クロスセル提案の作り方|顧客の課題を見つける方法とAI活用の具体例
既存顧客に、別の商品やサービスも提案したい。けれど、誰に何を勧めればよいか分からないし、唐突に売り込んで関係を悪くしたくもない。
クロスセル提案を考えるときは、顧客が今の商品を使って何を達成したいのか、その前後にどんな課題が残っているのかを確認します。そこから関連する商品や支援を選び、役立つ理由、費用、導入の負担を含めて伝えます。
この記事では、顧客の選び方、追加提案の内容、タイミング、提案文、結果の確認までを説明します。後半では、制作会社・広告代理店がAIを使って、既に持つ制作・運用の力に上流戦略や成果改善の支援を加える例も紹介します。
クロスセル提案とは?アップセルとの違い
クロスセル提案とは、購入・利用している商品や、購入を検討している商品に関連する、別の商品・サービスを提案することです。機器を購入する顧客に保守サービスを案内する、業務ツールの利用企業に導入研修を提案する、といった形があります。
アップセルは、同じ商品の上位モデルや上位プランを勧めることです。業務ツールの上位プランへの変更はアップセル、別の研修サービスを加える提案はクロスセルとして考えます。商品構成によって境界は変わるため、自社で何を追加販売するかを明確にしてください。
クロスセルで取引を広げるには、追加した商品が顧客の目的に役立ち、無理なく使えることが前提です。顧客が望んでいない商品を重ねれば、費用や手間が増えてしまいます。
マーケティングから考える、クロスセルの見つけ方
商品を買うことと、その商品で目的を達成することは別です。業務ツールを契約しても、現場に定着しなければ仕事は楽になりません。サイトを公開しても、必要な相手に届き、相談につながらなければ集客の目的は達成できません。
そこで、顧客の行動を「買う前/使い始めるとき/使った後」に分け、どこで止まっているかを見ます。マーケティングでいうカスタマージャーニーを、追加提案を考えるために使う方法です。買ったものの周辺を探すだけでなく、目的へ進む途中の障害を探します。
| 顧客の段階 | 止まっていること | 考える追加支援 |
|---|---|---|
| 買う前 | 必要性は分かるが、社内で導入を決められない | 費用や導入条件の比較、社内説明の支援 |
| 使い始めるとき | 担当者は理解しているが、現場が使えない | 研修、移行、運用ルールの整備 |
| 使った後 | 利用できているが、期待した成果まで届かない | 原因調査と、次の工程を改善する支援 |
すべてを追加料金にする話ではありません。購入前の説明は通常の営業で行うことも多く、導入支援が既存契約に含まれる場合もあります。顧客に必要な仕事を見つけ、そのうち何を既存の提供で担い、何を別の商品・支援として用意するかを考えます。

同じ商品を買った顧客でも、提案するものは変わる
業務ツールを契約した企業でも、新人の操作質問が多い企業と、使いこなして次の業務を改善したい企業では、必要な支援が違います。「この商品を買った人」だけでまとめず、目的、利用状況、残っている課題で顧客を分けます。これがクロスセル提案で使えるセグメンテーションです。
さらに法人取引では、使う人、推進する担当者、予算を決める人が違うことがあります。利用者が便利だと感じる提案でも、決裁者には費用と導入の負担が分からなければ進みません。誰の課題を解決し、誰が判断する提案なのかをそろえてください。
既存顧客との取引履歴は、その違いを知る材料になります。取引があるだけで提案が通るわけではありませんが、以前の選定理由や利用後の相談を読めば、新規顧客より具体的な仮説を立てられる場合があります。
クロスセルは、一回の取引額を増やすだけでなく、顧客が目的を達成するまで支援を続ける機会になります。ただし、追加支援の工数ばかり増えて採算が残らないなら事業として続けられません。顧客の成果と、自社の粗利・提供負担の両方を見る必要があります。
誰に、何を、いつ提案するか
誰に:具体的な課題を確認できる顧客から
