AI社員の作り方|業務の選び方・設定手順とLP制作の実例
AIマーケティング

AI社員の作り方|業務の選び方・設定手順とLP制作の実例

山本至人
18分で読めます

「AI社員を作りたい」と思ったとき、任せたい仕事は人によって違います。営業の商談整理、採用の日程案内、経理の書類確認、問い合わせへの返信、マーケティングの制作。まず決めるのは、AIの名前や口調よりも、どの仕事をどこまで任せるかです。

作り方の基本は、一つの仕事を選ぶ→使う環境と資料を用意する→役割と完了条件を指示する→一件試して直す→繰り返す仕組みを整える、という順番です。この記事では業務共通の指示書と設定例を示し、後半でLP制作を実際に一件動かした結果を紹介します。

AI社員とは、一つの仕事を任せるために役割を決めたAI

この記事では「AI社員」を、担当する仕事、使える情報、実行できる操作、確認する人を決めたAIの使い方として扱います。マーケティング専用の呼び名ではありません。名前を付けただけで社員一人分の仕事を引き受けたり、常時自動で働いたりするわけでもありません。

たとえば「営業担当として働いて」だけでは、何ができたら完了か分かりません。「商談メモから、顧客の要望・未確認事項・次回までの約束を一覧にする」まで絞ると、元のメモと比べて確認できます。職種を丸ごと任せる前に、入力と完成物が分かる一つの作業から始めます。

1. 任せる業務と、人が確認する範囲を決める

普段の仕事から、繰り返し発生し、必要な資料を渡せて、結果の良し悪しを自分で確かめられる作業を選びます。初回は「下書き・抽出・整理」までにすると、外部へ送る前や正式な記録へ反映する前に内容を直せます。

次の表は、最初の担当業務を小さく切り出すための設定例です。各業務での導入実績や、特定ツールの対応機能を示すものではありません。

業務と渡す資料AIに返してほしいもの人が確認すること
営業:商談メモ要望・未確認事項・次の約束の一覧相手の発言と推測の区別、担当者と期限。顧客への連絡は確認後
採用:募集要項・案内文のひな形・候補日時日程案内の下書き日時・場所・宛先。合否の判断はこの担当に含めない
経理:請求書と社内の確認項目日付・金額などの転記案、未記載・読み取れない項目の一覧原本との一致。会計処理の確定や支払いは別の担当・手順で行う
問い合わせ対応:質問文・承認済みFAQFAQの根拠を添えた返信案、担当者へ確認すべき点回答の正確さ、例外対応。返金や送信を自動では実行しない
マーケティング:商品情報・読者・掲載目的LPの構成・文章・制作物商品条件と表現、画面と操作、公開してよい内容か

「問い合わせ担当」なら、最初の完了条件は「承認済みFAQで答えられる部分を下書きし、答えられない部分を分ける」と書けます。返信案の作成と送信は別の操作です。作成まで任せるのか、確認後の送信までつなぐのかを分けて決めてください。

2. 必要な機能から実行環境を選び、資料を用意する

仕事が決まったら、その入力と出力を扱える環境を選びます。最初から複数のサービスをつなぐ必要はありません。社内で利用が認められたAI環境で、資料を手渡しし、返ってきた結果を人が確認する形から試せます。

  • 文章や表の下書き:必要な資料を入力でき、結果を取り出せるかを確認します。
  • ファイルや画像の制作:指定のファイル形式で保存できるか、画像生成や表示確認の機能があるかを確認します。
  • 業務システムの操作:対象システムとの接続方法と、閲覧・下書き・更新・送信のどの権限を渡すかを確認します。
  • 定期実行:開始条件、実行履歴、失敗時の通知、停止方法を用意できるかを確認します。

指示文やSkillを置くだけで、接続や定期実行の機能が増えるわけではありません。Skillは再利用する作業手順を記したファイルです。必要な機能、利用できるプラン、処理量に対する料金は、選んだサービスで確かめてください。AIサービスの利用料と、画像生成・外部連携・公開先などの費用は分けて見ます。

