中小企業のマーケティングは何から始める?「施策の前に戦略」が正解
マーケティング

中小企業のマーケティングは何から始める?「施策の前に戦略」が正解

山本至人
16分で読めます

「新規の問い合わせが来ない。広告を出すべきか、SNSを始めるべきか……」。中小企業の社長から、この相談を何十回と受けてきた。

この記事でわかること

  • 「何から始めるか分からない」の正体=施策から考えている

  • 施策から入ると改善の幅が極端に狭くなる理由

  • 戦略から入ると「売れる仕組みの地図」ができる仕組み

  • 地図ができたらリソースに合わせてPDCAを回すだけ

外部CMOとして中小企業に入ると、ほぼ全社が「広告出すべきですか? SNSですか?」と施策から聞いてくる。

でも私が最初に聞くのは「誰に売りたいですか?」。ここが決まっていないまま施策を選んでも、何をやっても手応えがない。「何から始めるか分からない」のは、能力の問題ではなく、考える順番の問題

この記事では、その「順番」を具体的に解説します。


「何から始めるか分からない」の正体とは?

中小企業がマーケティングで迷う原因は、施策(SNS・広告・SEO)から考えていること。戦略(誰に・何を・どう届けるか)を先に決めれば、やるべきことは自動的に絞り込まれます。

典型的なのがこういう思考パターン。

「新規が来ない」→「広告出そうか」→「いや、SNSの方がいいかも」→「SEOもやった方が…」→「結局どれから?」

この思考の問題点は、最初の問いが「何をやるか(施策)」になっていること。施策から考え始めると、選択肢が多すぎて決められない。広告もSNSもSEOもメルマガも全部「良さそう」に見えるから。

本当に最初に考えるべきは「誰に売るか」。ターゲットが決まれば、その人がどこで情報を探すかが分かり、チャネルは自然と絞れる。30代のBtoB担当者ならLinkedIn、地域の個人客ならGoogleマップ、主婦層ならInstagram——ターゲット次第で答えは変わる。


施策から入ると何が起きるのか?

施策起点と戦略起点の改善幅の違い

施策がうまくいかないとき、改善の幅が極端に狭い

ここが最も深刻な問題。

例えば、Instagram広告を出したとする。CPAが高い。クリエイティブを変える。まだ高い。ターゲティングを変える。少し下がったけど採算に合わない。——もう打つ手がない。

でも実は、そもそもターゲットが間違っていた可能性がある。Instagramを見ない層に、Instagramで広告を出していた。この可能性に気づけないのは、施策単位でしか改善できないから。

施策から入ると、改善の範囲が「その施策の中」に閉じる。クリエイティブ変更、配信設定の調整、入札単価の見直し——全部施策の中の話。ターゲット自体が間違っているという「上流の問題」に遡れない。

たまたまバズっても、長続きしない

施策単発で当たることはある。SNS投稿がバズって一気にフォロワーが増えた。でも次の月にはまた元通り。

「なぜ当たったか」が分からないから再現できない。戦略がないと、マーケティングが「偶然に頼る経営」になってしまう。当たるも八卦、当たらぬも八卦。

やることが増えるほど、混乱する

SNSもやらなきゃ、広告も出さなきゃ、SEOもやった方がいい、メルマガも……。全部が「やるべきこと」に見えて、結局どれも中途半端に終わる。

CMOとして入った会社の多くがこの状態だった。5つのチャネルに手を出して、全部が月に2〜3回の更新。どれも成果が出ない。当然だと思う。何も突き抜けていないから。

⚠ 注意: 「とりあえず全部やる」は最悪の選択。中小企業のリソースで5チャネルを回すのは物理的に無理。1つに絞って突き抜けた方が、5つを薄くやるより成果は出る。


戦略から入ると「売れる仕組みの地図」ができる

売れる仕組みの地図 5ステップのフロー図

地図の作り方:5つのステップ

戦略とは、つまり「売れる仕組みの地図」を作ること。地図があれば、どこに向かって歩けばいいか分かる。地図の作り方はこの5ステップ。

ステップ

やること

問い

① 市場環境

自社を取り巻く状況を把握する

業界全体は伸びている?縮んでいる?

② 自社の強み

競合にない武器を整理する

お客さんに「なぜうちを選んだか」聞いたことは?

③ 顧客ニーズ

お客さんが本当に求めていることを特定する

商品の機能ではなく、解決したい「困りごと」は?

