
AIでマーケティング戦略を立てる方法|30分で戦略書を作る手順
「AIでマーケティング戦略を立てたいけど、何をどう入力すれば使える戦略書になるの?」——ChatGPTに聞いても毎回違う答えが返ってきて、結局何も決められないと感じていませんか?
この記事でわかること
- AIで戦略を立てる前に整える「3つの準備」(出力の質を1.5〜2倍にする下ごしらえ)
- マーケティング戦略をAIで作る5ステップと、各ステップで何を入力するか
- 実際にAIに入力した内容と、返ってきた戦略書(WHO/WHAT/HOW)の中身を実画面で公開
- AIに任せていい範囲と、人間が判断すべき範囲の線引き
開示: 筆者はAIマーケティングツール「MyMarketer」の開発者です。この記事では自社ツールも比較対象に含めていますが、各ツールの強み・弱みをできるだけ公正に記載することを心がけています。
ChatGPTに「マーケティング戦略を作って」と聞いてみたことはないだろうか。
それっぽい回答は返ってくる。でも、「これで合ってるのか?」がわからない。翌日にもう一度聞くと、微妙に違う答えが返ってくる。結局、AIの出力を眺めたまま何も決められず、ブラウザを閉じる——。
私が日々マーケティング支援の中で出会う中小企業の社長たちは、まさにこの状態にいる。先日も従業員12名のBtoB企業の社長から「ChatGPTで戦略を作ろうとしたが、出てきたものが正しいのか判断できない」と相談を受けた。コンサルに頼めば月30万円以上。自分でやるにもフレームワークの知識がない。
この記事は、その「AIでまともな戦略を立てるには、何をどう入力すればいいのか?」という疑問に、手を動かす手順で答える。結論から言えば、正しい順番(WHO→WHAT→HOW)で情報を渡せば、AIでも使い物になる戦略書は作れる。ただし「何でもいいからAIに聞けばOK」ではない。準備→入力→検証の実際を、私が自社の戦略を作った実画面とともに見せていく。

AIでマーケティング戦略を立てるとは?まず全体像をつかむ
AIでマーケティング戦略を立てるとは、生成AIに「誰に・何を・どう届けるか」を正しい順番で考えさせ、戦略書としてまとめ上げる作業だ。
ポイントは、AIに丸投げするのではなく「AIに渡す情報」と「AIに考えさせる順番」を人間が用意すること。中小企業白書(2024年版)によれば、従業員20名以下の企業の約7割がマーケティングの専任担当者を置いていない。この層でも、手順さえ押さえれば30分〜1時間で戦略の骨格までたどり着ける。全体の流れはこうだ。
| 段階 | やること | 所要時間 |
|---|---|---|
| 事前準備 | 顧客の声・購買データ・競合との違いを書き出す(後述の3つの準備) | 半日〜1日 |
| 入力 | 事業情報・目標をAIに渡す | 約10分 |
| 生成 | WHO→WHAT→HOWの順でAIに戦略を組ませる | 約20分 |
| 検証・調整 | 出力に自分の肌感覚を上書きする | 随時 |
戦略の質を決めるのは「AIの賢さ」より「渡す情報の質」と「考えさせる順番」。この記事の手順は、まさにその2点を整えるためのものだ。
そもそもマーケティング戦略とは何か、施策リストとどう違うのかをおさえたい方はマーケティング戦略とは?立て方の基本を先に読むと、この後の手順がより腹落ちします。
AIで戦略を作る前に整える「3つの準備」
ツールを選ぶ前に、AIに渡す情報を整えておくと、出力の質が大きく変わります。AI戦略立案ツールを使い始めて「思ったほど使えない」と感じる人の8割は、この事前準備を飛ばしているのが原因です。事前にこの3つを書き出しておくだけで、どのツールを使っても出力の質が一段上がります。
準備1:既存顧客の「最も愛されている理由」を3つ書き出す
これは外部のデータから取れない情報です。AIに「自社の強み」を質問しても、Webサイトの自己紹介文を読み取って当たり障りのない回答を返してくるだけ。本当の強みは、お客さんに直接聞かないとわかりません。
