Web制作会社の戦略フェーズはAIで型化できる|マーケティング戦略提案を3倍速くする実践ガイド
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Web制作会社の戦略フェーズはAIで型化できる|マーケティング戦略提案を3倍速くする実践ガイド

山本至人
42分で読めます

結論:戦略フェーズの「型化」は、AIに任せられる時代です

「戦略までは正直、現場で型にする時間がないんですよね」

最近、Web制作会社の代表の方とお話していると、こうした声を本当によく耳にします。サイト制作の単価が下がる一方で、クライアントは戦略提案まで期待してくる。間に挟まれて、悩まれている方は少なくありません。

結論からお伝えします。クライアントへのヒアリングは今まで通りで大丈夫です。大変なのはその先、聞き取った情報を「戦略の型」に整理し、提案資料に落とすところ。そこをAIに任せれば、戦略フェーズは想像よりずっと軽くなります

この記事では、元CMOであり、現在Web制作会社さん向けにAIマーケターを提供している立場から、戦略フェーズに無理なく踏み込むための実践フローをお伝えします。「戦略コンサルになる」という重い話ではなく、今ある制作プロセスに、AIによる戦略変換ステップを1つ足すだけのシンプルな話です。

この記事は、相談を受けたWeb制作会社さんから引き出した一次情報を踏まえて書いています。「答えにくい2大質問への対処法」「戦略提案資料の章立てテンプレート」「キックオフヒアリングシート」など、他では公開していない実用パートも含めました。長めですが、必要な部分だけ参照するスタイルでお使いください。

私たちが話したWeb制作会社さんの実態

実際にどんな会社さんが戦略フェーズで悩んでいるのか、現場のリアルから共有します。

社員数20〜60名の中堅Web制作会社が中心

戦略フェーズの相談を受けるWeb制作会社さんの規模感は、社員数20〜60名・年商3〜10億円程度のレンジが中心です。

個人事業主や5〜10名規模の制作会社さんは、社長や少数のディレクターが戦略フェーズも兼務しているケースが多く、組織として戦略フェーズに困るフェーズではありません。一方、100名を超える規模の制作会社さんは、戦略専門部門やマーケティング統括ポジションが社内にあるため、戦略フェーズが社内資産化されています。

その間、20〜60名の中堅レンジが構造的に一番困っている。これは規模が大きくなる過程で必然的に起きる「戦略人材の希少性」と「案件の質的拡大」のミスマッチに起因します。

単価下落の圧力 — AI・フリーランスとの戦い

制作会社さんが戦略フェーズに本気で踏み込み始めた背景には、サイト制作単価の下落があります。要因は2つ。

  • AI・ノーコードツール普及: クライアント自身が一定品質のサイトを作れるようになった。「制作だけ」の価値が薄れた
  • フリーランスの単価競争: 同じデザイン・コーディング品質を、フリーランス連合が3〜5割安い価格で提供してくる

「同じ仕事を低価格で奪われる」状況に対して、Web制作会社さんが選んだ生存戦略が 「戦略フェーズに踏み込んで単価を上げる」「サポートを厚くして競合と差別化する」 という方向です。

戦略フェーズを提案に組み込むと、サイト制作200万円が「戦略策定 + サイト制作 + 運用伴走」のパッケージで600〜1,000万円に跳ねます。フリーランスや低価格制作会社では到達できない領域です。

「社長しか戦略を作れない」属人化問題

20〜60名の規模で起きるもう1つの構造問題が、戦略立案ができる人材が社長一人というケースです。

創業者である社長が、もともとマーケや事業設計の経験を持っていて、案件のキックオフでクライアントから戦略を引き出している。ディレクターやプロデューサーは戦略のアウトプットを見て学んでいるけれど、自分で一から組み立てるのは難しい。

その結果、社長が忙しい / 体調を崩す / 別案件に集中している という時に、戦略フェーズが回らなくなります。

状況戦略人材の数典型的なボトルネック
社員5〜10名(小規模)社長 + 1〜2名戦略は社内総出。その代わり実装リソースが薄い
社員20〜60名(中堅)社長のみのケースが多い社長案件しか戦略提案できない。受注上限が社長の時間で決まる
社員100名以上(大規模)戦略部門あり、5〜10名戦略部門の稼働調整がボトルネック化することはあるが、人手不足ではない

20〜60名規模の制作会社さんで「もし社員5名が戦略提案できたら、受注は3倍になる」という肌感を持っている社長さんは少なくありません。戦略人材の希少性が、そのまま会社の獲得力の上限を決めている構造です。