④ 競合の穴

競合が提供できていないことを見つける

競合に不満を持っている顧客はどんな人?

⑤ 勝てる戦場

自社が圧倒的に有利なポジションを割り出す

①〜④を踏まえて「ここなら勝てる」場所は?

ここまでが「地図」。この上に、ターゲット(誰に)→ 提供価値(何を)→ 施策(どう届けるか)を載せていく。

中小企業庁の調査では、マーケティング戦略を文書化している中小企業は全体の18%(2024年)。逆に言えば、地図を作るだけで上位2割に入れる。

地図があれば「施策が失敗しても戻れる」

これが地図の最大の価値。

状況

施策起点(地図なし)

戦略起点(地図あり)

施策Aが失敗

クリエイティブを変える(施策内の改善)

まずクリエイティブを変える

改善しても効果なし

「もう打つ手がない」と諦める

「ターゲットが間違ってるのでは?」と地図の上流に戻る

ターゲットを見直す

そもそもターゲットを定義していない

地図のステップ③④に戻って再検討

再チャレンジ

別の施策をまたゼロから試す

新しいターゲットに合った施策を地図から選ぶ

施策起点だと、失敗したら「次の施策」を探すしかない。戦略起点なら、施策→提供価値→ターゲット→市場環境と、どこまでも上流に遡れる。これが「地図がある」ということ。

地図ができれば、やることは自動的に決まる

地図の上に施策を載せるとき、マーケティングでは「4P」というフレームワークでもれなく整理する。Product(商品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(販促)。

この4つを埋めていけば、「SNSか広告か」という問いは消える。ターゲットに届く手段として最適なものが、地図の上に自然と浮かび上がるから。

あとは自社のリソース(人数・時間・予算)に合わせて優先順位をつけ、上から順にPDCAを回していくだけ。

ポイント

「何から始めるか」の答えは施策ではなく地図。地図=戦略。戦略があれば施策は自動的に決まるし、失敗しても戻る先がある。


PDCAを「回し切れない」問題をどう解決するか

AIによるPDCA自動管理の図解

なぜ中小企業はPDCAを回し切れないのか

戦略を作っても、多くの中小企業はPDCAを回し切れない。外部CMOをやっていて、ここが一番もどかしかった。

理由は3つ。

  • 時間がない: 日々の業務に追われて施策が止まる。「来月からやろう」が3ヶ月続く

  • 施策が多すぎる: 何をチェックすればいいか分からず、振り返りが形骸化する

  • 記憶が残らない: 3ヶ月前にやった施策の結果を覚えていない。同じ失敗を繰り返す

これは意志の問題ではない。中小企業の社長は本業で忙しい。マーケの振り返りに月3時間を割けと言っても、現実的に難しい。

AIのパワーでPDCAを最適化する

だからこそ、ここにAIを使うべきだと思っている。

私が開発したMyMarketerは、戦略作成だけでなくPDCAの管理まで一貫して行えるツール。具体的には:

  • 戦略はプロの型で作成: マーケティング理論と実務で検証された手法をベースに、業種・規模に合った戦略を30分で自動生成

  • 施策ごとにAIが把握・管理: どの施策を、いつ実行し、どんな結果が出たかをAIが全て記録

  • 自動でPDCAが回る: 「先月のInstagram投稿の反応はこうでした。次はこの方向で」と、改善案をAIが提案

  • 良かった施策・悪かった施策を記憶: 過去に効果がなかった施策をまたやろうとすると「これは前回効果がなかったので、別の施策を検討しませんか」とアドバイスが来る

戦略を作る→PDCAを回し切る→学習して賢くなる。この3つを1つのツールで完結させる。人間のCMOがやっていたことを、AIが24時間体制でサポートする。月5万円〜。

ポイント

戦略を作っただけでは売上は変わらない。実行→検証→改善を回し切って初めて成果が出る。中小企業が回し切れない部分こそ、AIに任せるべき領域。


業種・予算別|最初の一歩はこれ

地図(戦略)ができたら、自社の業種とリソースに合った施策から始める。全業種に共通するのは「まず1つに絞る」こと。

BtoB企業(製造業・IT・コンサル・人材等)

BtoBの顧客は検索で情報を探す。見込み客が「○○ 比較」「○○ 選び方」で検索したとき、自社の記事が出てくる状態を作るのが最優先。

予算

最初にやること

0円

自社サイトに事例ページを3本追加。既存顧客に「なぜ選んだか」をヒアリング

月1〜5万円

SEO記事を月1本。ターゲットの悩みに答える記事を書く

月5〜30万円

SEO + LinkedIn広告 or リスティング広告(KW絞り込み)