最初は、現在の購入・利用状況が分かり、担当者と話せる顧客を選びます。取引額の大きさに加えて、次の点を確認してください。
- 現在の商品・支援を、何のために選んだか。
- 使っていて、まだ困っていることや次にしたいことがあるか。
- 追加提案の必要性を、相談や利用記録で確かめられるか。
- 自社が追加の商品・支援を提供できるか。
現在の商品への不満や未対応の問題がある場合は、その解決を先に進めます。追加販売を急ぐと、今の契約への不満を聞いてもらえなかったと受け取られることがあります。
何を:今の商品の前後にある課題から選ぶ
関連性は、自社の商品同士だけでなく、顧客の仕事の流れで考えると見つけやすくなります。
| 現在の購入・利用 | 顧客に残っている課題 | クロスセルの候補 |
|---|---|---|
| 機器の購入 | 故障時の対応を社内で用意できない | 対応条件を確認した保守サービス |
| 業務管理ツールの利用 | 新しい担当者が使い方を覚えられない | 導入研修や運用定着の支援 |
| ECで掃除用品を購入 | 交換品の型番や交換時期が分からない | 適合する交換品の案内 |
| Webサイト制作 | 誰にどう届けるかが決まっていない | 顧客・競合の調査と集客方針設計 |
| 広告運用 | 問い合わせ後の検討が止まっている | 原因の調査と、説明・営業資料の改善支援 |
表は候補の例です。研修が必要なのか、既存のマニュアルで足りるのかは相手の状況によります。現在の商品や契約の範囲で解決すべき問題も、追加支援と区別します。
いつ:必要性を話せる場面で
導入後の利用確認、納品後の振り返り、顧客からの相談、担当者や事業の変化があったときは、次の課題を確かめる接点になります。購入時に、使用に必要な関連品を案内する提案もあります。
たとえば「新しい部署でも使いたい」という相談が来たら、人数だけでなく、その部署の使い方や準備を確認する。そこで研修が必要だと分かれば、追加支援を話せます。契約更新が近いという理由だけで、全顧客へ同じ提案をする必要はありません。
クロスセル提案を作る5つの手順
1. 今の取引と、顧客が達成したいことをそろえる
契約・購入履歴、利用状況、商談メモ、問い合わせを見て、今の取引の目的を整理します。「何を買ったか」に加えて、「なぜ選び、その後どう使っているか」を確認してください。
顧客に聞くなら、「使っていて手間が残っていることはありますか」「次に取り組みたいことはありますか」「今はどのように対応していますか」といった質問から始められます。既存の記録で分かることを先に読み、判断に足りない点を聞きます。
2. 確認できた課題と、まだ仮説の課題を分ける
「新しい担当者が操作できず、管理者へ質問している」は確認できた状況です。「研修を受ければ解決する」は候補となる仮説です。画面が分かりにくい、社内の運用ルールがない、といった別の理由も考えます。
原因を確かめてから提案すると、商品を増やす必要がない場合にも気づけます。顧客の声を整理する質問は、マーケティングのヒアリングシートも参考にできます。
3. 提案候補を比べ、最初の一つを選ぶ
以下は、業務管理ツールを導入した企業への、説明用の架空例です。新人から管理者への質問が集中している場面で考えます。
| 候補 | 選ぶ条件 | 今回確認すること |
|---|---|---|
| 既存マニュアルの案内 | 必要な情報はそろっていて、見つけられていない | 案内するだけで操作できるか |
| 担当者向け研修 | 基本操作と、会社の運用ルールを一緒に覚える必要がある | 受講対象、実際のつまずき、研修後に使う手順 |
| 上位プランへの変更 | 必要な機能が現プランにない | 不足している機能。操作習得の問題とは別に確認 |
この例で、必要な機能は既にあり、担当者が操作と運用ルールを覚える必要があると分かったなら、研修が候補になります。まだマニュアルを見ていないだけなら、案内から始めます。