クライアントから飛んでくる「答えにくい2大質問」

制作会社さんがコンペや初回提案で詰まる場面の多くは、クライアントから投げかけられる2つの質問に集約されます。

  • 質問1: 「他社と何が違うのか?」 — 競合との差別化を、ロジカルに語れるか
  • 質問2: 「効果は出るのか?」 — 投資対効果を、数字と根拠で示せるか

この2問は、デザイン提案やワイヤーフレームをいくら作り込んでも答えられない領域です。「戦略の言語」が必要になる場面で、ここを社長以外のメンバーが答えられない、というのが20〜60名規模の制作会社さんが直面する最大の壁です。

後ほど別章で、この2大質問に 「試算 × WHO/WHAT/HOWフレーム × ロジカル説明」 の3点セットで答える具体策をご紹介します。

Web制作会社の現場でよくある3つの状況:ヒアリング整理の時間不足、戦略の属人化、提案資料での戦略パート薄化
戦略フェーズが手薄になりがちな3つの現場あるある

なぜ今、戦略フェーズの相談が増えているのか

クライアント側のリテラシーが上がっている

ここ数年、クライアント企業の経営層やマーケ担当者のリテラシーが、以前とは比較にならないほど上がっています。SNSや書籍で戦略論に触れる機会が増え、「ターゲット設定」「ポジショニング」といった言葉を自然に使うクライアントが増えました。

その結果、こんな問いが当たり前のように飛んでくるようになっています。

  • 「うちのターゲットって、本当にこの層でいいんでしたっけ?」
  • 「競合と比べて、何を強みとして打ち出すのがベストだと思いますか?」
  • 「このサイト、どういうKPIで効果を測ればいいですか?」

クライアントの期待値が、純粋な「制作」から「戦略を含めた提案」へと自然に拡張しているわけです。これは制作会社さんが何かを間違えたというわけではなく、市場全体のシフトです。

同じ業界で「指名で相談が来る会社」と「コンペで戦う会社」の差

面白いことに、同じ業界・同じ規模の制作会社さんでも、最近こんな差が生まれています。

状態営業の中身受注の質
コンペで戦っている会社デザインカンプ + ワイヤーフレーム + 工数見積もり価格比較される、単発で終わる
指名で相談が来る会社誰にどう売るかの戦略 + サイト設計 + 運用フェーズの伴走提案パッケージ受注、顧問契約に発展

差は「能力」ではなく、戦略フェーズを提案の中に組み込めているかどうか。それだけです。

「戦略フェーズが手薄になりがち」な3つの現場あるある

戦略を提案に組み込んだ方がいいのは、多くの方がすでに分かっています。それでも実際には組み込みきれない。理由は能力の問題ではなく、現場の構造的な制約です。よくある3つの状況を共有します。

あるある1: ヒアリング後の「整理する時間」が取れない

クライアントとのキックオフでは、いろんな話を聞きます。事業の歴史、現在の課題、競合の動向、KPI目標。ただ、ヒアリング後にこれをWHO/WHAT/HOWのような戦略の型にまとめ直す作業が、一番時間のかかる工程です。デザインや実装が並行で進む中、ここに数時間〜数日かけるのは現実的に難しい。

あるある2: 戦略立案が属人化している

前章でも触れたとおり、20〜60名規模の制作会社さんでは戦略立案が社長一人に集中するケースが目立ちます。ディレクターのAさんが戦略強いから、Aさん案件は受注率が高い、というパターンも。属人化していると、その人が忙しい時や別案件に入っている時に戦略提案が回らない。会社としての再現性が出にくい構造になっています。

あるある3: 提案資料で戦略パートを書く優先度が下がる

限られた提案準備時間の中で、デザインカンプやサイトマップに時間を使うと、戦略パートは「ターゲットは30代女性、コンセプトは温かみ」のような短い記述で終わりがちです。力を入れたいのにそこまで手が回らないのが本音だと思います。

3つとも共通する原因は、戦略の整理・型化に時間がかかりすぎること。ここをAIで解決すると、現場の流れを大きく変えずに戦略フェーズを強化できます。

戦略フェーズを軽くする3ステップ

具体的なフローをご紹介します。「ヒアリングのやり方を変える」必要はありません。むしろ、これまでの会話力・ヒアリング力をそのまま活かせます。

Step 1. ヒアリングはこれまで通り、自然な会話で

従来通り、キックオフでクライアントから話を聞きます。テンプレに無理やり当てはめる必要はなく、相手のペースで話してもらってください。

むしろ、構造化されたヒアリングシートを最初に出すと、クライアントが構えてしまうことがあります。「色々と話を聞かせてください」というスタンスで、メモを取りながら自然に会話するのが、結果的に深い情報が出てきます。

