンプト層では、役割・型・制約・出力形式の4要素を組み込む
- AIの考え方を矯正する6つの技: 思考順序固定、成功事例参照、禁止語明示、自己批判、出力例提示、参照ソース限定
- コンテクスト層では、与えすぎないこと、動的取得を意識する
- Custom Instructionsとメモリ機能を活用して、コンテクストを常時適用する
- chained prompting(連続プロンプト)で、戦略策定の各フェーズを連鎖させる
- 失敗 vs 改善の Before/After を5パターン提示。具体性 + 制約 + フォーマット指定で品質激変
- クライアントが増えて複雑になってきたら、ハーネス層を本格実装した専用AIマーケターへ切り替えるタイミング
ChatGPTは、使い方次第で「戦略策定の強力なパートナー」になります。プロンプトを工夫するだけでなく、コンテクスト設計とハーネス設計も意識することで、出力品質は劇的に変わります。今日からまずは Custom Instructions の設定から試してみてください。
補足:戦略策定に特化したAIマーケターを探している方へ
「ChatGPTでは限界が見えてきた」「ハーネス層まで本格的に組みたい」「クライアント案件で本気でAIを活用したい」という方向けに、私が外部CMO時代の経験をもとに開発した MyMarketer がひとつの選択肢になります。
MyMarketerは、この記事で紹介した「3層設計」をプロダクトに組み込んでいるAIマーケターです。WHO/WHAT/HOWフレーム、戦略策定の連続プロンプト、過去ナレッジの動的取得、施策のPDCA管理まで一気通貫で動きます。
詳しくは パートナーページ をご覧ください。
著者について

山本至人
200社以上の中小企業マーケティングを支援。WHO-WHAT-HOWフレームワークをAIに組み込んだMyMarketerの開発者。株式会社WHAT代表取締役。東京大学松尾研AI経営修了。法政大学法学部卒業。映像制作事業やDtoCアパレルブランドなど複数の新規事業立ち上げにCMOとして携わる。2023年株式会社WHAT設立。外部CMOサービスにて多くの企業のマーケティング支援を実施。東京大学松尾研AI経営修了。
- 株式会社WHAT 代表取締役
- 東京大学松尾研 AI経営寄付講座 修了
- 複数企業の外部CMOとしてマーケティング支援を実施