比較するのは、顧客への貢献、費用・手間、提供できる条件、他の方法で足りるかです。自社が売りたい商品を先に決めず、その顧客に必要な一つを選びます。
4. 内容・費用・相手の協力を具体化する
何を提供し、相手に何をお願いするかを決めます。研修なら対象者、扱う操作、資料、実施方法、確認する人、費用をそろえる。サービスなら納品物と担当、日程、修正範囲、追加作業の扱いまで示します。
「導入すれば負担が減る」とだけ伝えるより、「新人が普段使う操作を対象にし、社内担当者と確認した手順を資料に残す」と書くほうが、何を受け取るかが分かります。金額を出す前には、自社の準備・実施・確認・フォローの工数も見積もります。
5. 次に合意したいことを決める
情報が足りない段階では、相談の打ち合わせや記録の確認を求めます。支援内容が決まった段階では、範囲・費用・日程への合意を求めます。確認の連絡と発注を求める提案を分けてください。
提案書へまとめる場合は、マーケティング提案書の作り方で構成と記入例を確認できます。
押し売りにしない提案の切り出し方と文例
追加の支援を話すときは、現在の状況、顧客の課題、提案する理由、具体的な支援、次の行動の順で伝えます。次は、前の研修の例に対応する架空の文例です。
まず状況を確認する連絡
新しく担当になった方からの操作質問が、管理者の方に集中していると伺いました。質問の多い操作と、現在の案内方法を確認できればと思っています。既存の資料で対応できるか、研修が必要かを一緒に整理できますか。
支援内容が決まった後の提案
確認した質問は、日常の基本操作と社内の運用ルールに集中していました。新しい担当者向けに、実際の業務に沿った研修と手順資料の作成をご提案します。対象操作、受講者、準備を担当する方、実施日、費用の内訳を以下にまとめました。この範囲で進められるかご確認ください。
実際に送る提案では、費用・日程の詳細も添えます。「詳細は後で」としたまま発注の判断を求めないようにしてください。
| 相手の反応 | 確認すること |
|---|---|
| 予算がない | 課題の優先度、予算を検討する時期、必要な範囲へ絞れるか |
| 今は忙しい | 相手に必要な準備と担当、着手できる時期 |
| 今の契約に含まれるのでは | 契約の対象。含まれる仕事なら既存支援として対応 |
| 必要性を感じない | こちらの課題認識が合っているか。必要がなければ見送る |
最初の提案で受注しなくても、確認できた課題と見送った理由は残します。その後、状況が変わった際の相談に使えますが、繰り返し同じ商品を勧める理由にはしません。
AIエージェントで、調査から提案・実行へ進める
顧客の記録から提案候補を考えるだけでなく、必要な情報を調べ、提案資料を作り、合意した仕事を進め、結果を確認するところまでAIの担当範囲を広げられます。そのために使うのが、資料やサービスへの接続、実務の手順、ファイルを作成・編集するツールを備えたAIエージェントです。
現在の公式資料では、実務の手順を「Skills」として再利用し、外部情報への接続と組み合わせる方法が案内されています。たとえばAnthropicのマーケティング向けプラグインは、競合分析、コンテンツ制作、施策設計、実績分析の手順を、外部サービスへの接続と組み合わせています。Anthropicの公式マーケティングプラグイン、CodexのSkillsとカスタマイズ
一つの顧客への提案を「仕事」として任せる
次は、業務ツールの利用企業に追加支援を提案する、説明用の運用例です。接続先と実行できる機能を用意したエージェントを使う前提で、この記事の制作中に実行した結果ではありません。
| 工程 | エージェントに進めてもらう仕事 | 受け取るもの・担当者が決めること |
|---|---|---|
| 顧客を調べる | 許可したCRM・商談メモ・問い合わせ記録から、対象企業の利用目的とつまずきを調べる | 根拠の記録へ戻れる課題一覧。足りない情報は質問にする |
| 提案を選ぶ | 自社の商品・価格・提供条件と照合し、マニュアル案内、研修、別の支援を比較する | 提案候補と選ぶ理由。担当者が必要性と提供可能性を確認する |