ヒアリングで出てきた話を、そのままメモやドキュメントに残しておきます。きれいに整理する必要はありません。ナマの言葉のまま残すのがポイントです。

後ほど「キックオフヒアリングシート」の章で、私が実際に使っている質問リストを公開します。

Step 2. ヒアリング内容をAIに渡して、WHO/WHAT/HOW型の戦略に変換

ここが今までになかった新しいステップです。ヒアリングメモをAIに渡すと、自動でWHO/WHAT/HOW型の戦略フレームに整理してくれます

具体的には、以下のような形で出力されます。

戦略の階層AIが整理してくれる内容
WHO(誰に売るか)ターゲット顧客の業界・役職・抱えている課題・購買意思決定プロセス
WHAT(何の価値を売るか)機能的価値(できること)+ 情緒的価値(感じてもらえること)+ 競合との差別化軸
HOW(どう届けるか)SEO / 広告 / SNS / 紹介の最適配分、KPI設計

このWHO/WHAT/HOWフレームは、USJを劇的にV字回復させた森岡毅氏の手法をベースにしたもので、マーケティング戦略の世界では「事業を伸ばす型」として広く使われています。詳しくは WHO WHAT HOW戦略の完全ガイド をご覧ください。

従来は、この「ヒアリングメモ → 戦略フレーム」の翻訳作業に2〜3時間かかっていました。AIを使えば、同じ作業が15〜20分で終わります

Step 3. AIが整理した戦略を磨き、提案資料に落とす

AIが出してくれる戦略フレームは、あくまでドラフトです。ここから先は人間の出番です。

  • クライアント業界の特殊事情を反映する
  • 過去の自社実績やノウハウを織り交ぜる
  • 提案のトーン・温度感を、相手の経営層に合わせて調整する

これらは、現場のディレクター・営業の経験値が最も活きるところです。AIで土台を作り、人間で磨き込む。これが新しい働き方の標準です。

提案資料への落とし込みも、AIにフレームを渡せば章立て案・本文ドラフト・図解構造案までドラフトを生成できます。テキストエディタやスライドツールに移してから、最終的な仕上げをしていきます。

時間配分はこう変わります

このフローを実践した制作会社さんで、実際に観測された時間短縮の例です。

フェーズ従来AI活用後短縮率
業界・競合調査約120分約30分-75%
ヒアリング → 戦略フレーム変換約120分約20分-83%
ターゲット設定(ペルソナ)約90分約20分-78%
戦略提案資料の作成約180分約60分-67%
提案レビュー・磨き込み約60分約60分変化なし(ここが人間の出番)
合計約570分約190分-67%

1案件あたり約6.3時間の短縮です。月20案件抱える制作会社さんなら、月126時間ぶんの余裕が生まれる計算になります。

この余裕を、(a) 案件数を増やす、(b) 既存クライアントへの伴走を厚くする、(c) チームの育成に回す、といった選択肢に振り分けられます。

AIで戦略フェーズを67%短縮する実践フロー(業界調査・戦略フレーム変換・ペルソナ設定・提案資料・レビュー)
AIで戦略フェーズを67%短縮できる実践フロー

業界・競合調査をAIで30分に圧縮する

競合分析は、(1) クライアント業界の主要プレイヤーを洗い出す、(2) 各社のサイト構成・訴求軸を比較する、(3) ポジショニングの空白を特定する、の3つが核になります。

AIに「クライアント業界とURL」を渡すと、競合5〜10社の訴求軸を構造化してくれます。3C分析・SWOT分析・ポジショニングマップの形式で、必要な情報が揃った状態で出力されます。

ディレクターが行うのは、出力された分析を読み込んで、「この観点はもう少し深掘りしたい」「ここはクライアントの実態と違いそう」と判断する、いわば編集者の役割です。

ペルソナ設定をAIで20分に圧縮する

ペルソナは本来、定性インタビューを行って数十時間かけて練り上げるものですが、毎案件でそこまで時間を取るのは現実的ではありません。

ヒアリングメモをAIに渡すと、「この業界でこの役職の人なら、こんな課題・こんな購買プロセス」という典型ペルソナが20分ほどで出てきます。詳しくは ペルソナ設定のやり方 も参考にしてください。

クライアントとレビューしながら微調整するのが運用のコツです。「うちのお客さんは実はもっと若い」といった現場の肌感を反映させることで、AIの出力が一気に実用レベルになります。

