マーケティング提案書の作り方|構成テンプレート・記入例とAI活用
マーケティング提案書は、顧客の課題、施策を選ぶ理由、費用と進め方をまとめ、何に合意してほしいかを伝える資料です。「広告を増やす」「サイトを直す」といった施策名だけでは、相手は予算を使う判断ができません。
この記事では、支援会社・制作会社がクライアントへ提出する提案書を想定して、構成7要素と作成手順を整理します。記入用テンプレート、施策の比較例、AIへの指示文も載せています。必要な部分をコピーして、ご自身の案件に置き換えてください。
マーケティング提案書に入れる7つの要素
基本構成は「結論・課題・解決策・根拠・体制・スケジュール・費用」です。先に全体像を示し、その後で判断材料を補います。相手がすでに合意している内容は短くし、まだ判断できていない論点に紙幅を使いましょう。
| # | 構成要素 | 書く内容 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | 結論(提案サマリー) | 「何を・なぜ・いくらで」を1枚で | 冒頭で全体像を渡す |
| 2 | 課題の整理 | 現状とあるべき姿のギャップ | 相手の「そう、それ」を引き出す |
| 3 | 解決策(施策) | 課題に対応した具体施策 | 課題と1対1で対応させる |
| 4 | 根拠・戦略ロジック | 誰に・何を・どう届けるか+数字 | 「なぜこの施策か」に答える |
| 5 | 推進体制 | 担当・役割分担・連携方法 | 実行できる安心感を出す |
| 6 | スケジュール | フェーズと主要マイルストーン | 動き出しを具体化する |
| 7 | 費用・投資対効果 | 金額と、回収の考え方 | 決裁の最後のひと押し |
解決策と根拠はセットで書きます。たとえば「LPを改善する」に対して、どの顧客が何に迷っているのか、それを示す情報は何か、広告の増額より先に取り組む理由は何かを添えます。情報が足りなければ、制作より先に調査を提案しても構いません。
コピーして使える提案サマリー
まずは次の欄を埋めます。未確認の欄は推測で埋めず、確認相手と期限を残してください。詳細なスライドを作る前に、この内容を相手とすり合わせると、前提の食い違いを見つけやすくなります。
案件名:
今回、合意してほしいこと:
事業目標・対象期間:
対象顧客と、その顧客が困っていること:
確認済みの現状(数値の期間・定義・出典):
課題の仮説と、まだ確認できていない点:
提案する施策・選ぶ理由:
比較した別案・今回は見送る理由:
成果物・対象範囲・対象外:
発注側/支援側の担当と確認事項:
日程・着手条件:
費用の内訳・追加費用が生じる条件:
成果の見方・継続/変更を判断する時期:
ヒアリングから提出までの5ステップ
- 事業目標と判断条件を聞く。売上、受注、問い合わせなど、増やしたい成果を確認します。予算、担当者の工数、決裁者、期限も一緒に聞きます。
- 事実と仮説を分ける。アクセス数や商談記録は期間と定義をそろえます。「問い合わせが少ない」だけで集客不足と決めず、閲覧後の離脱や対象外の問い合わせも確認します。
- 施策候補を比べる。見込める貢献、必要な費用・工数、着手前の条件を並べます。情報不足なら調査、計測の不備なら計測整備も候補に入ります。
- 7要素にまとめる。選んだ施策、根拠、納品物、担当、費用をつなげます。何をしないかも書くと、受注後の範囲の食い違いを減らせます。
- 相手の判断に必要な情報を確認する。金額・出典・担当者の合意を確認し、提出後に決めることを明記します。
聞く項目から整理したい場合はマーケティングのヒアリングシートを使えます。顧客や訴求の方針がまだ定まっていない場合は、AIでマーケティング戦略を立てる手順から先に進めてください。戦略設計と提案資料の編集は分けて考えると、見栄えだけ整えて中身が決まっていない状態を避けられます。