資料は「今回の依頼」と「毎回参照するルール」に分けます。問い合わせ対応なら、今回の質問文と、版・更新日が分かるFAQです。営業なら商談メモと記録のひな形です。古い資料と新しい資料が食い違った場合に、どちらを使い、誰へ確認するかも添えます。初回の試行には架空・匿名化した資料を使い、実データを渡す際は社内の利用条件と必要な範囲を確かめます。

3. 業務共通の指示書を作り、一件依頼する

次の角括弧を自分の業務に置き換え、選んだAI環境へ資料と一緒に渡します。これは役割と確認条件を伝えるひな形です。ファイルやシステムを使う場合の接続設定は、別に行います。

担当する仕事:[一つの作業]
入力:[今回渡す資料と、参照してよいルール・版]
成果物:[返してほしい内容、形式、保存先]
完了条件:[何がそろえば確認できるか]

進め方:入力を確認し、足りない情報を挙げてから作業する。
資料にない事実・数字・約束を補わない。
事実、推測、確認が必要な点を分ける。

実行してよい操作:[閲覧、下書き作成など]
実行しない操作:[外部送信、正式記録の更新、支払いなど]
止める条件:[資料がない、矛盾する、権限外の操作が必要など]
確認する人:[担当者]

終わったら、成果物、参照した資料、未確認事項を報告する。

たとえば、問い合わせ返信案を作るなら次のように埋められます。以下は説明用の架空設定で、実際に顧客対応を行った記録ではありません。

担当する仕事:問い合わせへの返信案を作る。
入力:質問「初期設定の手順を教えてください」
FAQ v1:「初期設定は、管理者が利用者を招待し、
利用者が届いた案内に沿ってログインする」
成果物:返信案、根拠にしたFAQの項目、未確認事項。
完了条件:資料で答えられる範囲が分かり、担当者が確認できる。

FAQにない操作方法や所要時間は付け加えない。
回答できない質問は、担当者への確認事項として分ける。
返信の送信や、利用者アカウントの変更は行わない。

返ってきた返信案をFAQと並べ、資料にない手順や約束が加わっていないか確認します。正しければ指示書とFAQの版を保存します。修正が必要なら「丁寧にして」だけでなく、「FAQにない所要時間を削除し、不明点として分ける」のように、どこをどう直すかを伝えます。

4. 通常の入力と、困る入力の両方で試す

一度うまく返答しただけでは、続けて任せられるかは分かりません。少なくとも次の違いを持つ入力で、成果物と止まり方を確かめます。

  • 必要な資料がそろっている:指定した形式で返り、原本と内容が一致するか。
  • 資料に答えがない:推測で埋めず、足りない情報を示せるか。
  • 資料が矛盾している:勝手に片方を採用せず、確認が必要だと伝えられるか。
  • 担当外の操作を頼まれる:送信・更新などの権限外の操作へ進まないか。

問い合わせの例なら、FAQにない「返品期限」を聞く入力も試せます。営業なら期限が書かれていない商談メモ、経理なら金額の一部が読み取れない見本です。正しい結果が出たかだけでなく、人に戻すべき場面を残しているかを見ます。実際に使う環境で試し、結果を記録してください。

実演例:LP制作を担当するAIを一件動かす

ここからは、上の手順をマーケティング業務へ当てはめた実演です。架空商品の「余白ノート」について、構成、デザイン見本、HTMLの実装、ブラウザ確認まで進めました。営業・採用・経理・問い合わせ対応を実行した事例ではありません。

決めること今回の設定
担当する仕事商品情報をもとに、短いLPを構成から試作する
受け取る成果物構成・文章、デザイン見本、編集できるHTML、確認記録
使ってよい情報今回渡した架空の商品情報と、同梱の3つのSkill
決めてはいけないこと未定の価格・送料・販売開始日、実証していない効果
実行しない操作購入、申込、顧客への送信、外部への本番公開
確認の担当AIは表示とリンクを検査。実販売への採用・商品条件の確定は人が判断

LP実演で用意した環境と入力

文章の下書きなら対話型AIでも始められます。今回のようにファイルを作り、画像を生成し、ページをブラウザで確認する仕事には、それぞれの操作ができる実行環境が必要です。Skillは作業手順を記したファイルであり、画像生成や公開機能そのものではありません。