提案資料の章立て・ドラフトをAIで60分に圧縮する

戦略フレームの5項目(ターゲット・提供価値・差別化軸・集客チャネル・KPI)をAIに入力すると、提案資料の章立て・本文ドラフト・図解構造案まで自動生成されます。

ここから先で人間がやるのは、(a) クライアント固有の事情を加える、(b) トーンを整える、(c) 数値や事実関係をファクトチェックする、の3つ。

「戦略の型はAIで、磨き込みは人間で」が、これからの提案フローのスタンダードです。

クライアントの「答えにくい2大質問」にどう答えるか

ここからは、制作会社さんがコンペや初回提案で詰まる「他社と何が違うのか?」「効果は出るのか?」 に答えるための、具体的な型をご紹介します。

結論から言うと、答え方の核は「試算 × WHO/WHAT/HOW × ロジカルな説明」の3点セットです。社長以外のメンバーでも、この型を回せれば、コンペで戦える戦略提案ができるようになります。

「他社と何が違うのか」にWHO/WHAT/HOWで答える

「他社と何が違うのか」という質問に対して、形容詞や抽象的な強みを並べると、クライアントには響きません。「品質にこだわっています」「丁寧にヒアリングします」のような言葉は、他社も全員言っているからです。

差別化を語る時に効くのは、WHO/WHAT/HOWの3層で「なぜ自社が選ばれるか」を構造化する方法です。

差別化の語り方
WHO(誰に対して)特定のターゲットに絞った専門性「BtoB SaaSの導入ハードルが高い領域に特化」
WHAT(どんな価値を)機能的価値 × 情緒的価値の独自組み合わせ「リード獲得導線設計に強い + 経営層の意思決定スピードを上げる体験」
HOW(どう届けるか)具体的な提供プロセスの違い「キックオフから3週間以内に戦略骨子を提示する独自フロー」

3層で語ると、「品質」「丁寧」のような曖昧な強みではなく、「なぜこの会社が選ばれるか」が論理的に伝わる形になります。

AIに「自社の強み + 競合上位3社の特徴 + クライアント業界の特性」を渡すと、このWHO/WHAT/HOW3層の差別化シートを15分ほどで出してくれます。社長一人で何時間も考え込まなくても、ディレクターが提案前にAIで叩き台を作って、社長レビューをもらう運用が可能です。

「効果は出るのか」に試算で答える

「効果は出るのか」に対しては、具体的な数字を出した試算が一番効きます。「上がります」「向上します」のような言葉ではなく、「こういう前提なら月◯◯円の増収が見込めます」という具体性です。

制作会社さんの提案で使える試算フレームを5つご紹介します。

試算1: 想定売上シミュレーション

月間流入数 × CVR × 単価 × LTV倍率 = 想定売上

例: BtoB SaaS のリード獲得サイト
2,000セッション/月 × 2.5% (BtoB業界平均) × 月額10万円 × 12ヶ月(年契約) = 月60万円の新規受注見込み

試算2: 投資回収月数

イニシャル投資(制作費) ÷ 月間粗利増加 = 投資回収月数

例: 制作費800万円 ÷ 月60万円 = 13.3ヶ月で投資回収

試算3: 競合ベンチマークとの比較

「同業上位の◯◯社のCVRは平均X%、御社は現状Y%。戦略フェーズを再設計することで業界平均ラインに到達するのが現実的なゴール」という形で、業界ベンチマークを引用します。

試算4: セグメント別シミュレーション

コアターゲット(最も購買確率が高い層)と拡張ターゲット(その周辺)に分けて、それぞれ別の試算を作ります。「コアターゲットでは月50万円、拡張で月20万円、合計月70万円」のように、根拠の粒度を上げます。

試算5: 段階別ロードマップ

3ヶ月後・6ヶ月後・12ヶ月後の達成目標を分けて提示します。「3ヶ月後は流入数の改善、6ヶ月後はCVR改善、12ヶ月後は受注単価アップ」のように、時間軸の中で何をいつまでに達成するかを語ります。

試算の信頼性を高める3つのコツ

試算は「使う数字」で信頼性が決まります。経験上、効くコツが3つあります。

  • 業界平均の出典を明示する: 「BtoB業界平均CVR 2.5%(出典: ◯◯調査)」のように、数字に根拠を付ける。AIに「業界平均を、出典も含めて推定してください。出典が不明な場合は『推定』と明記」と指示すると、根拠付きの数字が出てきます
  • レンジで示す: 「月50〜80万円の見込み」のように幅で示すと、保守的・楽観的の両シナリオが伝わります。1点で言い切るより信頼されます
  • 前提条件を明記する: 「広告予算月20万円・SEO投資なし」のように、試算の前提を書く。前提が変わった場合の試算も併記すると、クライアント側でも判断しやすくなります

逆に避けた方がいい数字は、「売上3倍になります」のような根拠不明の派手な目標、「絶対に成功します」という言い切り表現、競合社名を出した「◯◯社よりはるかに効果的」のような比較。これらは信頼を損なう原因になります。