具体的には、既存顧客5〜10人にこう聞いてください。「他にも候補があった中で、なぜうちを選んでくれたんですか?」「使い続けている理由は何ですか?」。返ってきた答えの中で複数の人が同じことを言っている要素が、自社の本当の強みです。これをAIに最初に渡すと、汎用的な回答ではなく自社の強みを軸にした戦略が出てきます。
準備2:直近1年で買ってくれた顧客10人の「共通点」を整理する
過去の購買データを並べて、年齢・職業・購入動機・購入時の状況・継続期間で共通点を3つ抜き出してください。「30代女性が多い」程度ではなく、「30代女性 × デスクワーカー × 健診で数値指摘されたタイミング」のように掛け合わせの3軸で具体化するのがコツです。
この情報をAIに渡すと、ターゲット設定が一気に具体化されます。逆に、この情報を渡さずに「うちのターゲットを考えて」とだけ聞くと、どのツールでも一般論しか返ってきません。
準備3:競合との「違い」を1行で書き出す
AIに分析させる競合情報も、事前に絞り込んでおくと精度が上がります。「同じ商圏の競合3社」をリストアップし、それぞれと自社の違いを1行ずつ書き出してください。「価格が安い」ではなく「自然素材を使っている」「24時間対応」のように、機能・体験・価値観のレベルで具体化します。
💡 Tip: 準備1〜3の内容を1枚のメモにまとめて、AIに最初のプロンプトとして渡す。これだけで、どのツールでも出力の質が体感1.5〜2倍になります。事前準備に1時間かけるだけで、AIの出力検証に何時間も使う必要がなくなる、と捉えるのがおすすめです。
マーケティング戦略の立て方は?AIが担える5つのステップ
マーケティング戦略は「誰に・何を・どうやって届けるか」を決めるプロセスで、AIはStep1(市場分析)とStep4(チャネル設計)が最も得意。一方でStep3(価値提案)は人間の一次情報なしには機能しない。以下、各ステップでAIがどこまで使えるかを整理した。
Step 1: 市場・競合分析 ——AIの得意領域
まず自社を取り巻く環境を把握する。業界の動向、競合の強み弱み、顧客のニーズを整理するステップ。
AIが最も力を発揮する領域で、公開データの収集・整理は人間の何十倍も速い。3C分析(顧客・競合・自社)の叩き台を数分で作れる。ただし落とし穴がある。自社の内部情報をAIに入力しないと、「どの会社にも当てはまる一般論」しか出てこない。既存顧客がなぜ自社を選んだのか、社員が現場で感じていること——こういう一次情報を入れて初めて、使える分析になる。
Step 2: ターゲット設定(WHO)——ここで戦略の8割が決まる
「誰に売るのか」を具体化する。正直に言って、ここが戦略の成否を分ける最大のポイントだ。
「30代女性」のようなデモグラフィックだけでは何も決まらない。必要なのは「どんな場面で、どんな不満を抱えている人が、何をきっかけにうちを見つけるか」まで絞り込むこと。後述する実演セクションで、この違いがどれだけ大きいかを具体的に見せる。
私がマーケティング支援をしてきた中で確信しているのは、ターゲットが具体的になれば施策は自然と決まるということ。逆に、ターゲットが曖昧なまま「SNSをやろう」「広告を出そう」と手段から入ると、何をやっても中途半端になる。WHO→WHAT→HOWの型そのものをきちんと押さえたい場合はWHO WHAT HOW マーケティング戦略:完全ガイドで詳しく解説しています。
Step 3: 価値提案の設計(WHAT)——AIだけでは無理な領域
ターゲットに「何を届けるか」を決める。機能的な便益だけでなく、「なぜ競合ではなくあなたから買うのか」という選ばれる理由を明確にするステップ。
ここはAIの限界がはっきり出る。自社の強み・こだわり・創業の想いは、経営者の頭の中にしかない。AIにできるのは「言語化の壁打ち相手」になることだ。質問に答えていくうちに「うちの本当の強みってこれだったのか」と気づく瞬間がある。ChatGPTでもカスタムGPTを作り込めばこの壁打ちは可能だし、専用ツールなら質問の順番が設計されている分、初心者でもたどり着きやすい。