記入例:広告を増やす前に、問い合わせ後の課題を確かめる
以下は説明用に作った架空の案件です。数値は計算例で、当社の支援実績や成果予測ではありません。法人向け研修サービスの会社から「商談を増やしたい」と相談された、という設定で考えます。
まず、提案の前提をそろえる
- 事業目標:次の3か月で、条件の合う新規商談を増やしたい。
- 確認済みの現状:直近3か月の問い合わせ30件のうち、社内の対象条件に合うものが6件。分類方法と集計対象は営業責任者に確認済み、という設定。
- 不足情報:残る24件の問い合わせ理由、流入元別の違い、Webページで誤解が生じている箇所。
- 制約:営業担当が週2時間、過去の問い合わせ記録の確認に使える。施策予算は調査結果を見て決める。
この時点で「LPが原因」とは断定できません。集客の対象が違う可能性も、営業側の分類や案内に問題がある可能性もあります。
有力な施策を並べて、着手順を決める
| 候補 | 期待する役割 | 着手前に必要な確認 | 今回の扱い |
|---|---|---|---|
| 広告の増額 | 訪問や問い合わせの母数を増やす | 対象顧客からの商談につながる流入元を特定する | 対象外の問い合わせも増える可能性があるため保留 |
| サービスページの改善 | 対象企業・対応範囲を伝える | 実際の誤解と、ページ上の説明の不足を照合する | 不足が確認できた箇所に絞って実施を判断 |
| 問い合わせ記録の調査 | 対象外となる理由を確かめる | 記録の利用可否と分類基準を合意する | 最初に実施。次の施策を決める材料をそろえる |
提案の結論は「まず問い合わせ記録を調べ、ページの説明と照合する」です。最初から記事制作やLP制作を約束する必要はありません。調査で流入元の問題が見つかれば広告の対象設定を、説明不足が見つかればページを直します。
実行条件まで含めた提案文にする
今回は、直近3か月の問い合わせ記録30件を対象に、対象外となる理由を整理する調査を提案します。貴社には記録の提供と分類基準の確認をお願いします。当社は分類案と改善候補の作成を担当します。
納品物は、理由別の集計表、サービスページとの照合結果、次に取り組む施策の比較表です。記録の提供後、2週間を作業期間として協議します。広告運用やページ制作は今回の範囲に含めず、結果を確認して別途判断します。
費用欄には「調査設計・記録確認・報告」の内訳、対象件数、追加調査の扱いを書きます。見積金額をまだ決められない場合は、記録の状態を確認したうえで見積もると明記してください。空欄のまま承認を求めないことが大切です。
AIで提案書の下書きと確認を進める
AIには、集めた材料の整理、構成案、説明文の下書きを任せます。完成までにかかる時間は、資料のそろい方や確認量で変わります。時間を測るなら、生成時間に加えて情報収集・確認・修正も含めて記録しましょう。
案件資料を入力する前に、顧客との取り決め、社内ルール、使うサービスのデータ取扱条件を確認してください。必要に応じて会社名や担当者名を置き換え、不要な個人情報は除きます。
1. 材料の不足を確認してから構成を作る
あなたはマーケティング提案書の編集担当です。
下記の資料だけを根拠に、提案書の下書きを作ってください。
【入力】
顧客・事業目標・対象期間:
確認済みの現状と出典:
選んだ施策・選定理由・比較した別案:
予算・体制・期限:
未確認事項:
【手順】
1. 事実、仮説、確認が必要な点を分ける。
2. 判断に必要な情報が足りない場合は、先に確認事項を出す。
3. 結論・課題・解決策・根拠・体制・日程・費用の順に構成する。
4. 各項目に、伝えることと根拠を添える。
入力にない実績、数値、顧客の発言は作らない。
施策が未選定なら、決定済みとして書かない。
2. 施策と根拠のつながりを点検する