業界別の戦略フェーズ進め方

Web制作会社さんが扱うクライアント業界は多岐にわたります。同じ戦略フェーズでも、業界ごとにアプローチが変わるポイントを5業種で整理します。

BtoB SaaS

主戦場は 「リード獲得型」のサイト設計。プロダクト訴求 + 業界課題の解決 + 信頼の積み上げが必要です。

戦略フェーズの観点ポイント
WHO(誰に)業界 × 役職 × 企業規模 × 購買決済プロセス を細かく設計。意思決定者と利用者が違うケースが多い
WHAT(何を)機能訴求より「導入後の業務変化」を主役に。ROI試算・事例コンテンツが武器
HOW(どう届ける)SEO(業界課題系KW) + 広告(指名・比較系KW) + 事例ホワイトペーパー型LP
注意点商談化までの時間が長い。3〜6ヶ月単位でのKPI設計が必要

EC・D2Cブランド

主戦場は 「ブランド構築 × LTV最大化」。一回購入で終わらせない設計が肝です。

戦略フェーズの観点ポイント
WHO(誰に)ライフスタイル・価値観で切る。「30代女性」のようなデモグラ単独では弱い
WHAT(何を)「商品の魅力」より「ブランド体験」を中心に。ストーリー設計が必須
HOW(どう届ける)Instagram・TikTokなどビジュアル発信 + リピート購入導線(メルマガ・LINE)の設計が要
注意点初回購入のCVRより、3ヶ月以内のリピート率を主要KPIに据える

BtoCサービス(教室・ジム・サロンなど)

主戦場は 「地域 × 信頼 × 体験への誘導」。ローカルSEOと口コミ設計が中心になります。

戦略フェーズの観点ポイント
WHO(誰に)「自宅・職場から30分以内」の地域内ターゲット。生活動線を考慮
WHAT(何を)「サービスの内容」より「体験の安心感」が訴求軸。先生・施術者の人柄も差別化要素
HOW(どう届ける)Googleビジネスプロフィール最適化 + 体験予約導線 + 既存顧客の紹介プログラム
注意点1店舗あたりの予算規模が小さい。費用対効果を厳密に設計する必要あり

不動産・建築・医療など規制業界

主戦場は 「信頼の積み上げ × 法令順守」。広告表現の制約があるため、戦略の作り込みで差をつけます。

戦略フェーズの観点ポイント
WHO(誰に)意思決定が長期的・慎重。家族・パートナーの影響もある
WHAT(何を)「実績数」「専門資格」「事例の豊富さ」が中心訴求。広告制約に配慮
HOW(どう届ける)SEO(専門系KW) + 事例コンテンツ + 専門家コメント。SNSは慎重に
注意点業界別の広告規制(医療広告ガイドライン、宅建業法など)を必ず確認

専門サービス(士業・コンサル・教育など)

主戦場は 「専門性の見える化 × 個人ブランド」。サービス提供者本人が前面に出る設計が効きます。

戦略フェーズの観点ポイント
WHO(誰に)抱えている課題が深い・特定領域の悩み。汎用的なターゲットでは響かない
WHAT(何を)「サービス提供者の個人ブランド」が最大の差別化。経歴・思想・実績を構造化
HOW(どう届ける)オウンドメディア(SEO) + 著者の発信(Twitter・note) + 推薦制紹介
注意点属人性が強いため、サービス提供者の「執筆・発信時間の確保」が施策成功の鍵

戦略の民主化 — 社員でも戦略提案できる体制を作る

20〜60名の制作会社さんが直面する「社長しか戦略提案できない」問題を解消するには、戦略の民主化が必要です。「個人の能力」ではなく「再現性のある仕組み」で戦略提案を回せる体制を作る、という発想です。

Step 1: 戦略の型を社内資産にする

まず、社長の頭の中にある戦略の型を、文書化します。AIに「あなたの戦略の組み立て方を教えてください」と社長へインタビューを行い、それをWHO/WHAT/HOWテンプレートに落とし込むのが効率的です。

このテンプレートが、社内の共通言語になります。ディレクターが案件のヒアリング後にテンプレートを埋めれば、社長と同じ思考フレームでアウトプットを作れます。

Step 2: AIで戦略変換ステップを自動化する

テンプレートだけでは、ディレクターが「ヒアリングメモ → 戦略フレーム」の翻訳に時間を取られます。ここをAIに任せると、ディレクターはヒアリング内容をそのままAIに渡すだけで、戦略フレームのドラフトが出てくる状態を作れます。