Step 4: チャネル・施策設計(HOW)——AIの提案を「そのまま使わない」のがコツ
「どうやって届けるか」を決める。SNS、SEO、広告、メール、イベントなど、手段は無数にある。
ここでAIが力を発揮するのは、ターゲットの行動パターンから逆算したチャネル選定だ。たとえば先ほどの工務店のCEP分析で「展示場帰りにスマホで検索する」と出れば、SEOとリスティング広告が最優先になる。「Instagramで施工事例を保存する習慣がある」と出れば、Instagram運用の優先度が上がる。
ただし注意してほしいのは、AIが出す施策リストをそのまま全部やろうとしないこと。従業員8名の工務店がSEO・Instagram・LINE・チラシ・イベントを全部やるのは現実的じゃない。「今月はこの1つだけに集中する」と決めることが、小さな会社の戦略の核心だ。
Step 5: PDCA運用——「作って終わり」にしない仕組み
戦略は作って終わりではない。実行→検証→改善のサイクルを回す。
ここで多くの中小企業がつまずく。忙しくて振り返る時間がない。そもそも何を検証すればいいかわからない。AIツールの中には施策の進捗管理や改善提案まで対応するものもあるが、多くのツールはStep 1〜3の「分析・立案」までで、実行管理まで一気通貫で対応しているものは少ない。
この5ステップで最も重要なのはStep 2(WHO)の精度。ここがズレると、その後のWHAT・HOWが全て的外れになる。AIに渡す情報も「WHOを具体化するための一次情報」に最も時間を割くのが、使える戦略書への近道だ。

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記事を読むAIで戦略書を作る全手順を実画面で見る(約30分)
ここからは、実際にAIで戦略書を作る流れを実画面でお見せします。例として使うのは、私が自社(MyMarketer)の戦略をAIで作成したときの実データ。入力した内容も、返ってきた出力もそのまま載せるので、自分の事業に読み替えながら追ってみてください。
入力1:事業情報を渡す(5分)
最初にやるのは、自社の基本情報の入力です。難しい分析は不要。普段クライアントや取引先に話していることを、ヒアリングシートに答える感覚でそのまま入力するだけ。私が実際に入力したのはこの程度の粒度です。
- 事業概要: マーケティング戦略立案〜施策管理までAIが一気通貫で支援するクラウドツールの開発・運営
- ターゲット: 中小企業の経営者、マーケティング担当者
- 差別化ポイント: 元CMOのコンサルメソッドをAI化。WHO-WHAT-HOWの型で体系的な戦略を生成
- 現在のマーケ活動: SEO記事執筆、Meta広告運用中
💡 Tip: 完璧な入力を目指さなくて大丈夫。「だいたいこんな事業をやっている」が伝われば、AIが後のステップで質問を重ねて足りない情報を埋めてくれる。自社サイトのURLを渡すだけで事業情報を自動取得してくれる入力欄があるツールも多いので、まずはURLから始めるのが楽です。
入力2:目標を「行動指標」で置く(3分)
次に目標を設定します。私が入れたのは「有料契約200社/2026年12月まで」というKGI。ここで大事なのは、目標を「売上」ではなく「マーケ活動で動かせる行動指標」にすること。「売上1億円」だと施策との因果が見えにくいが、「有料契約200社」なら逆算してKPIに分解できます。
生成:質問に答えるだけで戦略が組み上がる(20分)
ここからはAIの出番。市場分析はボタン1つで自動実行され、3分ほどで「対象市場」「購買者」「競合環境」の叩き台が出ます。その後、AIが5〜8問の質問をチャット形式で投げてくる。実際に来た質問はこんな具合でした。
- 「御社の顧客が競合ではなく御社を選ぶ理由は何ですか?」