| 提案資料を作る | 選んだ支援について、対象者、範囲、成果物、役割、費用の案を資料へまとめる | 編集できる提案資料と見積もりのたたき台。金額・約束は人が確定する |
| 提供を準備する | 合意した内容から研修資料と実施手順を作り、担当・期限を整理する | 研修資料、手順書、作業予定。顧客の実際の運用に合うか確認する |
| 結果を確認する | 実施後の質問記録と利用状況を読み、当初の課題と比べる | 改善した点、残った問題、次の対応案。追加販売の必要がない場合も残す |
担当者が毎回資料を選んで貼り付け、出力を別の資料に写す手間は、接続とファイル操作を備えた環境なら減らせます。接続がない場合も、対象の資料を案件フォルダへまとめ、そこを読み書きできる環境から始められます。どのサービスへ接続でき、どのファイルを編集できるかは環境ごとに異なります。

実務の手順と、案件の記録を引き継ぐ
「良い提案を作って」という指示だけでは、判断に必要な工程が抜けることがあります。競合比較なら、顧客の選定基準を決め、実際のページを読み、根拠を付け、記載のない点を未確認として残す。この一連の手順をSkillにしておけば、次の案件でも使えます。商品情報、価格、対応できる範囲は案件の資料から確認します。
さらに、調べた情報、選んだ理由、顧客と合意した範囲、残っている確認を案件に残します。次の制作や振り返りを始めるとき、エージェントがその記録と必要な資料を読み、仕事を続けられるようにします。必要な情報をその都度取得し、長い仕事では判断を記録して引き継ぐ考え方は、Anthropicのエージェント設計の解説にも示されています。
任せる仕事を決めるときは、たとえば以下を用意します。これは案件の開始条件をそろえる例です。これを書くだけで外部接続や自動実行が有効になるわけではありません。
目的:A社の操作質問が管理者に集中する問題を解消する。
参照先:許可したA社の問い合わせ記録、利用手順、自社の支援メニュー。
最初の仕事:原因を調べ、既存の資料案内と追加研修を比較する。
成果物:根拠付きの比較資料、有望な提案一件の資料、提供計画。
引き継ぐ記録:参照した資料、判断理由、未確認点、担当と次の作業。
確認する段階:資料案を作った時点で人が確認する。
顧客への送付、価格の確定、追加費用を伴う作業は承認後に進める。
AIが資料を作れることと、顧客に責任を持って支援を提供できることは別です。根拠を読む力、商品を理解する力、提供内容を判断する力は必要です。そのうえで、調査や資料制作を一人で抱えなくてよくなる分、これまで着手できなかった支援を検討しやすくなります。
既存商品を組み合わせる場合と、新しい支援を用意する場合
自社に関連商品があるなら、その中から提案を選びます。新しいサービスを作る必要はありません。一方、制作・運用はできても、集客方針や成果改善まで一部の担当者しか扱えない会社なら、その仕事を進める手順と資料をエージェントで補い、新しい支援を用意する選択肢があります。
制作だけの価格で比較される場面では、納品物が何をもたらすかまで提案できることが、仕事を広げる一つの方向になります。以下では、制作会社・広告代理店が既存の強みを使いながら、その範囲を広げる例を見ていきます。
制作会社の提案例:サイト制作から、集客方針と改善支援へ広げる
以下は説明用の架空案件です。顧客の状況、検討内容、成果物は作例であり、受注や売上改善の実績ではありません。
「リニューアルしたい」の先にある目的を聞く
既存顧客の法人向け清掃会社から、サイトリニューアルの相談を受けたとします。制作・実装は自社で対応できます。相談の目的を聞くと、顧客は「売上の柱にしたい定期清掃の契約を増やしたい」と話しました。
ここで、現在のページをきれいに作り直す方針に進む前に、定期清掃を誰が、何を理由に依頼しているかを調べる支援を提案します。既存契約はサイト保守で、今回の集客方針設計とリニューアルは含まれていない設定です。
最初の打診は、次のようにできます。