BtoC企業(EC・サービス・教室・サロン等)

BtoCは「見つけてもらう」と「思い出してもらう」の両輪。地域密着ならGoogleマップ、広域ならSNSが起点。

予算

最初にやること

0円

Googleビジネスプロフィールを最適化。写真を10枚以上追加

月1〜5万円

SNS1チャネルに絞って週3投稿(ターゲットがいるSNSを1つだけ選ぶ)

月5〜30万円

SNS + Meta広告(少額テスト→反応を見て拡大)

士業・専門サービス(税理士・弁護士・設計事務所・コンサル等)

専門性が最大の武器。「この分野ならこの人」と想起される状態を作る。

予算

最初にやること

0円

専門知識を活かしたブログ記事を月1本。よくある相談をそのまま記事にする

月1〜5万円

SEO記事 + メルマガ(既存顧客・見込み客への定期接触)

月5〜30万円

SEO + リスティング広告(「○○ 相談」系のKWに絞る)

💡 Tip: どの業種でも「まず1つに絞る」が鉄則。中小企業のリソースで複数チャネルを同時に始めると、全部が中途半端になる。1つで成果が出てから次に広げる。


よくある質問

中小企業のマーケティングは何から始めるべき?

SNSや広告などの施策ではなく、まず「誰に・何を・どう届けるか」の戦略を作ること。戦略が決まれば、やるべき施策は自動的に絞り込まれる。所要時間は30分〜1時間。

「何から始めるか分からない」のは施策から考えているから。地図(戦略)を先に作れば迷わない。

マーケティングの予算がほぼゼロでも始められる?

始められる。戦略を作ること自体にお金はかからない。施策もGoogleビジネスプロフィールの最適化やブログ執筆など、無料で始められるものがある。

大事なのは予算の多寡ではなく、方向性が正しいかどうか。予算ゼロでも方向性が正しければ成果は出るし、月50万使っても方向性がズレていれば消える。

SNSと広告、どちらから始めるべき?

どちらも「施策」であり、先に決めるべきは「誰に売るか(ターゲット)」。ターゲットが明確になれば、その人がどこで情報を探すかが分かり、SNSか広告かは自然に決まる。

「SNS vs 広告」で悩んでいる時点で、まだ戦略ができていないサイン。

マーケティング戦略を自分で作るのは難しい?

フレームワーク(型)に沿って情報を整理するだけなので、専門知識は不要。「市場→自社の強み→顧客ニーズ→競合の弱点→ターゲット→施策」の順番で考えれば、骨格は誰でも作れる。

自分で整理するのが難しければ、AI戦略ツールを使えば30分で完成する。


まとめ|地図を作れば、迷わない

「中小企業のマーケティングは何から始める?」——この問いへの答えは、SNSでも広告でもない。

「売れる仕組みの地図」を作ること

地図=戦略。市場環境→自社の強み→顧客ニーズ→競合の穴→勝てる戦場。この5ステップで地図を作り、その上にターゲット→提供価値→施策を載せていく。

地図があれば:

  • やるべきことが自動的に決まる

  • 施策が失敗しても上流に戻って改善できる

  • PDCAの質が上がり、同じ失敗を繰り返さない

「自分で地図を作るのは大変そう」と感じたら、MyMarketerの無料体験で30分で戦略の骨格を作ってみてください。地図さえできれば、最初の一歩は自然と見えてくるはず。


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参考文献

  • 中小企業庁「中小企業白書 2024年版」— 中小企業のマーケティング戦略策定状況(文書化率18%)

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著者について

山本至人

山本至人

200社以上の中小企業マーケティングを支援。WHO-WHAT-HOWフレームワークをAIに組み込んだMyMarketerの開発者。株式会社WHAT代表取締役。東京大学松尾研AI経営修了。

法政大学法学部卒業。映像制作事業やDtoCアパレルブランドなど複数の新規事業立ち上げにCMOとして携わる。2023年株式会社WHAT設立。外部CMOサービスにて多くの企業のマーケティング支援を実施。東京大学松尾研AI経営修了。

  • 株式会社WHAT 代表取締役
  • 東京大学松尾研 AI経営寄付講座 修了
  • 複数企業の外部CMOとしてマーケティング支援を実施
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