- 「直近で最も成果が出たマーケティング施策は?」
- 「今一番伸ばしたいチャネルはどこですか?」
普段の営業トークで話していることを、そのまま答えるイメージ。1問30秒〜1分で済みます。回答が終わると、AIが市場分析・競合分析・WHO・WHAT・HOWまで含む戦略書を組み始める。コーヒーを1杯淹れている間に骨格が出来上がっている感覚です。
⚠ 注意: 冒頭で触れた事前準備(顧客の声・購買データ・競合との違いの3つ)を飛ばして入力すると、ここで返ってくるのは「どの会社にも当てはまる一般論」になりがち。準備の中身は前半の準備セクションで詳しく解説しています。
AIが出力した戦略書の中身を公開——WHO/WHAT/HOW
「AIが作った戦略書って、本当に使えるの?」——その疑問に答えるため、実際に返ってきた戦略書の中身を抜粋で公開します。自社の戦略をAIで作ったときの実出力です。
WHO(誰に届けるか)の出力
戦略ターゲット(ST): BtoB型中小企業の40〜55歳経営者。営業力で伸びてきたが「Webマーケやらなきゃ」と焦っている層。
コアターゲット(CT): その中でも「マーケが大事なのはわかっている。でもコンサルに何を聞けばいいかもわからない」と感じている経営者。
「中小企業」のような粗い括りではなく、心理的な葛藤まで踏み込んで定義されるのがポイント。年齢や役職だけでなく「何に困っていて、何がブレーキになっているか」まで言語化されます。
WHAT(何を届けるか)の出力
コンセプト: 元・月30万の外部CMOのコンサルメソッドをAI化。業種と目標を入れるだけで、自社専用の戦略と「今やるべき施策」がAIとの対話で完成。マーケの知識はいらない。正しい問いは、AIが立てる。
この「正しい問いをAIが立てる」という一文は、自分ではなかなか出てこない。出力されたコンセプト文は、そのままLPのキャッチコピーやプレゼン資料に転用できるレベルで仕上がります。
HOW(どう届けるか)の出力
HOWではフェーズ分けされたロードマップが出ます。私の場合はこうでした。
| フェーズ | 期間 | 主な施策 |
|---|---|---|
| Phase 1 | Month 1-3 | LP改修 + Meta広告で短期リード獲得 |
| Phase 2 | Month 4-6 | パートナーシップ + SEOで複利成長の土台 |
| Phase 3 | Month 7-24 | パートナー横展開 + オーガニック流入で安定成長 |
最初の3ヶ月でやることと半年後にやることが分けて設計されるので、「結局どこから手を付ければいいの?」という迷いが消えます。完成形はA4で15〜20ページ相当。市場分析からHOW設計まで8セクションで構成され、この記事で見せているのはそのエッセンスだけです。

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記事を読むAIに戦略を作らせるなら、型の知識があるかで決まる
「結局どのツールを使えばいいの?」と迷うところですが、戦略立案に限れば判断はシンプルです。マーケティングの型(フレームワーク)が頭に入っているならChatGPTで十分、型から用意してほしいなら専用ツール——この一点で決まります。
- マーケの型を自分で指定できる(WHO-WHAT-HOW等をプロンプトに書ける)→ ChatGPTで戦略を作れる。次の比較セクションで、同じ会社の出力差を実例で見せます
- 何を聞けばいいかわからない・型から用意してほしい → 質問に答えるだけで進む専用ツールが向く
ツールの機能・料金を横並びで比較したい場合は、別記事にまとめてあります。Claude・Gemini・HubSpot・Jasperなど主要16ツールを目的別に整理したAIマーケティングツール比較おすすめ16選|目的別の選び方を参照してください。本記事では「どう作るか(手順)」に集中します。