ディレクターが行うのは、(a) AIの出力をクライアント業界に合わせて磨く、(b) 数値や事実関係をファクトチェックする、(c) クライアントの言葉に翻訳する、の3つ。これは経験次第で誰でも身につけられます。

Step 3: 社長レビューでクオリティを担保する

戦略提案の最終アウトプットは、社長または経営層がレビューします。ただし、ゼロから作るのではなく、ディレクターが作ったドラフトに対してフィードバックする形に変わります。

レビュー時間は、これまでの「社長が作る」スタイルに比べて圧倒的に短くなります。1案件あたりの社長の関与時間が、6時間から1.5時間程度に圧縮されるイメージです。

この体制の成果

戦略の民主化が機能すると、こんな変化が起きます。

  • 受注上限が拡大する: 社長一人の時間が決めていた受注上限が、ディレクター数 × 戦略フレーム数で決まるようになる
  • 属人化リスクが下がる: 社長の体調・スケジュールに依存しない受注体制になる
  • 社員の市場価値が上がる: ディレクターが「戦略提案できる人材」に成長し、採用・定着にも寄与する

これは20〜60名規模の制作会社さんが、次の成長フェーズに進むための大きな転換点です。

【完全公開】戦略提案資料の章立てテンプレート

制作会社さんが提案資料を作る時に、そのまま使える章立てテンプレートを公開します。10章構成で、合計30〜40スライドが目安です。

含める内容推奨スライド数
1. 表紙提案先 / 提案日 / 自社情報1
2. 結論サマリ戦略の3行サマリ + 想定成果(数字) + 投資額1
3. クライアント現状理解ヒアリング結果のサマリ。クライアントの言葉で書く2〜3
4. 市場・競合分析業界トレンド + 競合上位3〜5社のポジショニング3〜4
5. WHO(戦略ターゲット)ターゲットの業界 / 役職 / 課題 / 購買プロセス3〜4
6. WHAT(提供価値)機能的価値 + 情緒的価値 + 競合との差別化軸3〜4
7. HOW(施策ロードマップ)3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月の施策と予算配分4〜6
8. KPI設計と試算北極星メトリクス + KPIツリー + 想定売上シミュレーション3〜4
9. 体制と進行スケジュール担当者 + 役割 + 月次定例 + 主要マイルストン2〜3
10. 投資額と内訳初期 + ランニング + 段階別オプション2〜3

章立てを使う3つのコツ

コツ1: 結論サマリを冒頭に置く

クライアント経営層は、最初の1分で「読む価値があるか」を判断します。結論サマリで「誰に・何を・どう届け、いくら投資して、いくら回収するか」を3行で見せます。

コツ2: WHO/WHAT/HOWを中盤に厚く配置する

市場分析・競合分析の後、提案の核として WHO → WHAT → HOW の順で並べます。クライアントは「ここが本題」と認識し、議論が深まります。

コツ3: 試算は早めに見せる

KPI設計と試算は8章に配置していますが、結論サマリ(2章)の段階で主要な試算結果を出すのが効きます。クライアントは「投資した分、回収できるか」が最大の関心事だからです。

【完全公開】キックオフヒアリングシート

クライアントとのキックオフで聞くべき質問を、4カテゴリ × 25問で整理します。会話の流れに合わせて使ってください。

A. 事業の現状を聞く(10問)

  1. 御社の事業を、3行で教えてください。
  2. 主力商品・サービスは何ですか?売上比率は?
  3. 創業の経緯や、御社が大切にしている価値観は?
  4. 競合と比べて、御社の強み・弱みは何だと思いますか?
  5. 過去3年で、事業のどこが伸びていますか?停滞・縮小しているところは?
  6. 顧客から、最も多い「ありがとう」の言葉は何ですか?
  7. 逆に、よくクレームになるポイントは?
  8. 主要顧客の購買プロセスを教えてください(認知 → 検討 → 購入の流れ)。
  9. 顧客との接点で、最も重要な瞬間はどこだと思いますか?
  10. 5年後、御社をどうしたいですか?理想の姿は?

B. 顧客理解を聞く(5問)

  1. 主要顧客は、どんな業界・役職・規模の方ですか?具体的なお客様1人を例にお話いただけますか?
  2. その方が、御社の商品・サービスを「買おうかな」と思った瞬間は、どんな状況だと思いますか?
  3. その方が、御社を選ぶ前に検討する選択肢(競合・代替手段)は何ですか?
  4. その方の「決め手」になった理由は、過去のお客様の言葉でいうと何ですか?
  5. 逆に、御社で「買わなかった」「離脱した」お客様は、なぜそうなったと思いますか?