定期清掃の契約を増やす目的なら、リニューアルの前に、どの企業に何を伝えるかを整理したいです。受注したお客様が選んだ理由と、失注した理由を伺い、競合の案内も比べて、サイトと集客の方針を決める支援をご提案できます。
エージェントが資料を調べ、制作前の判断資料を作る
合意後の方針設計では、サービス別の売上や採算の考え方、受注・失注の記録、営業への聞き取り、対応エリア、提供できる体制をそろえます。
この案件で用意するエージェントには、許可された案件資料と営業記録を参照させ、競合調査の手順で公開ページを読み、顧客の選定基準ごとの比較表を作らせます。比較表にはURLと参照した記載を残し、未確認の点を営業への質問票にします。資料からは、定期清掃を必要とする場面、選定時に気にすること、選ばれた理由を整理します。担当者は質問票を使って不足を確認し、結果を同じ案件へ戻します。調査を終えたら、エージェントがその記録から集客方針書と顧客向け説明資料を作成する、という流れです。
会社紹介から強みを推測するだけで終わらせず、営業担当と顧客の記録で確かめます。
この作例では、既存の受注記録から、複数のオフィスを管理する担当者が、拠点ごとに清掃会社へ連絡する手間を減らしたいと考えていた、と分かった設定にします。清掃会社が複数拠点をまとめて対応できる体制も確認できたとします。
競合比較では、社数を並べるだけでなく、その担当者が業者を選ぶときの観点を使います。次は、自社への聞き取りと、架空の競合A社・B社のページを材料にした比較例です。実在企業の調査結果ではありません。
| 比較すること | 自社への聞き取りで確認 | 競合A社の架空ページ | 競合B社の架空ページ |
|---|---|---|---|
| 複数拠点の定期清掃 | 対応できる | 対応できると記載 | 記載なし・要確認 |
| 依頼・連絡の窓口 | 本部担当者が一つの窓口へ依頼できる | 窓口の扱いは記載なし | 拠点ごとの依頼と記載 |
| 見積もりに必要な情報 | 拠点一覧と面積をそろえ、現地確認へ進む | 現地下見の案内あり | 必要情報は記載なし |
AIには、資料のどの記載からその比較ができるかを添えて整理させます。ページに書かれていないことは「対応できない」に変えず、未確認のまま残します。
この比較から、複数拠点に対応すること自体は、競合にもあると分かります。そこで「自社だけの強み」とは呼ばず、受注理由にあった連絡の手間と、自社で確認できた窓口・見積もりの進め方を中心に説明する方針を選びます。担当者が本当に重視しているかは受注記録と聞き取りで、提供できるかは清掃会社の担当者に確かめます。
競合を調べた結果を、根拠のある訴求と、追加で聞く質問へ変える。ここまでが、制作前に提供する支援です。
顧客に渡す「集客方針書」の記入例
| 論点 | この案件で選ぶ方針 |
|---|---|
| 増やしたい仕事 | 対応できるエリア内の、複数拠点の定期清掃契約 |
| 優先する顧客 | 複数オフィスの清掃手配を担う総務・管理担当者 |
| 伝える価値 | 拠点ごとの依頼・連絡をまとめて進められること |
| 根拠 | 受注理由の記録と、顧客側に確認した対応体制。掲載する事例は公開許可も確認 |
| サイトの役割 | 対応エリア、複数拠点の進め方、連絡窓口、見積もりに必要な情報を説明する |
| 初回の集客施策 | 既存の紹介・営業経路でページを使う。検索広告は検索需要と予算を確認して別途判断 |
| 見る成果 | 対象エリア・顧客条件に合う相談、現地確認、見積もり、契約への進み方 |
これは、デザインを始める前に顧客と合意するための方針です。対象を絞る理由や、広告をまだ始めない理由も説明します。受注記録が不足していれば、対象を確定せず、先に営業への追加確認を行います。
方針を、自社の制作と継続支援へつなぐ
