
マーケティング提案書の作り方|構成テンプレートとAIで30分に短縮するコツ
提案書をつくるたびに、白紙のスライドの前で手が止まる。構成はなんとなく分かるのに、いざ書くと「これで通るのか」が自分でも判断できない——戦略を提案する側の仕事をしていると、この感覚は珍しくありません。
この記事でわかること
- 通る提案書と落ちる提案書を分ける「中身」の違い
- そのまま使えるマーケティング提案書の構成7要素(テンプレート)
- ヒアリングから仕上げまでの作り方5ステップ
- AIで提案書づくりを30分に短縮するコピペ用プロンプト集
- AIに任せると事故る落とし穴と、相手別の出し分け
提案書づくりは「きれいなスライドを作る作業」だと思われがちです。けれど実際に決裁を左右するのは、見た目ではなく中身の論理です。まず通る提案書の型と作り方を押さえ、その上でAIで作成時間を圧縮する手順まで——戦略を提供する側の人が、明日の提案から使える順番で並べました。
マーケティング提案書とは?通る提案書と落ちる提案書の違い
マーケティング提案書とは、クライアントの課題と、それを解決する施策・根拠・費用・体制を一つの資料にまとめ、相手に意思決定してもらうためのドキュメントです。提案書の役割は「説明」ではなく「決断を引き出すこと」にあります。だから、情報が網羅されていても決断につながらなければ、その提案書は機能していません。
落ちる提案書には共通点があります。施策の説明は丁寧なのに、「なぜその施策なのか」の論理が抜けているのです。私のところには「提案は毎回ちゃんと作っているのに、なぜか決まらない」という相談がよく来ますが、見せてもらうと、たいてい課題と施策の間にあるべき戦略の筋道が飛んでいます。誰に・何を・どう届けるか、という芯が言語化されていない。
通る提案書と落ちる提案書の差は、おおむね次のように整理できます。
| 観点 | 通る提案書 | 落ちる提案書 |
|---|---|---|
| 起点 | クライアントの課題から始まる | 自社の施策・実績から始まる |
| 論理 | 課題→戦略→施策が一本でつながる | 施策の羅列で、選んだ理由がない |
| 根拠 | 数字・事実で裏づけている | 「効果的です」で終わっている |
| 相手 | 決裁者が判断できる粒度 | 担当者目線の細かい話に終始 |
提案書の良し悪しは「情報量」ではなく「課題から施策までの論理が一本で通っているか」で決まります。テンプレートはこの論理を載せる器にすぎません。
提案書の基本構成7要素(テンプレート)
マーケティング提案書の基本構成は、「結論→課題→解決策→根拠→体制→スケジュール→費用」の7要素で組み立てます。この順番は、相手が決断するために必要な情報を、迷わない順序で並べたものです。結論を先に出し、課題で共感を作り、解決策と根拠で納得させ、体制・スケジュール・費用で実行イメージを固める。提案は最初の数枚で勝負が決まるため、結論を冒頭に置くのが鉄則です。
そのまま流用できるテンプレートとして、各要素の中身と狙いを表にまとめます。
| # | 構成要素 | 書く内容 | 狙い |
|---|---|---|---|
| 1 | 結論(提案サマリー) | 「何を・なぜ・いくらで」を1枚で | 冒頭で全体像を渡す |
| 2 | 課題の整理 | 現状とあるべき姿のギャップ | 相手の「そう、それ」を引き出す |
| 3 | 解決策(施策) | 課題に対応した具体施策 | 課題と1対1で対応させる |
| 4 | 根拠・戦略ロジック | 誰に・何を・どう届けるか+数字 | 「なぜこの施策か」に答える |
| 5 | 推進体制 | 担当・役割分担・連携方法 | 実行できる安心感を出す |
| 6 | スケジュール | フェーズと主要マイルストーン | 動き出しを具体化する |
| 7 | 費用・投資対効果 | 金額と、回収の考え方 | 決裁の最後のひと押し |