以下の提案書と、その根拠資料を比較してください。
・根拠資料にない断定や数値
・課題と施策の間に説明が足りない箇所
・比較した別案を見送る理由の不足
・成果物、担当、費用、日程の食い違い
を、該当箇所と理由を添えて指摘してください。
不足を推測で補わず、確認相手と質問案を示してください。
提案書:
根拠資料:
この確認で指摘が出なくても、内容の正しさが保証されるわけではありません。原資料の数値や契約条件は、担当者が照合します。AIの返答を、そのまま顧客の合意や専門家の確認の代わりにはしないでください。
費用と成果の見込みを混同しない
提案費用は見積もりとして提示できますが、成果は前提に左右されます。「この金額を投資すれば必ず回収できる」という書き方は避け、計算に使った仮定を明示します。
たとえば、追加施策の総費用を30万円、受注1件あたりの粗利を10万円と仮定すると、費用を粗利で回収するには追加受注3件が必要です。商談からの受注率を20%と仮定すれば、必要な追加商談は15件です。これは必要量を逆算した例で、15件の商談を獲得できる予測ではありません。検討期間、受注までの時間、社内工数などの費用もそろえて判断します。
実施後に見る指標には、問い合わせ総数だけでなく、対象条件に合う問い合わせ、商談、受注を含めます。定義と確認担当を決め、数字が動かなかった場合に何を調べ直すかも提案書へ残します。
提出前に確認すること
- 今回、相手に合意してほしいことが冒頭で分かる。
- 事実・仮説・説明用の例を区別している。
- 数値の出典、集計期間、指標の定義を確認した。
- 選んだ施策と、別案を見送る理由が説明できる。
- 成果物、対象外の作業、費用、担当、期限が一致している。
- 承認後の着手条件と、結果を振り返る時期が決まっている。
経営者には事業成果と投資判断、現場担当には必要な作業と負担、管理部門には条件とリスクが伝わるかを見ます。立場で一律に決めつけず、実際の決裁基準をヒアリングして調整してください。
よくある質問
提案書は何枚にまとめればよいですか?
まず要点を1枚に整理し、判断に必要な根拠・見積もり・実行計画を補います。既存施策の改善提案と新規事業の提案では必要な説明が違うため、枚数を固定するより、相手が判断できるかで調整してください。
社内向けの企画書にも使えますか?
使えます。社外への発注範囲の代わりに、社内の担当、他部署への依頼、予算承認の条件を具体的にしてください。
AIで作った提案書をそのまま提出してもよいですか?
数字、実績、引用、費用、納期を原資料と照合し、実行担当者が対応できることを確認してから提出します。整った文章でも、案件の条件に合っているとは限りません。
案件の材料を、まず1枚にまとめる
最初の作業は、上の提案サマリーへ案件の材料を入れることです。埋まらない欄を確認し、施策の比較と実行条件までそろえてからスライドへ移しましょう。記事内のテンプレートと指示文だけでも、この作業を始められます。
提案作成や施策の実行を、チームの業務としてAIに組み込みたい場合は、AIマーケターチーム構築支援の内容をご覧ください。個別の案件資料だけでなく、役割分担や確認手順まで整えたい方に向けた案内です。
著者について

山本至人
200社以上の中小企業マーケティングを支援。WHO-WHAT-HOWフレームワークをAIに組み込んだMyMarketerの開発者。株式会社WHAT代表取締役。東京大学松尾研AI経営修了。法政大学法学部卒業。映像制作事業やDtoCアパレルブランドなど複数の新規事業立ち上げにCMOとして携わる。2023年株式会社WHAT設立。外部CMOサービスにて多くの企業のマーケティング支援を実施。東京大学松尾研AI経営修了。
- 株式会社WHAT 代表取締役
- 東京大学松尾研 AI経営寄付講座 修了
- 複数企業の外部CMOとしてマーケティング支援を実施


