AIマーケターでできること|調査・企画・制作・分析の具体例
AIマーケターとは
AIマーケターとは、マーケターとして働き、これまで人が担ってきた調査・戦略立案・制作・分析・改善などの業務を代替するAIです。
たとえば、顧客や競合を調べ、その結果から施策を考え、記事やLPを作り、実績を見て改善する。こうした仕事を、目的や会社の情報を踏まえて進める存在です。
任せられる範囲は、使うAI・ツールや接続するデータによって異なります。この記事では、具体的な仕事と出来上がるものから、どこを任せられるかを説明します。
自分の業務に置き換えられるよう、依頼例に加え、自社でAIと進めた記事改善の実例も取り上げます。
AI社員との関係や導入の全体像は、AIマーケターとは?AI社員との関係・導入の進め方で説明しています。
AIマーケターに任せられる仕事の全体像
マーケティングの仕事を「調べる」「企画する」「作る」「振り返る」に分けると、任せたい場面が見つけやすくなります。

| 仕事の場面 | AIに頼めること | できあがるもの |
|---|---|---|
| 顧客や競合を知りたい | 商談メモの整理、競合の提供内容の比較 | 顧客の検討理由、競合比較表 |
| 次の施策を決めたい | 事業目標や実績を踏まえた施策の比較 | 施策案、優先順位とその理由 |
| 記事を用意したい | テーマ調査、構成・本文の作成、既存記事の改善 | 記事の構成、原稿、画像や内部リンクの案 |
| 商品を紹介するLPが必要 | 構成・文章・デザイン・ページの制作 | 申込先へ案内するLP |
| 広告やSNSで発信したい | 切り口の検討、コピー・投稿文の作成 | 広告案、投稿文、画像・動画の制作案 |
| 実績を見て改善したい | 数値の集計、変化の整理、改善案の検討 | レポート、次に取り組む仕事の候補 |
すべてを一度に任せる必要はありません。まず競合比較だけを頼む使い方も、調査から制作までつなげる使い方もできます。画像・動画の生成やページ実装には、それぞれに対応する機能や制作環境が必要です。
自分の仕事なら、どこから任せる?
最初の担当は、今いちばん手が止まっている場所から選びます。作業の種類だけでなく、渡す材料と、返ってきたら次に何ができるかまで決めておきます。