ChatGPT vs 専用ツール|同じ工務店の「ターゲット設定」を比べてみた
全部の出力を並べても違いが伝わりにくいので、戦略の土台であるWHO(ターゲット設定)に絞って比較する。実際に同じ会社の情報を入力した結果だ。
お題: 埼玉県の工務店(従業員8名)。自然素材の注文住宅が得意だが、大手ハウスメーカーに顧客を取られている。Webからの問い合わせが月1〜2件しかない。
ChatGPTの出力(WHO)
ChatGPTにそのまま「この工務店のターゲットを設定して」と聞くと、こんな出力が返ってくる。
「30〜40代の共働き夫婦で、注文住宅に興味がある層。子育て世帯や二世帯住宅を検討している方がメインターゲットです」
正直、このまま使うのは難しい。「30〜40代の共働き夫婦」は日本に数百万世帯いる。Instagram広告を打つにしても、この情報だけでは刺さるメッセージが作れない。
ただし公平に言えば、プロンプトの質で出力は大きく変わる。たとえば「WHO-WHAT-HOWのフレームワークに沿って、戦略ターゲットとコアターゲットを分けて定義してください。デモグラフィック、価値観、行動パターン、心理的葛藤を含めてください」と指示すれば、かなり精度の高い出力が返ってくる。ChatGPTの本当の問題は能力不足ではなく、「何を聞くべきか」をユーザー側が知っている必要があることだ。マーケティングのフレームワークに詳しい人が使えば、専用ツールに近い品質を引き出せる。ChatGPTのマーケティング活用についてさらに深掘りした内容はChatGPTマーケティング活用法|できること・限界・専用ツールとの違いで解説している。
専用ツールの出力(WHO)
マーケティング戦略に特化したツールでは、ターゲットを「戦略ターゲット(ST)」と「コアターゲット(CT)」の2層で定義する。ユーザーが質問に答えていくだけで、以下のような構造化された出力が得られる。
戦略ターゲット(ST)——広めの対象市場:
「大手ハウスメーカーの画一的な提案に物足りなさを感じ、自然素材や無垢材を使った個性ある家づくりを求めている、埼玉県南部の住宅検討者」
推定規模: さいたま市+近隣市の年間注文住宅着工数の10〜15% ≒ 年間100〜150世帯
コアターゲット(CT)——最も注力すべき層:
「"自分たちらしい暮らし"への強い憧れを持ちながら、大手の安心感と工務店の不安の間で揺れ、信頼できる"人"と出会えれば決断できる層」
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| デモグラフィック | 30-38歳夫婦、第一子0-5歳、世帯年収600-900万、埼玉県南部、共働き |
| 価値観 | 暮らしの質にこだわる。食にも安全意識(オーガニック等) |
| 行動パターン | Instagram・Pinterestで住宅事例をスクラップ。大手展示場を2〜4社見学済み |
| 心理的な葛藤 | 「大手なら安心」vs「でも提案が画一的」で揺れている |
専用ツールは「どの瞬間にこの工務店を思い出してもらうか」まで設計する。マーケティングでは「CEP(カテゴリーエントリーポイント)」と呼ばれる概念だ。
| 想起のきっかけ | 現在の想起 | 優先度 |
|---|---|---|
| 展示場を回った後に「なんか違うな」と感じたとき | 未想起 | 最優先 |
| 子どもの健康(シックハウス等)が気になったとき | 未想起 | 高 |
| Instagramで自然素材の家を見つけたとき | 未想起 | 高 |
| 知人が家を建てた話を聞いたとき | 未想起 | 中 |
ここまで出ると、「やるべきこと」が具体的に見えてくる。「展示場の帰り道にスマホで"さいたま市 注文住宅 工務店"と検索する人」を捕まえるためにSEOを強化する。「シックハウスが気になる親」向けにInstagramで自然素材の解説コンテンツを出す。施策が具体化するのは、ターゲットが具体的だからだ。
なぜこの差が生まれるのか?