方針に合意できたら、複数拠点の定期清掃を説明するページ、相談フォーム、営業が案内する資料を制作します。ここは制作会社が持っている力を使う工程です。エージェントには、承認した方針書を読み、ページ構成・コピー案・営業資料の草案をファイルとして作らせます。制作担当には、本文だけでなく、誰のどんな疑問に答えるかと根拠も渡します。制作会社は、その内容の確認とデザイン・実装を担います。
公開後の改善支援では、閲覧数に加えて、相談内容と営業の進み方を確認します。ページを読んでも見積もりに必要な情報がそろわないなら、相談の案内を直す。問い合わせは来ても対象外の企業ばかりなら、届いている相手と説明を見直す。この確認を続けるなら、合意した期間のアクセス・問い合わせ・営業記録を取得できる環境を用意します。エージェントが、採用した方針と実際の結果を比べ、修正候補と次の制作依頼を案件に残す。担当者が原因の見立てを確認してから、次の仕事を決めます。計測だけで売上増加の原因を断定せず、営業側の変化も確認します。
顧客への見積もりは、集客方針の設計/サイト・資料の制作/公開後の改善支援に分けます。継続支援には、確認するデータ、打ち合わせ、改善提案までを含め、追加制作の扱いを決めます。「月額で何でも対応」という範囲にはしません。
広告代理店の提案例:広告の改善から、売上につながる施策の提案へ
こちらも説明用の架空案件です。
法人向け研修サービスの広告を運用しているとします。問い合わせはあるのに、顧客から「商談になっても決まらない」と相談が来ました。広告の配信改善と定例報告は既存契約に含まれていますが、顧客調査、営業資料の設計・制作は含まれていない設定です。
広告管理画面の外に、確認する範囲を広げる
先に、流入の対象、問い合わせの質、営業の対応を確認します。「LPが悪い」と決めて作り直すと、広告が集めている相手や、研修サービス自体の条件を見落とします。
追加支援として、商談メモ、受注・失注の理由、研修資料を整理し、問い合わせ後に相手が判断できていないことを調べる案を出します。
広告の調整に加えて、商談で何が判断できずに止まっているかを確認したいです。営業で出ている質問と、研修の説明を照合し、LPや営業資料のどこを補うべきかを整理する支援をご提案します。
この案件で用意するエージェントには、許可された商談記録、広告実績、研修の商品資料を参照させます。どの広告から来た相談が商談へ進み、どの段階で止まったかを、照合できる範囲で調べます。記録を結び付けられない場合は、その不足を示してから、商談の疑問を分類します。
マーケティングの分析では、広告から問い合わせを得ることと、担当者が社内で購入を決められることを分けて考えます。研修を使う現場、導入を進める人事担当、予算を承認する上司がそれぞれ何を判断できていないかを見る。問い合わせ後を扱う提案は、この購入までの流れから考えられます。
エージェントには、疑問と根拠の一覧、商品条件の確認事項、LPと営業資料の修正方針を作らせます。営業責任者が状況と合っているか確認した後、その方針から営業スライドとLPの原稿を編集可能なファイルへ作成させる流れです。
追加提案の記入例
この作例では、研修の内容は伝わっているものの、受講後に社内でどう定着させるか、担当者が上司へどう説明するかが不足していた、と分かった設定です。
| 項目 | 提案する支援 |
|---|---|
| 課題 | 研修内容を理解しても、導入後の進め方と社内説明の材料がそろわない |
| 初回の仕事 | 商談記録と商品資料の整理、顧客・競合の比較、検討を進める説明の設計 |
| 判断資料 | 検討を止める疑問の一覧、商品側で対応が必要な点、制作で補える点の比較 |
| 次の制作 | 研修提供会社が実際に提供できる範囲の導入手順・役割分担を示す営業資料とLPの説明 |
| 役割 | 代理店が調査・提案・制作方針、研修会社が提供内容と営業での使い方を確認 |
| 振り返り | 対象条件に合う商談、保留・失注の理由、資料を使った営業からの反応 |
たとえば研修後の支援そのものを提供できないなら、「定着までサポートする」とコピーに書くことはできません。商品側に相談すべき課題と、広告・LP・資料で改善できる課題を分けて提案します。