ここで一番差がつくのが、4番目の「根拠・戦略ロジック」です。多くの提案書はここが薄く、施策(3番)だけが並びます。3番と4番が1対1で噛み合っているか——これが通過率を大きく左右します。実際、課題と施策を1対1で対応させ、第4要素で「なぜこの施策か」の筋道を明示する形に変えてから、初回提案で決裁が下りる案件が目に見えて増えました。順番を変えただけで、提案そのものは同じでも、相手の納得感が違います。
最近は7要素をすべて詰め込まず、要点だけのA4一枚提案書(ワンシート提案書)を先に出し、詳細版を別添にするスタイルも増えています。相手の検討プロセスに合わせて、枚数は調整して構いません。
💡 Tip: スライド枚数の目安は、初回提案で10〜15枚。これ以上になると、決裁者は最後まで読みません。詳細データは付録に逃がし、本編は論理だけで通す構成にします。

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記事を読む提案書の作り方5ステップ
提案書は「ヒアリング→課題整理→戦略ロジック→構成への落とし込み→仕上げ」の5ステップで作ります。いきなりスライドを開かないことがコツです。スライドから書き始めると、デザインに気を取られて論理が後回しになり、結局「きれいだけど通らない提案書」になります。
- ヒアリングで素材を集める — 相手の現状・目標・予算・意思決定者を聞き出す。ここが薄いと、以降すべてが推測になります
- 課題を1つに絞る — 集めた情報から「本当に解くべき課題」を1行で定義する。課題が複数あるなら、提案書も焦点がぼけます
- 戦略ロジックを組む — 誰に・何を・どう届けるかを決める。施策はこの後に自動的に決まります
- 構成7要素に落とし込む — 戦略ロジックを、前章のテンプレートに沿って並べ替える
- 仕上げと相手別の調整 — 決裁者の関心に合わせて、強調する論点を変える
このうち3番目の「戦略ロジックを組む」が、提案書の中身の質を決める心臓部です。誰に売るか(WHO)、何を価値として届けるか(WHAT)、どう届けるか(HOW)という型で考えると、課題と施策の間がつながります。たとえば「誰に売るか」を「いま一番困っているのは誰か」と問い直すだけで、選ぶべき施策はがらりと変わります。ターゲットがずれていると、その先の施策をいくら磨いても刺さりません。この戦略の組み立て方そのものは、AIで戦略を立てる方法とWHO-WHAT-HOWフレームワークの実践ガイドで詳しく解説しているので、提案書の前段として参照してください。
なお、ステップ1のヒアリングは、聞く項目をテンプレ化しておくと精度が一気に上がります。具体的な質問項目とクライアントの隠れた強みを引き出す問いは、マーケティングのヒアリングシートテンプレートでまとめています。
戦略ロジックを毎回ゼロから一人で組むのは、正直かなり骨が折れます。WHO-WHAT-HOWの型を埋めようとしても、市場や競合の整理に時間がかかり、提案書を書く前に消耗してしまう。そういうときは、戦略の土台づくりをAIに任せるのも一つの手です。私たちが開発しているMyMarketerは、この「誰に・何を・どう届けるか」の設計をAIと対話しながら詰められるツールです。市場・競合の整理、仮想インタビューによる顧客像の仮説出し、WHO-WHAT-HOWに沿った戦略の下書きまでをAIが自動で進め、あなたは出てきた中身を判断して直すだけ。提案書の核になる第4要素(根拠・戦略ロジック)が、ゼロから手打ちするより短い時間で形になります。提案が通った後の施策管理・改善も同じ画面で続けられるので、「提案して終わり」になりません。
AIで提案書作成を30分に短縮するコツ(プロンプト集)
AIで提案書づくりを30分に短縮する鍵は、「AIに丸投げしない」ことです。骨子・課題整理・競合の論点・費用の説明といった部品ごとにAIへ指示を出し、人間が論理をつないで仕上げる。10〜15枚程度のBtoB提案書なら、この分業で、従来3時間ほどかかっていた作成が、私の感覚では30分前後まで縮みます(案件情報をプロンプトに差し込む時間を含めて)。マッキンゼー・アンド・カンパニーの2023年レポート『The Economic Potential of Generative AI』でも、マーケティングと営業は生成AIの効果が最も大きい業務領域の一つに挙げられており、提案書のような文書作成はその典型です。