- 会議で毎回「次に何をするか」が決まらない:施策の比較を依頼。目標・実績・使える予算と時間を渡し、候補ごとの根拠と必要工数を受け取ります。採用する施策を決める材料にします。
- 商品資料はあるが、紹介ページがない:LP構成の担当を用意。商品資料・読者・申込先を渡し、構成と本文を受け取ります。LP制作の実例と依頼文で試せます。
- 数値を集めるだけで毎週終わる:週次報告の担当を用意。期間をそろえた集計と変更履歴を渡し、変化・未確認事項・次の確認を受け取ります。PDCAの入力データと報告例で流れを確認できます。
たとえば「記事を増やして」と依頼する代わりに、「検索されている疑問と競合本文を調べ、既存記事で答えられていないことを特定して」と頼みます。受け取りたいのは記事タイトルの一覧だけでなく、次のような判断材料です。
仮に「業務システムの導入費用」という記事を見直す場合、調査担当の報告は次の形で受け取ります。以下は架空の報告見本で、実在ページの調査結果ではありません。
検索者の問い:自社の場合にいくらかかり、何を準備すればよいか。
未回答の問い:見積もりを頼むとき、どんな条件を伝えるか。
競合との差:費用項目の説明に加え、記入済みの依頼文を用意する。
出典欄:確認した競合URL・確認日・該当する本文を記録する。
次の確認:実際の見積もり項目を社内担当者へ確認する。
制作へ渡すもの:対象業務・件数・接続先・納品物を埋めた依頼例。
実際の報告で出典欄が空だったり、検索結果の見出ししか読んでいなかったりすれば、本文の比較をやり直します。提案された追加内容が既に競合にある場合も、別の不足を探すか、自社の具体例でどこまで答えられるかを検討します。
調査結果が「独自性を出しましょう」だけなら、まだ制作へ渡せません。どの読者の疑問に、何を使って答えるかが決まってから原稿へ進みます。担当として繰り返し使う設定はAI社員の作り方、社内で作るか外部へ頼むかの比較は導入方法と費用にまとめています。
仕事別に見る、AIマーケターの使い方
以下の依頼文は、頼み方をイメージするための例です。実在の顧客の依頼や成果を示すものではありません。
顧客・競合の調査をまとめる
商談メモは残っているのに、商品説明や提案へ生かせていない。そんな場面では、AIにメモを読み込ませ、購入を考えた理由や迷っている点を整理してもらえます。
この商談メモから、検討のきっかけ、重視している条件、申し込みを迷う理由を整理してください。それぞれの根拠となる記述も示してください。
たとえば説明用のメモに「料金より、社内で設定できるかが心配」とあれば、設定支援の説明を追加する候補になります。「価格が高いから売れない」とひとまとめにする前に、何が検討を止めているのかを考えやすくなります。
競合調査なら、比較したいサービスと自社の商品資料を渡します。Webを調べられる環境では、提供範囲、料金、導入方法などを、出典付きの比較表に整理できます。自社の説明で足りない点や、提案で伝えたい違いを考える材料になります。
顧客の実際の発言がない場合、AIに人物像を考えさせることもできます。ただし、それは調査の仮説です。実際の顧客が話した内容とは分けて使います。
戦略や施策の優先順位を考える
記事、広告、SNSなど、やりたいことは多いけれど順番が決まらない。AIには、目標と現状を渡して施策を比較してもらえます。
商品資料、問い合わせの状況、これまでの施策をもとに、次に取り組む候補を比較してください。必要な準備と、選ぶ理由も教えてください。
できあがるのは、施策名だけの一覧ではありません。たとえば、検索から商品に関心のある人が来ていないなら、需要を調べて記事のテーマを見直す案。アクセスはあるのに商品の内容が伝わっていないなら、紹介ページを直す案が考えられます。
候補ごとに「何を改善したいのか」「なぜ今取り組むのか」「どんな材料が要るのか」が整理されると、社内で実施する仕事を選びやすくなります。データが足りなければ、先に確かめることまで出してもらいます。
SEO記事を作る・書き直す
AIには文章を書く作業に加えて、検索する人の疑問を調べ、構成を作り、既存記事を見直す仕事も頼めます。
この既存記事を、商品の利用を検討する人の疑問に答える内容へ書き直してください。検索結果と参考資料を調べ、構成を見直してから本文を作ってください。
新規記事なら、検索需要と既存記事を比べ、書くテーマを選ぶところから相談できます。テーマが決まったら、参考資料や自社の実例をもとに、構成と本文へ進めます。リライトなら「説明が足りない箇所」「古くなった情報」「別の記事へ渡した方がよい話」を整理してから直せます。
受け取るものは、記事の原稿だけに限りません。タイトル、説明文、必要な図の案、関連記事へのリンクも一緒に用意できます。検索量や順位の調査には、利用できる検索ツールやデータが必要です。
LPの構成・文章・ページを作る

新商品や体験サービスを案内したいときは、商品資料からLPを作る仕事を頼めます。LPは、一つの商品や申し込みを紹介するためのページです。
この商品資料をもとに、初めて知る人向けの体験申込LPを作ってください。商品の特徴、利用場面、申込条件が分かる内容にしてください。
構成では、最初に何を伝え、どこで具体例を見せ、どんな疑問に答えてから申し込みへ案内するかを考えます。その後、見出しや本文、デザインへ進みます。コードの作成や表示確認に対応する環境なら、Webページとして形にするところまで扱えます。
商品資料にない実績や料金をAIに補わせる必要はありません。実際の情報を用意するほど、自社の商品に合ったページを作りやすくなります。
自分の商品で試したい場合は、LP制作スキルの内容と制作例を確認できます。
広告・SNSの発信を作る
商品の特徴は分かっていても、毎回同じ説明になってしまう。AIには、読む人の場面を変えながら、広告や投稿の切り口を考えてもらえます。
このサービスを「初めて導入する人」と「今の方法を見直したい人」に紹介する投稿文を、それぞれ作ってください。どんな疑問に答える投稿かも添えてください。
初めての人には利用場面を、見直したい人には現在の方法との違いを伝える、といった案を比較できます。既存記事を短い投稿にまとめたり、同じ商品の説明を媒体に合う長さに整えたりする使い方もあります。
画像・動画に対応するAIや制作ツールと組み合わせれば、ビジュアル制作も依頼できます。投稿や広告配信まで動かす場合は、制作に加えてアカウント接続と実行範囲の設定が必要です。
実績を読み、次の改善を考える
レポートは作ったけれど、次に何をすればよいか決まらない。そんなときは、実績データと実施した変更を一緒に渡します。
今月と前月の記事別データを比べ、変化の大きいページを整理してください。次に調べることと、改善候補を分けて提案してください。
AIは、表やグラフへの整理、ページごとの比較、変化の原因候補の洗い出しを支援できます。たとえばChatGPTのデータ分析機能では、アップロードした表データの集計やグラフ作成に対応しています。検索で表示される回数は増えたのにクリックが増えていなければ、どんな検索語で表示されたか、タイトルがその疑問に合っているかを調べる候補になります。
数字の変化だけで原因が確定するわけではありません。期間や集計条件をそろえたうえで、次に確かめることと、試す改善を整理すると実務へつなげやすくなります。
実例:自社のSEO記事をAIと改善した流れ
当社では、AIエージェントとSEOスキルを使い、公開済み記事の改善を進めています。その一つが、マーケティング外注の費用比較と頼み方を扱う記事です。
この改善では、外注を考える読者が「何を頼むか」「見積もりをどう比べるか」を判断できる記事を目指しました。実際の依頼と作業を要約すると、次のような流れです。