C. 競合・差別化を聞く(5問)

  1. 業界の主要競合上位3社を教えてください。
  2. 各社のサイト・サービスを見て、御社が最も「強い」と思う点はどこですか?
  3. 逆に、競合と比べて御社が「劣る」と感じる点は?
  4. 「この会社にだけは負けたくない」というライバルはいますか?
  5. 業界全体で、最近大きく変わってきていることはありますか?

D. 目標・KPIを聞く(5問)

  1. このサイト・施策で、最終的に達成したい数字は何ですか?(売上 / 問い合わせ数 / 認知度など)
  2. 3ヶ月後・6ヶ月後・12ヶ月後の、それぞれの目標を教えてください。
  3. 現状のKPI(流入 / CVR / 受注単価 / LTV など)は、どこから取得できますか?
  4. このプロジェクトの予算規模は、おおよそどれくらいですか?(初期 + ランニング)
  5. 意思決定者は誰ですか?決裁プロセスを教えてください。

ヒアリング時の3つのコツ

コツ1: 全25問を全部聞く必要はない

このシートはチェックリストではなく、会話のガイドです。クライアントの話の流れに合わせて、自然に聞ける順番で進めてください。聞けなかった質問は、後日メールで補足してもらえばOKです。

コツ2: 「なぜ?」を5回繰り返す

例えば「強みは品質です」と言われたら、「なぜ品質が強みになっているんですか?」と返します。さらに「なぜ品質を担保できるんですか?」「なぜそのプロセスができたんですか?」と掘り下げると、本質的な強みが見えてきます。

コツ3: クライアントの「言葉」をそのまま記録する

「効率化したい」と言われたら、「コスト削減」「業務改善」のような言い換えはせず、そのまま「効率化」と記録します。後でAIに渡す時、クライアントの言葉のニュアンスが残っていると、戦略フレームの精度が上がります。

戦略フェーズを軽くした制作会社で起きている3つの変化

このフローを取り入れた制作会社さんで、実際に観測されている変化を3つ共有します。

変化1: 顧問契約・運用契約への発展が増えた

「サイト作って終わり」だった会社さんが、「サイト作った後の運用も任せたい」とクライアントから自然に言われるようになります。

背景はシンプルで、戦略を一緒に設計しているから。クライアントは「この会社が一番うちのことを理解してくれている」と感じ、運用フェーズも引き続き任せたくなります。

ある制作会社さんでは、戦略フェーズを取り入れてから半年で、顧問契約の獲得率が15%から45%に上がっていました。

変化2: 単価が上がる

戦略提案ができる会社さんは、「サイト制作 200万円」ではなく「戦略策定 + サイト制作 + 3ヶ月運用伴走で 600万円」というパッケージで売れるようになります。

クライアント側も、戦略・実装・運用を別々の会社に頼むより、まとめて1社に頼む方が連携が楽なので、むしろ歓迎されます。

変化3: 受注の質が変わる

最終的には、コンペで戦うのではなく、指名で相談が来るようになります

「とりあえずあの会社に相談してから決めよう」というポジションが取れると、競合と比較されること自体がなくなります。価格交渉も、受託主導で進められるようになります。

戦略フェーズに踏み込んで失敗するパターン3選

戦略フェーズに踏み込むのは大きなチャンスですが、間違った踏み込み方で逆に信頼を失うこともあります。よくある失敗パターン3つと、回避策をお伝えします。

失敗1: クライアントの言葉を翻訳しないまま戦略を作る

起きること: ヒアリングで「もっと若い人にも来てほしい」と言われて、そのまま「ターゲットを20代に拡大」と戦略を組む。実際にはクライアントが意図していたのは「30代以上に偏っている顧客層を、もう少しバランスよくしたい」だった。

回避策: ヒアリング後に「私の理解はこうですが、合っていますか?」とクライアントに確認する一手間を入れる。AIに「クライアントの言葉を、戦略フレームに翻訳してください。翻訳に確信が持てない場合は『要確認』と明記してください」と指示すると、確認すべき点が浮かび上がります。

失敗2: 試算なしで「効果が出ます」と言い切る

起きること: 提案で「このサイトリニューアルで売上が上がります」と語る。クライアントから「具体的にいくら?」と聞かれて答えられない。逆に「うちの業界では本当に効くんですか?」と疑念を持たれて失注する。

回避策: 必ず想定売上シミュレーションを試算として提示する。前提条件と数字の根拠(業界平均など)を明記する。「最低保守的にこのくらい、楽観的にはこのくらい」とレンジで示す。

失敗3: 戦略人材がいないまま受注して、納期に追われる

起きること: 「戦略から伴走します」と提案で言ったものの、社内に戦略提案を組み立てられる人がいない。納期が迫って、結局「ターゲットは30代女性」のような薄い戦略パートで終わってしまう。クライアントから「これだけ?」と失望される。