AI戦略立案ツールを開発していて分かったのは、AIは「役割・前提・出力フォーマット」の3点を具体的に指定するほど、出力の精度が上がるということです。下のプロンプトも、この3点を埋める形にしてあります。コピーして、ご自身の案件情報を差し込んで使ってください。
① 提案骨子を作る
あなたはBtoBマーケティングの提案者です。
以下の情報をもとに、提案書の骨子を「結論→課題→解決策→根拠→体制→スケジュール→費用」の構成で作ってください。
各項目は箇条書きで、決裁者が10分で判断できる粒度にしてください。
- クライアント:(業種・規模)
- 現状の課題:(ヒアリングで得た内容)
- 目標:(KGI/KPI)
- 予算感:(金額)
② 課題を1行に絞る
以下の現状情報から、提案書で解くべき「本当に重要な課題」を1つだけ、1行で定義してください。
なぜそれが最重要かの理由も3点添えてください。
情報:(ヒアリングメモを貼り付け)
③ 競合との差別化の論点を出す
このクライアントが検討するであろう競合・代替案を3つ挙げ、
それぞれに対して当社の提案が優位な点と、逆に弱い点を正直に整理してください。
弱点への切り返しトークも併せて出してください。
④ 費用の根拠を言語化する
以下の費用について、クライアントが社内稟議を通しやすいように、
「投資対効果」の説明文を作ってください。回収の考え方を、保守的な前提で示してください。
費用:(金額と内訳)
プロンプトを使う前に、ChatGPTでマーケティング戦略を考える型を押さえておくと、AIの出力が一段安定します。考え方の土台はChatGPTでマーケティング戦略を考える方法にまとめています。
AIに作らせるのは「部品」。論理の接続と最終判断は人間が握る。この線引きを守るほど、提案書の質とスピードは両立します。

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記事を読むAIに提案書を作らせるときの落とし穴
AIで提案書を作る最大のリスクは、もっともらしい嘘をそのまま載せてしまうことです。生成AIは市場規模や統計を聞くと、出典のない数字を自信たっぷりに出してきます。これを検証せずに提案書へ転記すると、提案の場で根拠を突かれた瞬間に信頼を失います。
正直に言うと、私自身、AIが出した市場規模の数字を検証せずに提案書へ載せかけたことがあります。提出直前に出典をたどったら、その数字の根拠がどこにも見つからなかった。ヒヤリとしました。それ以来、AIが出した数字は必ず一次情報で裏を取るようにしています。
AI提案書づくりでつまずきやすいポイントを、対処法とセットで挙げます。
⚠ 注意: 以下はそのまま提出すると事故につながります。
| 落とし穴 | 何が起きるか | 対処 |
|---|---|---|
| 数字のハルシネーション | 出典のない統計を断定 | 数字は必ず一次情報で検証 |
| 論理の飛躍 | 課題と施策がつながっていない | 「なぜこの施策か」を人間が補う |
| 汎用的すぎる出力 | どのクライアントにも同じ提案 | 固有名詞・固有の事情を必ず差し込む |
| 機密情報の入力 | クライアント情報が学習に使われる懸念 | 社外秘は入れない/法人向け設定を使う |
特に3つ目の「汎用的すぎる出力」は見落とされがちです。他社の名前に貼り替えても成立する提案書は、誰の心も動かしません。AIが出した骨子に、そのクライアントだけの事情を上書きする工程を必ず挟んでください。
クライアント別の出し分け(経営者・現場・決裁者)