差の本質は「フレームワークがあらかじめ組み込まれているかどうか」だ。
ChatGPTは汎用AIだから、マーケティング以外にも何でも対応できる。その自由度こそが最大の強みだ。一方で、「正しい順番で考える」仕組みは入っていない。ユーザーがフレームワークをプロンプトで指定すれば高品質な出力が得られるが、「何を聞くべきか」を知らない人にはハードルが高い。
専用ツールは、その「何を聞くべきか」があらかじめ設計されている。質問に答えていくだけでフレームワークに沿った戦略が組み上がる。マーケティング初心者でも体系的な戦略にたどり着ける反面、マーケティング以外の用途には使えない。
| ChatGPT | 専用ツール | |
|---|---|---|
| 戦略の型 | ユーザーがプロンプトで指定 | あらかじめ内蔵(WHO→WHAT→HOW等) |
| ターゲットの深さ | プロンプト次第。指示が浅ければ出力も浅い | ST→CT→CEPの3層で自動的に構造化 |
| 出力の一貫性 | 同じプロンプトでも毎回微妙に変わる | フレームワークに沿うため構造は安定 |
| 汎用性 | マーケティング以外にも何でも使える | マーケティング戦略に特化。他の用途には不向き |
| カスタマイズ性 | プロンプト次第で自由に調整可能 | ツールの設計範囲内での調整 |
総合スコアカード
| 評価軸 | ChatGPT | 専用ツール |
|---|---|---|
| ターゲットの具体性 | ★★★☆☆(適切なプロンプトなら★4) | ★★★★★ |
| ターゲットの構造化 | ★★★☆☆(フレームワーク指定で★4) | ★★★★★ |
| 出力の一貫性 | ★★★☆☆ | ★★★★☆ |
| 汎用性・応用範囲 | ★★★★★ | ★★☆☆☆ |
| コストパフォーマンス | ★★★★★(月約3,000円) | ★★★☆☆(月5万円〜) |
| マーケ初心者の使いやすさ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ |
| 所要時間 | 5〜20分(プロンプト設計含む) | 30分 |
ChatGPTは「安くて汎用性が高い」のが最大の武器。マーケティングの知識がある人なら、プロンプトを設計してChatGPTだけで十分な戦略を作れる。一方、専用ツールは「マーケティングの型を知らなくても、質問に答えるだけで構造化された戦略にたどり着ける」のが強み。どちらが合うかは、自分のマーケティング知識のレベルと予算で決まる。
注意: どのAIツールも「完璧な戦略」を出すわけではない。AIの出力は「80点のたたき台」であり、自社の実情に合わせた調整は必ず必要。ただし、たたき台があるのとないのとでは到達点が全く違う。
実践ツール: マーケティング戦略セルフチェックで自社の戦略状態を10問チェック。ツール選定の前に、まず現状を把握しよう。

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記事を読むAIに任せていい範囲と、人間が決める範囲
AIで戦略を立てるうえで一番つまずくのは「どこまでAIに任せていいのか」の線引きです。これを間違えると、AIの出力を鵜呑みにして外したり、逆にAIを信用できず全部自分で抱え込んだりする。手順を回してきた経験から言うと、線引きはこうなります。
| 工程 | AIに任せていい | 人間が決める |
|---|---|---|
| 市場・競合分析 | 公開データの収集・整理(人の何十倍も速い) | 自社の一次情報の入力。数値の出典確認 |
| WHO(ターゲット) | 葛藤・行動パターンへの構造化 | 「この層で合っているか」の最終判断 |
| WHAT(価値提案) | 言語化の壁打ち相手 | 自社の強み・こだわりの種を出すこと |
| HOW(施策設計) | 選択肢の洗い出し・優先度の提案 | 「今月はこれだけやる」という絞り込み |
ざっくり言えば、AIは「叩き台を速く作る」のが得意で、「自社にとっての正解を選ぶ」のは人間の仕事。AIの出力は80点のたたき台、残り20点を埋めるのが経営者自身という前提で使うとうまくいきます。
⚠️ 注意: 「ChatGPTでも専用ツールでも、どっちでもよい」と道具選びで迷い続けると、いつまでも手が動きません。型を自分で書けるならChatGPT、書けないなら専用ツール——と先に決めて、最初の3ヶ月はどちらか1つを深く使い込むのが近道です。各ツールの費用・機能の詳細比較はAIマーケティングツール比較おすすめ16選に譲ります。
コンサルに頼む選択肢と費用感を比べたい場合は、マーケティングコンサルの費用相場でタイプ別の料金と代替手段を整理しています。
AIで戦略を作るときに知っておくべき3つの注意点