今回使ったのは、ファイル操作・画像生成・ブラウザ確認が利用できるCodexの環境です。配布ソースから取り出した2026.09.19-r3のLP制作セットに含まれる、lp-outline、lp-build、build-conversion-lpの3つを参照しました。LINEからの受取操作を検証した実例ではありません。

Skillファイルの無料配布と、AIサービスの利用料金、画像生成、公開先の料金は別です。使う環境の契約と利用上限を確認してください。この記事の実演から、誰でも無料で同じ結果になるとは判断できません。

新しい作業フォルダを一つ作り、展開したSkill一式と商品情報を置きます。既存案件の原稿や顧客情報が入ったフォルダと分けると、何を読ませたかを確認しやすくなります。今回の商品情報は次の内容です。

商品:余白ノート(架空の商品)
用途:1日の終わりに明日の仕事を3つに絞る紙ノート
仕様:A5サイズ、30日分
読者:会議や連絡で仕事が増え、翌朝の着手順を決め直している担当者
流入:商品紹介のSNS
ページの目的:使い方を理解し、仕様を確認する
価格・送料・販売開始日:未定
写真・ロゴ:なし。生成写真は架空デモとして使う
禁止:効果、利用者の声、販売条件を作らない。申込や決済は設けない

「何となくよさそうなページ」が出てきたときも、この入力に戻れば、対象者に説明できているか、未定の条件を勝手に決めていないかを照合できます。

LP制作向けに埋めた指示書

商品情報と、AIへの仕事の指示を分けて保存します。商品が変わったときに、仕事のルールまで一から書き直さずに済むためです。最初は大きな仕組みを作らず、次のような一枚で試せます。

あなたの担当は、商品情報からLPの試作を作ることです。
skills/lp-build/SKILL.md を読み、同梱のlp-outlineと
build-conversion-lpにつないで進めてください。

入力:このフォルダの商品情報。未確認の価格・効果は補わない。
成果物:構成と文章、完成見本、HTML/CSS、確認結果。
範囲:構成→デザイン→実装→ブラウザ確認まで。
文章とボタンはHTMLで編集・操作できるようにする。

確認:入力との一致、スマホとPCの表示、ページ内リンク、
キーボード操作、横にはみ出す箇所。
止める条件:情報が矛盾する、必要な機能が使えない、
実際の販売条件や外部送信が必要になった場合。
本番公開、課金、申込、顧客への連絡は行わない。

終わったら、保存先、修正内容、未確認事項を報告してください。

AIが資料を読めたことと、内容を正しく反映したことは別です。初回は入力と成果物を並べて確認します。ファイルの参照方法やSkillの配置先は使う環境によって違うため、同梱のREADMEに沿って始めてください。

生成した見本と、実装後の修正

今回の実演では、まず「明日の一つ目を、今日のうちに。」という見出しと、使い方、仕様・FAQの順に構成を作りました。価格が未定なので、購入ボタンではなく、使い方と仕様へのページ内リンクを置いています。

次にページ全体のデザイン見本を生成し、写真部分の文字を除いた素材を用意して、文章とボタンをHTMLで実装しました。写真の中にある文字は、表示されているだけでは編集も操作もできません。見本の見た目と、動くページの役割を分けた工程です。

余白ノートの生成したLP完成見本。見出し、使い方、仕様とFAQの3区分
画像生成で作った完成見本。架空商品のデモです。

実装後に幅390pxのブラウザで確認すると、最初の画面の高さが650pxあり、見本より写真と余白が大きくなっていました。また「購入・申込はできません」の注記が10pxで小さかったため、AI側の確認で高さを540px、注記を12pxへ調整しました。これは人からの修正指示を受けた記録ではありません。

修正後の余白ノートLPを幅390pxの実ブラウザで表示した画面
修正後の実ブラウザ画面。見本の画像を一枚貼ったものではなく、文章とリンクをHTMLで実装しています。

「使い方を見る」をクリックすると使い方へ、「ノートの仕様を見る」をEnterキーで操作すると仕様へ移動しました。320・390・430・1280pxで文書の横あふれがないことも確認しています。写真は再生成時に構図が変わっており、元の見本と完全に同じではありません。