同じ提案でも、相手によって響く論点は変わります。経営者向けには事業インパクトと投資対効果、現場担当には運用負荷と実現可能性、決裁者にはリスクと回収見込み——ここを出し分けないと、内容は正しいのに刺さらない提案書になります。
経営者向けに作り込んだ提案書を、そのまま現場担当に見せて反応が薄かった、という相談は本当に多いです。経営者は「儲かるか」を見るのに、現場は「自分の仕事が増えないか」を見ている。同じ資料で両方を満たそうとすると、どっちつかずになります。
相手別に、冒頭で強調すべき論点を整理しておきます。
| 相手 | 一番の関心 | 冒頭で見せる論点 |
|---|---|---|
| 経営者 | 事業へのインパクト | 売上・利益への貢献と投資対効果 |
| 現場担当 | 運用できるか | 工数・体制・既存業務との両立 |
| 決裁者(管理部門等) | リスクと根拠 | 失敗時の影響範囲と回収シナリオ |
提案の場に複数の立場が同席するなら、結論スライドで経営者向けの論点を出しつつ、付録に現場向けの運用詳細を用意しておくと、その場の質問にすべて答えられます。

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記事を読むよくある質問(FAQ)
Q. マーケティング提案書は何枚くらいが適切ですか?
初回提案は本編10〜15枚が目安です。決裁者は最後まで読まないため、詳細データやエビデンスは付録に逃がし、本編は論理だけで通す構成にします。
Q. AIで作った提案書は、そのまま提出していいですか?
おすすめしません。AIに作らせるのは骨子や部品までです。数字の検証、論理の接続、クライアント固有の事情の反映は人間が行ってください。特に統計やデータは、出典のない数字をAIが出すことがあるため必ず裏を取ります。
Q. 提案書とは別に、企画書も必要ですか?
社内向けに承認を得る文書を企画書、社外のクライアントへ出す文書を提案書と呼び分けることが多いですが、構成の型はほぼ共通です。この記事の7要素はどちらにも使えます。
Q. デザインにはどこまでこだわるべきですか?
中身の論理が通っていることが最優先です。デザインは「読みやすさを損なわない」レベルで十分で、装飾に時間をかけるより、課題と施策の対応関係を磨くほうが通過率に効きます。
まとめ:提案書は「作る」より「通す」
マーケティング提案書の質を決めるのは、テンプレートの見た目ではなく、課題から施策までの論理が一本で通っているかです。まず7要素の構成と5ステップの作り方で土台を固め、AIは「部品づくりの時短手段」として使う。そして数字の検証と相手別の出し分けは、人間が責任を持つ。この役割分担が、速くて通る提案書への近道です。
提案書は出して終わりではありません。通った後は、施策を実行し、結果を見ながら改善を回すフェーズに入ります。提案で約束した成果を出し続けることが、次の提案の説得力になります。この実行・改善をAIで自動化する方法は、マーケティングのPDCAを自動化する方法でまとめています。
戦略の組み立てから提案書づくりまでを一人で抱えると、どうしても時間が足りなくなります。一人で詰めるより、問い返してくれる相手がいると、戦略は速く固まるものです。誰に・何を・どう届けるかの設計をAIと一緒に詰めたい方は、MyMarketerの無料体験で、提案書の前段にあたる戦略部分から試してみてください。
著者について

山本至人
200社以上の中小企業マーケティングを支援。WHO-WHAT-HOWフレームワークをAIに組み込んだMyMarketerの開発者。株式会社WHAT代表取締役。東京大学松尾研AI経営修了。法政大学法学部卒業。映像制作事業やDtoCアパレルブランドなど複数の新規事業立ち上げにCMOとして携わる。2023年株式会社WHAT設立。外部CMOサービスにて多くの企業のマーケティング支援を実施。東京大学松尾研AI経営修了。
- 株式会社WHAT 代表取締役
- 東京大学松尾研 AI経営寄付講座 修了
- 複数企業の外部CMOとしてマーケティング支援を実施