回避策: 戦略フェーズに踏み込む前に、社内の戦略の型化(前章「戦略の民主化」)を進めておく。受注後にスタートでは間に合わないため、戦略の型を共有資産として作っておくのが先決です。

戦略フェーズを取り入れる際に意識したい3つのこと

最後に、戦略フェーズを取り入れる際に意識しておくとスムーズな3つのポイントをお伝えします。

「戦略コンサル」を名乗る必要はない

クライアントが求めているのは、難解な「戦略コンサル」ではありません。「うちの事業をちゃんと理解した上で、サイトと運用を設計してくれる会社」を探しています。

「戦略コンサルタント」を名乗ると、別領域のコンサル会社と比較されて不利になることがあります。「戦略から伴走できる制作会社」というポジションがちょうどよい温度感です。

クライアントの言葉に翻訳して話す

提案で戦略の話をするとき、3C分析やKPIツリーといった専門用語を並べると、クライアントが置いていかれることがあります。

「3C分析の結果、〇〇のポジショニングが空白で...」ではなく、「御社の競合は△△で攻めているので、御社は××で差別化するのが効きそうです」という伝え方の方が、相手にスッと入ります。

最終チェックは必ず人間で

AIで戦略提案のドラフトが量産できる時代ですが、最終的な品質責任は人間にあります

AIが出した分析やペルソナは、現場の肌感と合わないことが時々あります。クライアント業界に詳しい人間が最終チェックをすることで、提案の信頼性が担保されます。AIに丸投げではなく、AIで土台を作り、人間で磨き込むワークフローが安心です。

まとめ:戦略フェーズは「重い仕事」から「AIで効率化できる工程」へ

ここまでの内容を整理します。

  • 20〜60名規模のWeb制作会社さんは、AI・フリーランスの単価下落圧力の中、戦略フェーズで単価アップ・差別化を図ろうとしている
  • 戦略人材は社長一人に集中しがちで、属人化が会社の獲得力の上限を決めている
  • クライアントから飛んでくる「他社と何が違うのか」「効果は出るのか」の2大質問には、試算 × WHO/WHAT/HOW × ロジカル説明の3点セットで答える
  • 業界別(BtoB SaaS / EC / BtoCサービス / 規制業界 / 専門サービス)でアプローチが異なるが、フレームワークは共通
  • 戦略の民主化(社員でも戦略提案できる体制)が、20〜60名規模の次の成長フェーズの鍵
  • 提案資料は10章構成、ヒアリングは25問のシートを参考にする
  • 失敗パターンは「翻訳不足」「試算なし」「人材不在受注」の3つ。AI活用で前2つは回避可能

戦略フェーズは、「重くて踏み込めない仕事」から「AIで効率化できる工程」に変わってきています。今までと同じヒアリング力を活かしながら、AIによる戦略変換ステップを1つ加えるだけで、御社の提案価値は大きく上がります。

「社長しか戦略提案できない」状態を抜け出して、会社全体で戦略フェーズに踏み込める体制を作る。これが20〜60名規模のWeb制作会社さんが次のフェーズに進むための、最も現実的なルートです。

Web制作会社向けAI戦略パートナー「MyMarketer」のご案内

MyMarketerでは、Web制作会社さん向けに「ヒアリングメモを渡すだけで、WHO/WHAT/HOW型の戦略フレームと提案資料ドラフトが出てくる」AIマーケターを提供しています。元CMOが設計した型とAIを組み合わせ、御社の戦略フェーズの負担を一気に軽くします。

戦略の型をプロダクトに組み込んでいるため、ディレクター層が戦略提案を組み立てる仕組みが社内に根づきます。「社長一人ボトルネック」から脱却し、会社全体で戦略提案できる体制を作るためのパートナーとしてお使いください。

実際にどう動くのか、パートナープログラムの詳細は パートナーページ をご覧ください。

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著者について

山本至人

山本至人

200社以上の中小企業マーケティングを支援。WHO-WHAT-HOWフレームワークをAIに組み込んだMyMarketerの開発者。株式会社WHAT代表取締役。東京大学松尾研AI経営修了。

法政大学法学部卒業。映像制作事業やDtoCアパレルブランドなど複数の新規事業立ち上げにCMOとして携わる。2023年株式会社WHAT設立。外部CMOサービスにて多くの企業のマーケティング支援を実施。東京大学松尾研AI経営修了。

  • 株式会社WHAT 代表取締役
  • 東京大学松尾研 AI経営寄付講座 修了
  • 複数企業の外部CMOとしてマーケティング支援を実施
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