ここまで読んで「よし、使ってみよう」と思った方にこそ伝えたいことがある。私自身がAIマーケティングツールを開発・運用する中で経験した「やりがちな失敗」を3つ共有する。
1. WHO設定をスキップしない——ここを飛ばすと全部ズレる
AIツールを使い始めたときに最も多い失敗パターンがこれだ。ターゲット設定を「後で考える」とスキップして、いきなり施策の話に入ってしまう。
気持ちはわかる。「SNSをどうするか」「広告をどう打つか」という具体的な施策のほうが、やった感がある。でも「誰に届けるか」が曖昧なまま施策を決めるのは、住所を決めずにナビを設定するようなもの。どこにも辿り着けない。面倒でも、WHO設定に時間の半分以上を使うのが正解だ。
2. AIが出した数字を鵜呑みにしない
AIは「もっともらしい嘘」をつくことがある(ハルシネーション)。総務省「令和6年版 情報通信白書」も、生成AIの利用にあたり誤情報や不正確な回答が生じうる点を課題として挙げている。私自身、過去にAIが出した「○○業界の市場規模は△△億円」を鵜呑みにして、クライアントへの提案書にそのまま載せかけたことがある。直前に原典を確認して、数字が存在しないことに気づいた。
戦略の方向性はAIに任せていい。でも数値データは出典を確認する癖をつけてほしい。「AIが言ってました」では、社内の稟議も通らない。
3. 出力に自分の「肌感覚」を上書きする
AIの出力は80点のたたき台だ。残り20点を埋めるのは、経営者自身にしかできない。
たとえば先ほどの工務店の例で、AIは「OB施主からの紹介率が高い」というデータからCEPに「知人が家を建てた話を聞いたとき」を入れた。でも社長は「紹介のお客さんは最初から決まってるから、紹介を増やすより新規の接点を作りたい」と判断するかもしれない。その判断はAIにはできない。AIが提示した選択肢の中から、自社にとっての正解を選ぶのは人間の仕事だ。
AIで作った戦略を「社内に浸透させる」3つのコツ
社内浸透のコツは、戦略を1枚のシートにまとめ、全員がいつでも参照できる仕組みを作ることです。
AIツールで戦略を作ったあと、もう一つの壁があります。それが社内浸透。せっかくAIで体系的な戦略を作っても、社長や担当者の頭の中にしか残っていないと、現場の判断が変わりません。
コツ1:戦略を「1枚のシート」にして全員が見える場所に置く
WHO・WHAT・HOWを1枚のシートにまとめ、社内のSlack・Notion・壁紙など、毎日目に入る場所に置きます。シートの形式は問いませんが、1枚で全体が見渡せるのがポイント。複数ページに分かれていると参照されません。
AIツールの利点は、戦略をすぐにテキスト出力できること。シート化のハードルが極端に低くなるので、「文書化されない戦略」を防ぎやすいです。
コツ2:施策の意思決定をするときに、必ず戦略シートを参照する
新しい広告クリエイティブを作るとき、新しいコンテンツを書くとき、新しいキャンペーンを企画するとき。「戦略シートのどこに紐づく施策か?」を必ず確認するルールを社内に作ります。
これがないと、戦略は「作っただけ」で終わってしまいます。施策の度に戦略を参照する習慣ができると、戦略が現場の判断を変える資産として機能し始めます。
コツ3:3ヶ月に1回、戦略のレビュー会を開く
戦略は固定ではなく、市場・顧客・自社の変化に合わせて更新するもの。3ヶ月に1回、関係者を集めて「戦略シートのどこを更新すべきか」をレビューします。
AIツールを使っていれば、レビュー時に最新のデータを再分析させて、戦略の修正案を出させることも可能。「作る」と「育てる」のサイクルが、AIで一気に短くなるのが、専用ツール時代のマーケティングの特徴です。
💡 Tip: 社内浸透のためのシート化は、AIに「この戦略を社内共有用に1枚のシートにまとめて」と指示すれば、5分で完成します。フォーマットを揃えてから渡せば、担当者が変わっても引き継ぎやすくなります。
よくある質問
AIで戦略を立てるのに、まず何から入力すればいい?
事業概要・ターゲット・差別化ポイント・現在のマーケ活動の4つから入力するのが基本。難しい分析は不要で、普段取引先に話している内容で構わない。そのうえでWHO→WHAT→HOWの順にAIへ考えさせると、出力が一気に締まる。順番を飛ばして「施策だけ」を聞くと一般論になりやすい。
AIで戦略を立てるなら、ChatGPTと専用ツールのどちらを使う?
WHO-WHAT-HOWのような型を自分でプロンプトに書けるならChatGPTで十分。書けない・何から聞けばいいかわからないなら、質問に答えるだけで進む専用ツールが向く。本記事の手順はどちらでも使える。道具の詳細比較はAIマーケティングツール比較記事を参照してほしい。
AIで戦略を立てると、どのくらいの粒度まで出る?