| 段階 | AIと進めた仕事 | できあがったもの |
|---|---|---|
| 調べる | 検索需要、競合記事、既存ページを比較する | 取り組む記事と改善する内容の候補 |
| 組み立てる | 外注を検討する人に必要な説明を整理する | 依頼範囲、費用比較、制作見本を含む記事構成 |
| 書く・直す | 構成に沿って説明と記入例を作り、レビュー後に修正する | 本文、比較表、関連ページへのリンク |
完成した記事には、外注費を比較するときの項目として、次のような表を載せています。実記事からLP制作の行を抜粋したものです。
| 頼む仕事 | 見積もりでそろえる項目 |
|---|---|
| LP制作 | 構成、原稿、デザイン、実装、フォーム接続、計測、公開、保守 |
「LPを作ってもらう費用」だけでは、どこまで含む見積もりなのか分かりません。この表があれば、読者は各社に頼む範囲をそろえて確認できます。
このように、AIには文章を増やすだけでなく、読者が判断するために必要な説明や表を考え、原稿にするところまで頼めます。実際の運用には、人の方針決定、確認、修正も含まれています。ここで紹介しているのは制作の実例であり、リライトによる順位や受注の改善効果はまだ確認できていません。
任せられる範囲は、資料と使う環境で変わる
同じ「AIマーケター」でも、商品資料を読んで原稿を作る使い方と、検索・解析ツールにつないで調査や集計をする使い方では、準備するものが異なります。
手元の資料を使った整理や制作なら、その資料から始められます。最新の検索データや広告実績を使うには、そのデータを取り込むか、対応するサービスにつなぐ必要があります。さらにサイト更新や投稿まで任せるなら、操作権限と実行してよい範囲を決めます。
AIは比較案や制作物を用意できますが、自社として何を目指すか、どの予算を使うか、何を公開するかは、会社の判断として決める必要があります。資料にない顧客の反応や、取得していない実績まで分かるわけではありません。
利用費用も、AI本体の料金に加えて、画像・動画生成や外部データの利用料が発生する場合があります。導入するときは、自分が任せたい仕事に必要な機能と費用を確認してください。
自分の仕事で試すなら、何を頼むか
まずは、今進めたい仕事を一つ当てはめてみてください。
- 競合調査が進んでいないなら、比較したいサービスと論点を渡し、比較表を作る。
- 来週使うLPが必要なら、商品資料と申込条件から構成・文章を作る。
- 毎月の報告に時間がかかるなら、実績データを渡し、変化と次の確認事項を整理する。
「マーケティングを全部お願いします」より、何を進めたいかと、何ができあがると助かるかを伝えると、最初の依頼が具体的になります。仕上がりを見てから、続く仕事も任せるかを考えられます。
自社の資料やデータを使い、調査・制作・改善を継続して進める環境を整えたい場合は、AIマーケターチーム構築支援で支援内容をご覧いただけます。
こうした仕事を継続して任せる担当として組み立てたい場合は、AI社員の考え方と、複数の担当へ仕事を渡す方法も参考になります。マーケティング以外の業務例と、任せる前の準備も整理しています。
著者について

山本至人
200社以上の中小企業マーケティングを支援。WHO-WHAT-HOWフレームワークをAIに組み込んだMyMarketerの開発者。株式会社WHAT代表取締役。東京大学松尾研AI経営修了。法政大学法学部卒業。映像制作事業やDtoCアパレルブランドなど複数の新規事業立ち上げにCMOとして携わる。2023年株式会社WHAT設立。外部CMOサービスにて多くの企業のマーケティング支援を実施。東京大学松尾研AI経営修了。
- 株式会社WHAT 代表取締役
- 東京大学松尾研 AI経営寄付講座 修了
- 複数企業の外部CMOとしてマーケティング支援を実施





