【現役マーケターが解説】5分でわかるマーケティング戦略とは?

目次

一貫したブランドイメージの形成

マーケティング戦略とは

売れる仕組みづくりとリソースの集中と選択

マーケティング戦略の定義

マーケティング戦略をつくるためには

自社が買われる必然性の創出

市場構造の把握と顧客理解の重要性

3C分析とハイグラウンド

Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)

ハイグラウンドの特定と活用

WHO→WHAT→HOW

WHO(誰に): ターゲット顧客の明確化

WHAT(何を): 提供する本質的価値

HOW(どのように): 価値を届ける方法

戦略構築の順序の重要性

マーケティングコンセプトの設定(ブランディング)

STC(Setting the Context)

便益(Benefit)

RTB(Reason to Believe)

マーケティング戦略とは

マーケティングとは「売れる仕組みづくり」のことです。一方、戦略とは「リソースの集中と選択」を意味します。つまり、マーケティング戦略とは「売れる仕組みづくりを行うためのリソースの集中と選択」と定義できます。

限られた予算や人員、時間といったリソースを、最も効果的な領域に集中投下することで、効率的に売上や利益を生み出すための計画です。ただやみくもに施策を打つのではなく、戦略的に考え抜かれた「選択と集中」によって、大きな成果を生み出します。

マーケティング戦略をつくるためには

マーケティング戦略の本質は、「自社が買われる必然をつくること」にあります。購入される仕組みとは、市場構造に基づき自然と自社商品・サービスが選ばれる仕組みをつくることです。

例えば、喉が渇いた時に「コカ・コーラ」が自然と思い浮かぶように、特定のニーズが生じた際に自社ブランドが自然と想起される状態を目指します。そのためには、市場構造の把握と深い顧客理解が必要不可欠です。

顧客が何を求め、何に困っているのか。競合他社はどのような価値を提供しているのか。そして自社の強みは何か。これらを客観的に分析することで、効果的なマーケティング戦略の土台を築くことができます。

3C分析とハイグラウンド

マーケティング戦略を構築する上で基本となるのが3C分析です:

  • Customer(顧客): ターゲット顧客のニーズ、行動パターン、不満点
  • Competitor(競合): 競合企業の強み、弱み、ポジショニング
  • Company(自社): 自社の強み、リソース、差別化ポイント

この3C分析から導き出される重要な概念が「ハイグラウンド」です。ハイグラウンドとは、「カスタマーが必要としているが、競合が提供できず、自社が提供できる領域」のことです。言い換えれば、自社が有利に戦える市場ポジションです。

ハイグラウンドの概念図

ハイグラウンドを特定することで、限られたリソースを最も効果的な領域に集中させることができます。無理に競合の強い領域で戦うのではなく、自社の強みを活かせる領域で勝負することがマーケティング戦略の基本です。

WHO→WHAT→HOW

自社が有利に戦えるハイグラウンドを見つけたら、次のステップとして「WHO→WHAT→HOW」を定めていきます。これはマーケティング戦略の基本フレームワークであり、以下の要素で構成されます:

  1. WHO(誰に): ターゲットとなる顧客は誰か
  2. WHAT(何を): その顧客に提供する本質的な価値は何か
  3. HOW(どのように): その価値をどのように届けるか

この順序で戦略を構築することが重要です。まず「誰に」を明確にすることで、そのターゲットが真に求める「何を」を設計できます。そして、そのターゲットに最も効果的に届く「どのように」を選択できるのです。

例えば、Apple社の場合:

  • WHO: クリエイティブな自己表現を大切にする人々
  • WHAT: 創造性を解き放つ美しく直感的なテクノロジー
  • HOW: 洗練されたデザイン、シームレスなエコシステム、感情に訴えるブランドストーリー

このように、WHO→WHAT→HOWの順で一貫性のある戦略を構築することで、ターゲット顧客の心に深く刻まれるブランドを作り上げることができます。

マーケティングコンセプトの設定(ブランディング)

ここまでの内容を統合して、最終的に「マーケティングコンセプト」を作成します。これは自ブランドを顧客の頭にどう記憶させるかを短く言語化したものです。

重要なのは、ブランドはあくまでも生活者の頭の中に存在しているという点です。自社は直接顧客の頭の中をさわることはできません。だからこそ、顧客との全ての接点(製品、広告、店舗、ウェブサイト、SNS、カスタマーサポートなど)で、自社がどう記憶されるかを一貫してコントロールする必要があります。これがブランディングの本質です。

マーケティングコンセプトは以下の要素で構成されます:

  • STC(Setting the Context): 顧客の課題や状況を設定
  • 便益(Benefit): 提供する価値を明示
  • RTB(Reason to Believe): その価値を信じる理由(裏付け)

例えば、高血圧オンライン診療サービスのマーケティングコンセプト:

高血圧ケアを続けるのは大切だけれど、毎月通院するのにかかる時間と手間が大変ですよね?(STC)
「診療待ち」や「薬待ち」の要らないオンライン診療で、専門家がオンラインでしっかり診療し、お薬をご自宅に郵送します。(便益)
家庭での普段の血圧を専門家がしっかりモニタリングし、一人一人の生活習慣に合わせて適宜アドバイスするので安心です。(RTB)

このように、マーケティング戦略の全要素を一貫性のあるメッセージとして統合することで、顧客の頭の中に明確なブランドイメージを形成することができるのです。


マーケティング戦略は、単なる販促活動ではなく、限られたリソースを最適に配分し、顧客の心に深く刻まれるブランドを構築するための体系的なアプローチです。3C分析からハイグラウンドを特定し、WHO→WHAT→HOWを明確に定め、一貫したマーケティングコンセプトへと統合することで、持続的な競争優位性を確立することができます。

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