ターゲットの心理的葛藤、価値提案のコンセプト文、フェーズ分けされた施策ロードマップまで出る。本記事の「出力を公開」セクションが実例。ただし数値データはハルシネーション(もっともらしい嘘)が混じるので、出典の確認だけは人間が行うこと。
AIが作った戦略はそのまま使える?
そのままでは使えない。AIの出力は「80点のたたき台」であり、自社の強み・顧客の声・市場の肌感覚を反映させて初めて実行可能な戦略になる。
AI戦略立案ツールを導入すると、何時間くらいで戦略が完成しますか?
事前準備(既存顧客の声・購買データ・競合との違い)が整っていれば、専用ツールで30〜60分、ChatGPTで適切なプロンプト設計ができれば1〜2時間で戦略の骨格が完成します。事前準備にかかる時間(顧客ヒアリング・データ整理)の方が長く、おおむね半日〜1日程度を見ておくと安全です。逆にこの事前準備をスキップすると、ツールでどれだけ時間をかけても一般論しか出てこないので、結果的に時間効率が悪くなります。
AIで作った戦略を、そのままチームに共有しても理解されますか?
そのままだと専門用語が多すぎて理解されにくい場合があります。AIに「この戦略を社内共有用に、専門用語を使わず1枚のシートにまとめ直して」と再度指示すると、かなり読みやすくなります。さらに、「なぜこの戦略にしたか」の理由付けをAIに追加させると、現場メンバーの納得感が上がります。AIの利点は同じ戦略を、相手に合わせて何度も翻訳できること。これを使い倒すと、社内浸透のスピードが上がります。
ChatGPTでも専用ツールでも結果が同じなら、安いChatGPTでよくないですか?
マーケティングのフレームワーク知識があり、プロンプト設計に時間をかける覚悟があるなら、ChatGPTでも同等の結果は出せます。ただし「プロンプト設計に毎回30分かけるのが負担」「フレームを覚えるのが面倒」と感じるなら、専用ツールの方がトータルの時間効率が良くなります。「月額の差額」と「自分の時給」を比較するのが現実的な判断軸です。

まとめ——「これで合ってるのか?」から抜け出す方法
この記事を読んでいるあなたは、おそらく「AIで戦略を作れるかもしれない」と思いつつ、「本当に使い物になるのか」が不安なのだと思う。
その不安は正しい。AIに漠然と聞くだけでは使い物になる戦略は出てこない。ただし、正しいフレームワークを使って——それが自分でプロンプトを設計する形でも、専用ツールに任せる形でも——WHO(誰に)→ WHAT(何を)→ HOW(どうやって)の順番に沿って考えれば、「自分の会社に合った戦略の骨格」は見えてくる。
・AIで戦略を立てる成否は「渡す情報の質」と「WHO→WHAT→HOWの順番」で決まる
・手を動かす前に3つの準備(顧客の声・購買データ・競合との違い)を書き出す。これだけで出力が一段上がる
・入力→生成は30分前後で骨格まで到達。ターゲットの葛藤、コンセプト文、施策ロードマップまで出る
・AIの出力は80点のたたき台。残り20点(最終判断・数値の出典確認)は人間が埋める
「何から始めればいいかわからない」——その状態を抜け出す最短ルートは、まず30分だけAIに質問に答える形で戦略を作ってみることだ。ChatGPTでもいい。完璧じゃなくていい。「うちのターゲットはこういう人で、届ける価値はこれで、最初にやる施策はこれ」——その骨格が見えるだけで、明日からの動き方が変わる。
著者について

山本至人
200社以上の中小企業マーケティングを支援。WHO-WHAT-HOWフレームワークをAIに組み込んだMyMarketerの開発者。株式会社WHAT代表取締役。東京大学松尾研AI経営修了。法政大学法学部卒業。映像制作事業やDtoCアパレルブランドなど複数の新規事業立ち上げにCMOとして携わる。2023年株式会社WHAT設立。外部CMOサービスにて多くの企業のマーケティング支援を実施。東京大学松尾研AI経営修了。
- 株式会社WHAT 代表取締役
- 東京大学松尾研 AI経営寄付講座 修了
- 複数企業の外部CMOとしてマーケティング支援を実施