一回の制作で分かったのは、この入力と環境では短いLPの試作まで進められたことです。売上への効果、実際の申込受付、無人での継続運用は確認していません。準備と別作業が並行しているため、制作全体の時間短縮や外注費の削減も算出していません。

ページの文章や見た目をどこで確認するかは、AIでLPの構成から実装まで進める方法で詳しく扱っています。

ほかの業務へ置き換えるときは、LPの「商品情報」をその業務の元資料に、「完成ページ」を欲しい出力に、「表示・リンクの確認」を原本との照合や返信内容の確認に置き換えます。共通するのは、入力と出力を決め、実物を確認して直した箇所を残す手順です。今回の画面の高さや、LP用のSkillをそのまま別業務へ使う必要はありません。

LP制作から試したい方は、無料LP制作Skillの内容と使い始め方を確認できます。営業・採用・経理など全業務に対応するSkillセットではありません。

5. 繰り返し使うための記録と運用を整える

試行が終わったら、指示書、参照資料の版、入力、出力、人が直した点、未解決事項を同じ仕事の記録として残します。「問題なし」だけでなく、「資料にない期限を回答案から削除した」のように、次回に確認できる形で書きます。

そのうえで、毎回人が依頼する形で続けるか、定期実行やシステム連携へ進むかを選びます。自動で動かす範囲を増やす場合は、次を決めてから接続します。

  • いつ始めるか:担当者の依頼、決まった日時、新しい資料の到着など。
  • どこへ返すか:下書きの保存先と確認担当者。外部送信とは分ける。
  • 何を実行できるか:閲覧だけか、下書き作成か、確認後の更新までか。
  • 失敗したらどうするか:誰へ通知し、どこで停止するか。再実行で同じ送信・登録を重ねない方法。
  • 何を更新するか:FAQや業務ルールの管理者と、指示書を見直す条件。

効果を確かめるときは、作業を頼む準備、AIの処理待ち、確認と修正、利用料金を分けて記録します。生成が速くても確認に時間がかかれば、その仕事の任せ方を見直す必要があります。社員一人分の代替や削減効果は、一度の試作だけでは判断できません。

マーケティング業務を中心に、任せる仕事や導入範囲から整理したい場合は、AIマーケティングチーム構築支援の無料診断へ進めます。まず自分で試す場合は、上の共通指示書を一つの業務で埋めるところから始めてください。

よくある質問

AI社員を作るのに、プログラミングは必要ですか?

資料を渡して下書きや整理を依頼するところからなら、コードを書かずに試せます。ファイル作成、システム連携、定期実行には、それぞれの機能を持つ環境や設定が必要です。この記事は業務共通の設計と試行手順を扱っており、特定製品の設定画面を順に説明するものではありません。

最初から複数のAI社員を作るほうがよいですか?

まず一つの仕事で、入力と成果物、確認する人を決めて試してください。工程を分ける場合は、前の担当が何を返し、次の担当が何を確認して受け取るかも決めます。役割を増やすこと自体を完成条件にしないでください。

指示書を保存すれば、あとは自動で働きますか?

指示書は仕事のルールであり、実行のきっかけやシステムへの接続そのものではありません。まず手動で繰り返し使い、必要になった範囲で定期実行、情報の更新、通知、停止の仕組みを整えます。

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著者について

山本至人

山本至人

200社以上の中小企業マーケティングを支援。WHO-WHAT-HOWフレームワークをAIに組み込んだMyMarketerの開発者。株式会社WHAT代表取締役。東京大学松尾研AI経営修了。

法政大学法学部卒業。映像制作事業やDtoCアパレルブランドなど複数の新規事業立ち上げにCMOとして携わる。2023年株式会社WHAT設立。外部CMOサービスにて多くの企業のマーケティング支援を実施。東京大学松尾研AI経営修了。

  • 株式会社WHAT 代表取締役
  • 東京大学松尾研 AI経営寄付講座 修了
  • 複数企業の外部CMOとしてマーケティング支援を実施

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