資料を提供した後は、営業が使ったか、社内説明の段階で止まる理由が変わったかを確認します。継続支援として合意した場合は、担当者が定例でエージェントに新しい商談記録と前回の判断を参照させ、改善案を作らせます。日程を指定した自動実行を使うなら、別途その設定と動作確認が必要です。初回の調査・設計と、採用された資料やLPの制作を分けて見積もり、継続して確認する仕事があれば月次の改善支援を提案します。
広告運用の既存契約では引き続き配信を改善し、追加支援では、問い合わせ後の検討まで扱う。顧客には、それぞれの仕事と費用を説明します。
提案した後は、購入と利用の結果を分けて振り返る
提案が通ったかに加えて、顧客が追加した商品・支援を使えたか、その目的に役立ったかを確認します。
| 確認する段階 | 見ること |
|---|---|
| 提案 | 誰に何を提案し、関心・保留・見送りの理由は何だったか |
| 購入・契約 | 提案した件数に対する購入件数、取引額、自社の提供負担 |
| 利用・提供 | 使い始められたか、準備や担当で止まっていないか |
| 顧客の成果 | 合意した課題が改善したか、追加の費用や手間に見合うか |
業務ツールの研修なら、受講だけでなく、質問が集中していた操作を担当者が扱えるかを確認する。集客支援なら、閲覧数だけでなく、対象条件に合う相談や営業の進み方を見る、といった確認です。
記録するときは期間と対象をそろえます。購入が増えても、値引きや提供工数の増加で自社の収益が残らないなら、範囲や価格の見直しが必要です。少数の反応だけで成功と決めず、顧客の声も合わせて次の提案に使います。
顧客理解を、提案・制作・改善へ引き継ぐ
既存の商品を組み合わせる提案でも、新しい支援を用意する提案でも、顧客の情報と選んだ理由は残しておくと役立ちます。提案する担当、制作する担当、結果を確認する担当へ、目的と根拠を一緒に渡してください。
特にマーケティング支援では、顧客・競合を調べ、集客方針を決め、制作し、結果を見て改善する仕事が続きます。上流の知識が不足する部分は、エージェントが実務のSkill、案件の資料、制作ツールを使って仕事を進め、人が判断の根拠と提供条件を確認する形から始められます。理解できない判断は経験者へ確認し、自社で責任を持って提供できる範囲から始めます。
MyMarketerは、マーケティングの実務スキルと、案件の商品・顧客・判断・成果物の記録を、AIと人が進める仕事へつなげる基盤です。制作会社・広告代理店の作例のように、顧客理解を集客方針、制作依頼、結果の振り返りへつなげたい場面から検討できます。対応する業務や記録・共有の範囲は、スキル、接続、プランごとに確認してください。仕組みと対応範囲を見る
最初の一件では、次の欄を埋めてみてください。
現在の取引と、顧客が達成したいこと:
確認できた未解決の課題と根拠:
候補となる商品・支援と、選ぶ理由:
顧客に必要な費用・準備:
自社が提供する範囲と担当:
提案する場面と、次に合意したいこと:
購入・利用後に確認すること:
まだ課題が確認できていなければ、打ち合わせを打診する。提供条件まで決まったら、具体的な提案を出す。この順で、顧客に必要な追加支援を考えられます。
顧客への提案から制作・改善まで、自社で提供する仕事を広げたい方は、MyMarketerの使い方と制作例をご覧ください。
著者について

山本至人
200社以上の中小企業マーケティングを支援。WHO-WHAT-HOWフレームワークをAIに組み込んだMyMarketerの開発者。株式会社WHAT代表取締役。東京大学松尾研AI経営修了。法政大学法学部卒業。映像制作事業やDtoCアパレルブランドなど複数の新規事業立ち上げにCMOとして携わる。2023年株式会社WHAT設立。外部CMOサービスにて多くの企業のマーケティング支援を実施。東京大学松尾研AI経営修了。
- 株式会社WHAT 代表取締役
- 東京大学松尾研 AI経営寄付講座 修了
- 複数企業の外部CMOとしてマーケティング支援を実施




